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「ハイブリッド」が当然の時代。ICTベンダーの技術力を使いこなせ

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市場トレンド

企業が新規ビジネスを素早く立ち上げ、成長戦略を描き、ダイナミックな変革を起こしていくためには、データを基にした的確な判断が必要になる。そのためにはIoT、ビッグデータなどを駆使できる力強いICT基盤が必須だ。オンプレミスやクラウド、あるいはそれらの組み合わせなど、選択肢が広がる現在、ICT基盤を強化していく上で何が求められているのか。IT投資戦略、IT組織改革などを専門とするアイ・ティ・アールのプリンシパル・アナリスト甲元宏明氏に話を聞いた。

クラウド化の流れが著しいICT基盤について、最近の動向を教えてください。

甲元クラウドの導入を前提としたICT基盤の構築が当たり前になってきたことはご存じの通りですが、現場ではパブリッククラウドにするか、プライベートクラウドにするか、ハイブリッドクラウドにするかといった悩みは尽きません。どこにどのようにクラウドを適用するかが課題となっているのです。

当社の年次調査である「IT投資動向調査2017」では、「IT基盤の再構築」というテーマが、主要なIT動向の重要度指数で7年連続トップになっています。さらに、5位に「新規システムのクラウド活用」、6位に「既存システムのクラウド移行」がランクインしており、今、企業にとってICT基盤の再構築やクラウド化が大きな課題になっていることが分かります。

ICT基盤の再構築が企業の大きな課題

ICT基盤の再構築は、ずっと解決されていないということになりますね。難しいのはなぜでしょうか。

甲元1つの原因は、日本のシステムが可用性、つまり継続的に稼働できる能力を重視しているために非常に複雑な構造になっていることです。従来、可用性を高めるために、止まることが許されないハードウェアを二重化するなどの対策を採ってきました。オンプレミスを維持するならこの対策は非常に有効ですが、もしクラウドに完全移行するのであれば、これが考え方としても構造的にもマッチしない。これからはICT基盤の構成の仕方に応じて考え方を変えていく必要があります。

AWSやAzureのようなパブリッククラウドはクラウドそのものに可用性を高める仕掛けがあります。しかもその仕掛けは「サーバは落ちる可能性がある」「データセンターは止まる可能性がある」ということを前提として構築されており、ハードウェアを駆使して可用性を高める従来の大規模システムとは根本的にアーキテクチャーが異なります。ですから、クラウドを活用してシステムを作るのであれば、デザインパターンそのものを変革する必要があります。

そうした課題がありながらも、時流は確実にクラウドファーストへと変わったと感じます。いつ頃からそうした流れになったのでしょうか。

甲元2014年頃です。従来クラウドを検討するのは、コスト削減が大きな目的でした。サービスの選定も個別のシステム案件ごとにするのが普通でした。しかし、ここ2年ほどでICT基盤として戦略的に検討する企業が増加しました。今やICT基盤のコンサルテーションは、ほぼクラウド案件。それもグローバル基盤に関するもので、大変高度になってきています。

パブリッククラウドでは、主要プレーヤーが絞られてきているようです。

甲元企業がRFP(提案依頼書)を出す対象は一般に3社ほどですが、まずAWSが必須で、次にマイクロソフトのAzureというのがパターンになりつつあります。他のクラウド事業者は実質残りの1席を争う形になります。規模の経済が効く分野なので、アマゾンやマイクロソフトを他社が追随するのはなかなか厳しいと思います。ただし、具体的な移行作業や運用管理、システムの改善などについては、やはりICTベンダーやSIerの力に頼ることになります。

クラウド活用はさらなる高度化へ

既存のICTシステム基盤をクラウドでどう再構築するか、そのパターンにはどのような傾向がありますか。

甲元案件数でいえば、既存システムの移行が圧倒的に多い状態です。これまではIaaS(Infrastructure as a Service)、つまりサーバやストレージ、ネットワークなどのICT基盤をクラウドで実現するサービスを活用する案件が圧倒的に多かったですね。PaaS(Platform as a Service)、つまり装置的なICT基盤にミドルウエアなどを実装した状態で提供されるクラウドサービスは新規システムを作る案件で時々使う程度です。

また、既存のICT基盤を無駄にしないために、それらをプライベートクラウド上に移して活用していこうという企業は比較的多いです。よくパブリッククラウド対プライベートクラウドといった文脈で語られますが、これは比較するものではありません。今では両方を使う企業が多いのです。

パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスをうまく組み合わせて使い分ける「ハイブリッドIT」という考え方もあります。

