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第5世代モバイル通信システム(5G)の円滑な標準化と導入に向けた課題

新たな周波数帯の開拓

高速な通信を実現し、1000 倍のトラヒックを捌くには、現在よりも広い周波数幅を確保することが必須であるが、現在使用している3GHz 以下の周波数帯では、新たに連続した広帯域の確保は困難である。一方5G以降のモバイル通信システムでは、単一の周波数帯の電波のみを使うのではなく、低い周波数(VHF帯)から高い周波数(ミリ波帯)の複数の周波数帯を組み合わせて利用し、場所、時間、アプリケーションなどにより最適な使い方を採用することで、周波数利用効率の向上と安定的な通信の実現を図ることができる。

また、30GHz を超えるミリ波の帯域は、技術的ハードルが高いため、あまり利用が進んでいないので、連続した広い周波数幅の確保が可能である。このような高い周波数帯をモバイル通信で利用する為の技術開発及び国際標準化活動は、5Gやその先のモバイル通信システムの実現に向けて重要である。

5G要求条件を満たす通信技術実現に向けた研究開発

今までのモバイル通信システムにおいては、第1世代はアナログ技術(周波数分割多元接続:FDMA)、第2世代はデジタル技術(時分割多元接続:TDMA)、第3世代は世界共通かつ高度なデジタル技術(符号分割多元接続:CDMA)、第3.9 世代及び第4世代はフェージングに強く高効率情報伝達が可能なデジタル技術(直交周波数分割多元接続:OFDMA)と、世代ごとに特徴的な技術が用いられてきた。

現時点では、第5世代を特徴付ける技術は未だ特定されてない。しかし、既存の技術を高度化しそれを組み合わせることにより、周波数利用効率のさらなる向上、高周波数帯域の開拓、ネットワークの高密度化を実現し、期待される要求条件に対処することが期待されている。

解説図:第5世代モバイル通信システムの要求条件の実現に向けて(周波数利用効率向上、高周波数帯域の拡大、高密度ネットワーク)
第5世代モバイル通信システムの要求条件の実現に向けて(注1

現在5Gの要求条件の実現に向けて期待されている技術要素の一例を以下に示す。

  1. 周波数利用効率のさらなる向上
    1. 非直交多元接続(NOMA:Non-Orthogonal Multiple Access)
      LTEなどで用いられている「OFDMA: Orthogonal Frequency Division Multiple Access」(周波数ドメイン,時間ドメインによる無線リソースを配置)を拡張し、新たに電力ドメインを使って複数ユーザーの信号を重畳することで、さらなるスループットを向上させる方式である。電力ドメインで重畳された信号から希望波を分離するには、端末側に多大な能力が必要であり、これまでは端末スペックから実現は困難であると考えられてきたが、昨今の端末能力の急速な発展から、5Gにおける要素技術として期待されるようになった。

      解説図:非直交多元接続(NOMA)のイメージ

    2. Massive MIMO
      100以上のアンテナ素子を使い指向性の高いアクティブアンテナを用いて、ビームフォーミングによる干渉回避と、多数のユーザーの同時接続を可能にするMIMO技術であり、20GHz帯など、高い周波数と相性がよく、容量不足の解消につながる。

      解説図:Massive MIMOのイメージ

  2. 周波数帯域の拡大
    1. 高周波数帯(10GHz~20GHz/ミリ波帯)の開発
      未だ利用が進んでいない、高い周波数帯(10GHz~20GHz、さらには30GHz以上のミリ波帯)の開発を進め利用を拡大し、1GHzレベルの広帯域を利用した超高速データ通信を実現する。
  3. ネットワークの高密度化
    1. HetNet (Heterogeneous Network)
      セル半径の異なるシステムを同一エリア内に混在させ、これらを協調して動作させ、ネットワーク全体のキャパシティを大幅に改善する技術である。広域をカバーするマクロセルのエリア内のトラフィック需要の高い場所に狭いエリアをカバーするピコセルやフェムトセルを重ねてエリア構築を行う。
      HetNetの実現上の課題は、送信出力の異なるセル間で生じる干渉と、ユーザーを積極的にスモールセルに誘導しネットワーク全体のキャパシティを改善する仕組みである。これらを解決する技術である、eICIC (Enhanced Inter-cell Interference Coordination) やCRE (Cell Range Expansion) が、3GPP にて仕様化されている。また5Gに向けて、これらの技術の更なる高度化の検討が進められている。
    2. デュアルコネクティビティ(C/U分離)
      端末と基地局は、接続を制御する「C-plane」(制御信号)と、実際のデータが流れる「U-plane」(ユーザーデータ信号)の2つの信号を送受している。カバー範囲の狭いスモールセルを数多く設置すると、接続と切断が頻繁に発生し非効率でありスループットの低下も懸念される。広範囲をカバーするマクロセルでC-Planeを、速度を稼ぎやすいスモールセルでU-planeを別々に通信する「C/U分離」方式により、ネットワークを高密度化して容量や速度の向上を図ることが可能となる。

      解説図:ネットワークの高密度化のイメージ

また、国際電気通信連合(ITU)では、5G時代に利用可能な技術を紹介する報告書草案の作成を進めている。これには、無線インタフェースを強化する技術、新しいサービスをサポートする技術、ユーザー体験を向上させる技術、エネルギー効率を向上させる技術、端末に係る技術、ネットワーク関連技術、プライバシー・セキュリティ関連技術に分けて、将来技術が紹介されている。

注釈

注1 出典:電波政策ビジョン懇談会 中間とりまとめ(総務省)
第3回電波政策ビジョン懇談会、株式会社NTT ドコモプレゼンテーション資料より抜粋