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Fujitsu

Japan

導入事例 仁科工業株式会社様

発注業務データのリアルタイム性の追求
~TJNLによる発注EDIシステムの短期構築~

[2005年4月27日 掲載]

仁科工業株式会社様(以下、仁科工業様)は、1939年(昭和14年)の創業以来、時代のテクノロジーとともに歩んでこられました。そして、常に最新の技術を見つめ、自然との調和を保ちながら、研究開発型企業として、高度な技術を追求し続けてこられました。
仁科工業様では、産業車両・建設機械(フォークリフト、パワーショベル等)を中心とした多種多様な油圧機器の製造・販売を手がけ、その優れた品質管理体制から生まれる製品は、世界中のお客様からの信頼と広い市場を獲得しています。今回は、富士通のTJNL (ティージャーナル:Transaction JourNaL service)の導入により、ホストの基幹データを使用した発注EDI(Electronic Data Interchange)システムの短期構築を実現した「仁科工業様」の導入事例をご紹介します。

導入の背景

ものづくりへの情熱とこだわり

私どもが手掛けている油圧機器の製造は、大量生産方式ではなく、お客様のニーズに合わせた製品設計から製造までの一貫した生産を行うことに「こだわり」を持っています。この「こだわり」のものづくりにおいては、やはり品質第一ですから、決まった工程内でも少しの条件変化により、品質に影響が出てしまいます。このため、常に品質には気遣っています。仁科工業では、2003年12月に取得したISO9001(2000年版:品質マネジメントシステム)の要求事項を満足させることを会社経営の一つとして全社的に取り組んでいます。

ホストとの付き合い ~ダウンサイジングとの岐路に立ったとき~
1987年(昭和62年)にホストコンピュータ(M730/4)を導入し、生産管理や原価計算業務を自社開発してきました。その後、CADシステムとの連携の部品管理として利用し、取引先からの図面やCAD情報なども一元的に管理するために、DB化の要望が出てくるようになり、ホストの業務は拡大を続けてきました。
2004年のリース切れのタイミングで、ホストをどうしようか悩みました。基幹業務は基本的にはホストで、COBOLで、と従来のCOBOL文化の資産しかありません。このCOBOL資産をすべて捨てて、パッケージを使ってクラサバで作り直そうかと考えました。少し前に富士通のホストがなくなるという噂を耳にもしていましたので、その不安もありました。社内で議論を繰り返す中で、たくさんある既存の稼動資産をクラサバに移行したら資産価値がなくなり、結果的には投資効果が表れないのではと思いはじめました。また、生産管理パッケージを導入すると、パッケージに沿った工程、ものづくりになってしまいます。お客様のニーズに合わせたものづくりに「こだわり」を持ってきた私どもの製品が、世の中にある標準的なものと同じ製品になってしまいます。ISO9001のように定型化する考え方もありますが、当社の場合、全工程、全製造に適用できるというわけではないのです。
結論として、パッケージ導入という「冒険」の道ではなく、安定して実績のあるホスト継続利用の道を選びました。

導入の経緯

発注EDIシステムの刷新

当社では、発注EDIシステムを使って部品調達を行っています。このシステムはホストで稼動していますが、バッチ処理で一括更新していたため提供されるデータのタイムラグはどうにもなりませんでした。生産の基本は在庫なので、情報のリアルタイム性は重要です。短納期の製品もあるので、一日二回提供される情報では遅く、もっと早く、もっとリアルタイムな情報が欲しいという取引先からのニーズがありました。
また取引先とのデータのやりとりは、JCA手順のため専用端末やモデムなどのハードコストの負担が取引先に発生してしまうため、参加した取引先は10社と少なく、その他の取引先はこのシステムと連携していませんでした。またリードタイムが決められているため、発注伝票を取引先へ毎日郵送する必要がありました。このための発送や仕分け業務の工数、郵送にかかるコストはすべて当社が負担していました。
そこで、ホストのリプレースを機に、リアルタイムなデータの提供と、PCインフラでの情報活用の拡大の実現に向けて「TJNL」を導入することにしました。
現在では取引先とのデータのやりとりは40社ほどになり、さらに拡大の予定です。

