富士通株式会社 社内実践事例

テレワークを推進する全社仮想デスクトップ基盤に「PRIMEFLEX for VMware vSAN」を活用
シンプルで拡張性の高い基盤構築が実現

富士通はワークスタイル変革を実現するために、テレワークを推進しています。その環境としてセキュリティを担保しながらも、あらゆる場所から利用できる仮想デスクトップ基盤を活用しています。仮想デスクトップ基盤の一部としてシンプルな構成で冗長性と拡張性に優れた富士通のハイパーコンバージドインフラストラクチャー(HCI)「Fujitsu Integrated System PRIMEFLEX for VMware vSAN」を採用しました。HCIの特長でもある設計・構築・セットアップ済みの納品により、導入時の設定、構築期間も大幅に削減されました。またHCI専用管理ソフトウェア「Fujitsu Software ServerView Infrastructure Manager for PRIMEFLEX」により仮想デスクトップ基盤の統合運用管理が実現し、システムの精度向上につながりました。導入後のスケールアウトも自動化され容易な拡張、変更を可能としています。堅牢でありながらも、様々な環境に柔軟に対応できるインフラ環境への整備が、全社業務の効率化を支えています。

業種製造・IT、サービス
ソリューション垂直統合型 仮想化基盤(ハイパーコンバージドインフラストラクチャー)
Fujitsu Integrated System PRIMEFLEX for VMware vSAN
課題
効果
課題冗長性を確保したシンプルなシステム構成にしたい
効果サーバだけのシンプルな構成であるHCIの採用により、システム領域をvSAN上に取り込み、冗長性も確保された最小限のコンポーネントでシステムを構成。
課題大規模な仮想デスクトップ基盤における保守や運用管理を効率化させたい
効果HCI専用管理ソフトウェア Fujitsu Software ServerView Infrastructure Manager for PRIMEFLEXにより統合運用管理が実現。仮想化管理ツールとの統合により仮想環境と物理環境を効率的に管理可能。自動化機能の充実により運用の負荷を大幅に削減し効率化。
課題システム導入時の検証や構築後のスケールアップを簡易化したい
効果設計・構築・セットアップ済みで納品されるため導入時の設定、検証の期間も大幅に短縮。スケールアウト時の設定反映も自動構築ツールにより安全に実施可能。

「大規模システムを構築する場合でも、導入から実稼働までのプロセスを一気に進めることができます。今後のスケールアウト時も、自動化による工数削減に伴い構築期間が抑えられるでしょう。」

導入の背景

柔軟な働き方を実現するセキュアなインフラを構築

特定の企業を狙った標的型サイバー攻撃は、ますます脅威を強めています。富士通においても、社内のICTシステムをどのように守っていくかが大きな課題となっています。一方で、働き方改革への取り組みも、全社的な課題のひとつです。育児・介護と仕事の両立が難しいという理由によって、やむなく休職や退職を選択する従業員も見られることから、在宅勤務やサテライトオフィス勤務などの実現が検討されました。

これらの課題を解決するため、富士通グループでは仮想デスクトップによるセキュアなインフラ環境を導入し、2017年度からテレワークによるワークスタイル変革に取り組み、実践を進めています。とはいえ、全社を対象とした大規模な仮想デスクトップのインフラ環境を導入するには、効率的にシステム構築が行われ、導入後の保守や運用管理もシンプルである必要があります。このような背景から仮想デスクトップの環境として、富士通のハイパーコンバージドインフラクチャー(以下、HCI)垂直統合型 仮想化基盤「Fujitsu Integrated System PRIMEFLEX for VMware vSAN」(以下、PRIMEFLEX)を選択しました。PRIMEFLEXならば、段階的な導入によるスケールアウトにも迅速に対応できます。富士通において、主にIT戦略の立案やIT投資のマネジメントなどを担う、IT戦略本部のグループ共通サービス統括部 ワークスタイル変革ソリューション推進部 部長の中村元晃は話します。「仮想デスクトップはマルウェアの不正なインストールを防ぎ、いつでもどこでも同じデスクトップで仕事ができる環境を作ります。子育て支援や介護支援だけではなく、自宅で仕事をしながら家族サービスも可能になるでしょう。組織改編などで仮想デスクトップの利用者が急増する場合でも、PRIMEFLEXならコンポーネントによるノードの増設作業を自動構築ツールによって効率化できます」。

富士通株式会社 IT戦略本部 グループ共通サービス統括部 ワークスタイル変革ソリューション推進部 部長 中村 元晃富士通株式会社
IT戦略本部 グループ共通サービス統括部
ワークスタイル変革ソリューション推進部 部長
中村 元晃

導入のポイント

シンプルな構成ながらも冗長性を持たせたシステムが構築可能に

従来のアーキテクチャーで仮想デスクトップ基盤を構築するには、サーバの他にCPUが利用するシステム領域用ストレージ装置が必要です。この場合、ストレージ装置に万一トラブルが発生した際、システムそのものがダウンしてしまう可能性があります。仮想デスクトップ基盤として、ひとつのコンポーネントにサーバとストレージが組み込まれているHCIを採用すれば、ハードウェアトラブルによるシステムダウンの可能性を減少できると考えました。富士通のHCIであるPRIMEFLEXにより、少ないコンポーネントで冗長性を持たせたシステムが構築できるのは大きなメリットです。また、その他の導入のポイントについて、IT戦略本部と連携し、実際に富士通の全社インフラを設計・構築する富山富士通のコミュニケーションサービス統括部 共通コミュニケーションサービス部 部長の小堤 剛は語ります。「マルチベンダーの環境下では保守も分散されますし、それぞれのベンダーごとに運用や管理のノウハウが必要になり、システム管理者に求められるスキルも上がってきます。HCIによってシステムの構成をシンプルにすることで、設計面だけでなくインフラの運用や管理面でも様々な負担を減らすことができます」。

