2018年6月19日
シュナイダーエレクトリック株式会社
IT Business 事業開発本部
プロダクトマネージャー
立野 玄氏
クラウドコンピューティングの普及から10数年が経ちました。 この間、クラウドサービスには欠かせない存在であるデータセンターは刷新や拡張の一途をたどる一方で、様々な問題や課題も生まれています。
IT環境への依存が高まるにつれて、可用性、それに付随するリスク管理や生産性の向上が求められており、それらの課題を解決し、データセンターの効率性を向上させるソリューションとして「DCIM(Data Center Infrastructure Management)システム」があります。 また仮想化、IoT 、クラウド等のテクノロジーの普及によりデータセンターの管理は複雑になってきていると同時に重要性を増してきています。
そこで、「第1回 データセンター運用の課題と見える化」に引き続き、シュナイダーエレクトリック株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役社長:白幡晶彦、以下、シュナイダーエレクトリック)立野 玄氏に、DCIMシステムの導入メリットなどについて、話を伺いました。
第2回は「StruxureWare Data Center Operationの導入ポイント」です。ケーススタディを交えてご紹介いただきます。
「第1回 データセンター運用の課題と見える化」も合わせてご覧ください。
データセンターの運用・管理がビジネスに与える影響は、年々大きくなっています。 特にオンデマンド配信など、データセンターのステータスが、お客様へのサービス提供に直接影響する事業者にとっては、確実な運用、適切な管理が最優先事項になります。
今回、マルチプラットフォーム、マルチチャネル対応で海外の各国にオンデマンド配信のサービスを行っているA社を例に、DCIMシステムの導入ポイントについてご紹介していきます。
A社は約2千万のお客様を要し、テレビからモバイル配信まで幅広く事業を展開しています。
配信サービスのプラットフォームが設置されているデータセンターの運用・管理はA社の事業の根幹になります。
A社のIT資産は、1,000ラック以上に及び、それらのラックは自社保有のデータセンターと複数のコロケーションに配置しています(【図1】)。
これらのIT資産は、A社のデータセンター運用チームが運用・管理しており、高可用性、高パフォーマンスを維持しつつ、お客様に最適なサービスを提供することを目標に掲げています。
特に、サービス提供にあたっては、システムのアップタイム向上が重要と考えていますが、同時にキャパシティ効率、設置面積の最小化も重要な課題として認識しています。
A社のデータセンター運用チームでは、既存の資産管理システムがサポート終了時期を迎えるのを機に、目標達成および、重要課題を解決するための新規ソリューションを求めていました。
【データセンター運用チームが求めるもの】
・サーバの利用効率が可視化できる
・サーバの新設、撤去を判断できる情報
・上記を実施した場合の既存のキャパシティ(電源容量、空きスペース等)および、エネルギー消費への影響が把握できる
データセンターの増設にはコストがかかります。
データセンター運用チームは、もっとも効率の良いデータセンターとは、新規で構築する必要がないデータセンターだと考えていました。
そのためには、データセンターの空きスペース、電力などのリソースがどれくらい残っているのかが測定でき、新規インフラの追加がどのタイミングで必要になるかを見える化できるツールが必要でした。
・ どのサーバが効率よく稼動しているか(またはしていないか)
・ 仮想サーバを増やす(または廃止する)対象はどのサーバか
など、サーバのCPU使用率、電源使用量を可視化することが、課題を解決するための一つの手段になると考え、DCIMシステムの導入検討を始めました(【図2】)。
A社は会社全体で、「エネルギーコスト・消費の削減および効率性の向上」を目標として掲げていたこともあり、データセンター運用チームが検討したDCIMシステムの導入プロジェクトは会社全体で推奨されました。
DCIMシステムを導入する前は、統一されていない複数の資産管理ツールを各拠点で使用していました。
そのため、現状のキャパシティ、パフォーマンスを把握し、数値化するには多くの時間を要していました。
また、使用していた資産管理ツールは機能面でも不足していたため、新規のツールが必要でした。
今回、A社が必要としたDCIMシステムの機能は以下のとおりです。
A社は、DCIMシステムを導入したことにより、ネットワーク経由で一つのダッシュボードから機器、ラック、BMSのデータ情報を統合管理できるようになりました(【図3】)。
StruxureWare Data Center Operationの特徴的な機能の一つとしてシミュレーション機能があります。
機器障害時の影響シミュレーション、空調効果シミュレーションなどを利用して、実際の機器を導入する前に最適な機器構成、配置を割り出すことができます。
また、対象の機器に障害が発生した場合、他の機器にどのような影響が発生するかもシミュレーションすることができます(【図4】)。
A社でも機器構成の変更や新規導入する際に、十分なキャパシティ、電源容量があるかを確認する手段として、このシミュレーションツールを活用しています。
今回、A社が「StruxureWare Data Center Operation 」を導入したことによるメリットは以下のとおりです。
A社がDCIMシステムとして「StruxureWare Data Center Operation」を導入する最適解となったポイントは、導入前までは管理できていなかった、または、知ることができなかったデータセンター内のインフラの状態を「見える化」できたことです。
「見える化」により、インフラを新たに増設する必要性と新設のタイミングを計ることができるようになったことで、データセンターを最適化できたことが最大のメリットではないでしょうか。
2回に渡って、データセンター運用の課題を解決するシュナイダーエレクトリックのDCIMソリューション「StruxureWare Data Center Operation」をご紹介しました。
シュナイダーエレクトリックは、これからも富士通と協力し、最適なデータセンター運用のためのソリューションをご提案させていただきます。
シュナイダーエレクトリック株式会社
03-5931-7500
jinfo@schneider-electric.com
Webサイト:http://www.apc.com/site/apc/index.cfm