課題はそれぞれをどう使い分けるか、将来的にどうしていくかです。当社の統計によると、国内ユーザー企業が考える将来の企業インフラは、今のところプライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド(プライベートクラウドやパブリッククラウド、オンプレミスを連携させるシステム)の3つがほぼ同率で分かれている状態です。

現状はクラウドによってコストを削減したり、効率的に可用性の向上を図ったりするケースが多数派ですが、今後は運用の自動化や、ICT基盤とアプリケーションをAPIで連携させて、ダイナミックにサイジングしたり、オートスケールさせたり、処理を分散させたりするような高度な使い方にシフトしていくはずです。

クラウドに関して、これまでセキュリティ面での不安が指摘されてきました。今後はどうなるでしょうか。

甲元高いセキュリティが求められる金融業界でも、クラウドによるICT基盤を活用する例が出てきています。SOC報告書(Reporting on Controls at a Service Organization)に対応する事業者や、セキュリティリスクを効果的に抑える手法などにも多くの事例が出てきていて、ネガティブな印象を持つ企業は激減しました。

オンプレミスとパブリッククラウドで、どちらがセキュリティやコンプライアンスについて有利かという点では、実は今ではパブリッククラウドの方が有利だという企業が多いのです。今後は、将来を見据えてクラウドをどう戦略的に使うのかという視点を持つ企業が増えてくるでしょうし、そうならなければいといけないと思います。

形を変えるサーバビジネス

最近ではERP(Enterprise Resource Planning=統合基幹業務パッケージ)もパブリッククラウドになってきていますね。

甲元クラウド移行のビジネスが大きな割合を占めています。ERPの新規導入やメジャーバージョンアップの案件においては、オンプレミスで動かすケースが徐々に減っている。ですから、ICTベンダーがユーザー企業へサーバを“箱売り”で販売する案件も減っているはずです。サーバの主要顧客はクラウド事業者やxSP(ASPやISPなど、インターネットを介してサービスを提供する業者)に移ってきています。ネットワーク機器も同様です。こうした事業者によるサーバ、ネットワーク機器の設置台数は今後も増えていくでしょう。

ICT基盤構築について、技術的に注目しているのはどんなことでしょうか。

甲元PaaSがかなり理解されてきていて、これから市場も伸びるのではないかと期待しています。ユーザー企業にとって、ビジネス価値があるのはサーバでもサーバOSでもミドルウエアでもなく、アプリケーションのロジックです。こう考えると、プログラムコードを書いてアップすれば稼働するというPaaSが、本来最適なわけです。しかし、日本ではなかなか理解が進まなかった。

それはなぜでしょうか。

甲元今まで大変な思いをして構築してきたプラットフォームに関係なく、コードを書いたら動くというのがピンとこない、という感覚的な問題だと思いますね。しかし、海外での事例が数多く出てきていますし、まだ少ないですが日本でも事例が見られるようになりました。従来IaaSを積極的に活用してきたような先進的なユーザーが、先行してPaaSに移行しつつあります。そうした面でも、今はクラウドを活用できる企業とそうではない企業と、完全に二局化が進んでいますね。

クラウド時代にもICTベンダーのサポートは必要

クラウドが普及することで、ICTベンダーが不要になるといった議論もあるようですが。

甲元日本企業のICT部門は規模が小さく、専門のパートナー企業がいないとシステムを稼働させることができない場合が少なくありません。その点、国内のICTベンダーは、ICT基盤構築だけではなく、移行作業や運用のマネジメントなど一切を請け負えるという強みを持っています。

ユーザー企業だけでは、こうした環境を生かすことができません。ICT担当者を大幅に増やすことはできないし、教育にも多大な時間がかかるからです。必ずサポートしてくれるICTベンダーが必要になります。高度なコンサルテーションやインテグレーションができるICTベンダーに対するニーズは、もっと増えてくると思います。

パブリッククラウドに移行するのには、やはり高い技術力が必要だということでしょうか。

甲元確かにそういう面はあります。しかし、自らに技術力がなくても、高度なテクノロジーを活用してビジネスを発展させたいという企業は少なくない。大胆に全てクラウド化を目指すような企業もある。

すると、そうした企業を支援するICTベンダー、つまり“クラウドインテグレーター”が必要になるわけです。今、優秀なクラウドインテグレーターには仕事がどんどん舞い込んでいる。とても伸びている分野です。

今までお話ししたように、システムを構築する際にパブリッククラウドとプライベートクラウドとオンプレミスといったハイブリッドな構成を検討するのは当たり前で、以前より高度なノウハウが求められるようになってきています。

そうした状況があるからこそ、技術力のあるICTベンダーが顧客企業の業務内容や要望に応じて最適な手段を組み合わせ、システム構築を支援していくことに期待しています。

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