新システム導入効果

◎ リードタイムの短縮とサービスの向上
◎ 日次バックアップ処理時間がゼロに
◎ 納期の確定日が精査され、取引先の在庫を圧縮

リアルタイム性

新システムはTJNLの逐次連携機能により、IAサーバにレプリカDBを持つことでリアルタイム性を保つことが可能となりました。また、ホストが停止している時間帯にも、レプリカDBを使って最新情報をWebから提供できるようになりました。

PCインフラでの情報活用

Webからの入力や参照は一般のPCから行うため専用のハードコストはなくなり、取引先のシステム導入の拡大が実現しました。さらに、内示データや注残データの公開も新たに行ったため、取引先でデータを参照して加工するなど、利用業務の幅も広がりました。
また、納期回答を取引先で入力し、当社で即時に参照できるようにしたため、リードタイムの短縮も図れました。

新たにシステムを導入した取引先では、専用のドットプリンタでの連帳用紙から一般的なレーザプリンタと一般用紙で済むようになり、運用が楽になりました。
当社においては、従来の複写式専用発注伝票が普通紙になったため、発注伝票自体のコストが半分以下になり、さらに郵送費や、郵送に関わる業務工数がなくなったため、大幅なコスト削減が図れました。また全体では、郵送すると1~2日かかっていた無用な時間がなくなりました。この時間が得られたことは、ものをつくる上では重要なことです。
全体的に効率的な運用になったことで、カンバンシステムの三つのメリット(短納期に対応、多品種・少量生産、コストダウン)が顕著になってきたと思います。

新システム構築にあたって

データのリアルタイム性の追求を最小の開発工数で実現するために、TJNLを選択しました。TJNLではホストのマスタDBでデータが更新されると、即時に更新データがIAサーバ側のレプリカDBへ反映されます。このためレプリカDBのデータは常に最新状態です。取引先はこのデータを参照して通常処理を行うため、ホストの稼動状態に関係なく、24時間レプリカDBを利用したサービスを受けることが可能となりました。また、実開発担当要員が二人になり、いろいろなことができなくなってきていましたが、TJNLはアプリレスで新システムが構築できるため、資産移行から3ヶ月弱で本稼動にこぎつけました。ダウンサイジングを選択した場合とは比較にならないほど短期間で構築できました。

将来の展望

TJNLの導入で、情報システムの基盤が整い、やっとスタート地点に立ったと考えています。今後は現場のニーズを取り込みながら、社内での情報活用の拡大を図りたいと考えています。
まずは台帳(紙)を無くすことです。現状は、各セクションで欲しい情報、例えば受注経歴などは台帳から引っ張り出さないといけなかったり、ホストのデータを電算室でわざわざEXCELデータに加工して渡しています。これを電算室を介さず、各セクションで必要な情報をいつでも取得できるようにしたいと考えています。そのためには各セクションのニーズを明確にして、さらに公開DBの情報整備をしていくことになると思います。
ISO9001取得はものづくりを考えていく上で良いきっかけになりました。次世代への引継ぎの一つとして、失敗事例などを作成、DB化しました。とは言っても、ものづくりに関しては、数字に表せない経験則があるために、いろいろな経験を元に常にお客様のニーズに対応した製品の提供を心掛けていきます。

取材を終えて~インタビュアの感想~

富士通は、ハードもソフトも含めたホストコンピュータを、これからも提供し続けていくと伝えたところ、高橋取締役はとても安心されたようです。そこで率直に、「ホストを使い続ける理由はなんですか」と尋ねてみました。「長年使い続けてきているがまず安定していること、信頼できるものだからですね。オープン向けパッケージは本当にいいのか判断できなかったというのも正直あります。とにかくホストコンピュータが、このままあり続ければ良いと思ってます。」との答えでした。
このような期待に応えるためにも、お客様の声を聞きながら、これからもお客様と共に歩んで行きたいと思っております。

【会社概要】

仁科工業株式会社

  • 所在地: 長野県長野市豊野町
  • 取締役社長: 山口陽太郎
  • 創立: 1939年(昭和14年)
  • 事業概要: 建設機械および産業車両の油圧制御機器の製造・販売
  • ホームページ: http://www.nishina-ind.co.jp/Open a new window

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