株式会社富山富士通 コミュニケーションサービス統括部 共通コミュニケーションサービス部 部長 小堤 剛株式会社富山富士通
コミュニケーションサービス統括部
共通コミュニケーションサービス部 部長
小堤 剛

システム構築に関する専門的で高度なスキルが不要

実際の導入プロセスにあたって小堤は、「PRIMEFLEXによる構築そのものについては、特に苦労もなくスムーズに進めることができました」と話します。その理由として、従来のシステム構築では、システム領域を設定する際にも専用のストレージ装置に関する知識など、システムエンジニアに様々なスキルが要求されます。これに対してPRIMEFLEXでは、VMwareでシステム領域を設定できるスキル等があれば、システム構築も容易に可能です。

また、PRIMEFLEXは設計、検証済みの構成を工場でセットアップした後に納品されるため、導入後の検証作業も短時間で完了し、早期の利用開始が可能です。「ある程度VMwareの知識があれば、大規模システムを構築する場合でも、導入から実稼働までのプロセスを一気に進めることができます。今後のスケールアウト時も、自動化による工数削減に伴い構築期間が抑えられるでしょう。」(小堤)。

【従来型のVDI基盤】
従来型のVDI基盤

【HCI基盤を利用したVDI基盤】
HCI基盤を利用したVDI基盤導入規模による構成比較の例

導入の効果と将来の展望

パフォーマンスの向上とシステム運用管理ツールで効率化

PRIMEFLEXによるシステム構築後の検証では、1,250ノードの仮想マシンを順次起動させた際に全マシンが起動するまでの時間を計測した結果、従来の構成と比べてHCIによる構成の方が約30%の時間短縮になりました。一方、すべての仮想マシンに対してアップグレードされたOSを配信し、全マシンで展開されるまでの時間を計測した結果でも、HCIによる構成の方が約10%の時間短縮になりました。

また、システム運用管理ツール「Fujitsu Software ServerView Infrastructure Manager for PRIMEFLEX」(以下、ISM)を利用すれば、VMware vSANの構築やノード登録・追加を自動化できます。これによるシステム構築時の時間短縮効果は、新規3ノード構築時で手動と比べて21%、10ノード構築時で59%と、追加するノード数が多いほど構築時間の削減が期待できるという検証結果が得られました。「人手によってIPアドレスの設定などを行うと、どうしても入力ミスが生じる可能性があります。ISMによる自動設定ではそのようなミスを防ぎ、より高品質なシステムを効率的に構築可能です」(小堤)。導入後の運用管理においても、ISMならばVMware vSphereの情報をダッシュボードから監視できます。VMware vCenter Serverプラグインをインストールすれば、物理インフラと仮想レイヤーの統合管理が可能となり、トラブルが発生した場合でも直感的に障害箇所の特定が容易になります。また、PRIMEFLEXではハードウェアとソフトウェアの一括サポート対応が可能です。運用管理する立場からすれば、このサポート体制も、大きな負荷軽減につながります。

【ISMによる自動構築】
ISMによる自動構築

中小規模にも大きな効果が期待

今回の富士通による導入事例は、大規模ユーザーを対象としたシステム構築となったのですが、小堤は中小規模のユーザーを対象としたシステム構築でもPRIMEFLEXの導入メリットは大きいと話します。「中小規模のユーザーを対象としたシステムでは、ユーザーのプロファイル領域もHCI内の共有ストレージ内に割り当てることができます。これによってさらにシンプルなシステムが構築され、運用管理の負担を減らすこともできます。また、スモールスタートからのスケールアウトを考えている場合にも、最適なソリューションになると思います。規模が大きくなるにつれて、HCIを拡張していけばいいのです。その際の設定も自動構築ツールで効率化が図れます」(小堤)。

今後はエンジニアリング領域や設計者領域にも仮想デスクトップを展開

今回の仮想デスクトップの展開は、富士通グループの中でも営業・SE・コーポレート部門などが中心となりました。今後の展開について中村は語ります。「エンジニアリング領域や設計者領域にも、GPUを搭載するなどした高性能なHCIによる仮想デスクトップの展開を進めていきたいと考えています。こうした取り組みによって、技術者にも働き方改革を実践する、新たな事例を適用することができます」。

富士通では社内実践によって得られたノウハウや知見をもとに、お客様のビジネス環境に迅速に対応できるソリューションを提案・提供していきます。

富士通株式会社 概要

所在地本店 〒211-8588 神奈川県川崎市中原区上小田中4-1-1
代表者代表取締役社長 田中 達也
設立1935年6月20日
従業員数155,000名(グループ全体)
事業内容テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューション
ホームページhttp://www.fujitsu.com/jp/
  • 2017年3月末現在

[ 2018年1月26日掲載 ]

本事例に関するお問い合わせ

ページの先頭へ