技術動向:OFDM

OFDMとは直交周波数分割多重方式のことで、第3.9~4世代モバイル通信を担う重要な技術のひとつ。OFDMは、マルチキャリア伝送方式の実現手段の一つだが、従来のマルチキャリア伝送と比べると周波数利用効率が高く、高速伝送に適している。

一般にマルチキャリア伝送では、直列伝送のデータシンボルを直並列変換して複数のキャリアで並列伝送する。従来のマルチキャリア伝送では隣り合ったサブキャリア伝送の信号が干渉しないようにサブキャリア間にガードバンドを必要とするため、シングルキャリア伝送よりも帯域幅が広がってしまう。しかし、OFDMでは、サブキャリアを直交(Orthogonal : 内積が零となる関数)という特別な条件に設定することによりサブキャリアのスペクトルの一部が重なった状態で伝送してもデータシンボルを復調することができるため、従来のマルチキャリア伝送と比べて周波数利用効率が高くなる。

       

1.OFDM送信機

OFDM送信機では、データの送信信号を入力し直並列変換(S/P)により複数の送信データが作成される。その後、変調(mod)によりI/Q成分に複素変調された複数のサブキャリア信号が作成され、逆高速フーリエ変換(IFFT)により変換された出力信号にガードインターバル(GI)が挿入される。さらに、RF信号に周波数変換(図では省略)された後、アンテナから送信される。ここで、GI挿入とはIFFTの出力信号の最後の部分のコピーを先頭に挿入することであり、この処理によりマルチパス伝搬路において発生するシンボル間干渉の影響をなくすことができる。

2.OFDM受信機

OFDM受信機では、送信側と逆プロセスの処理が行なわれる。受信した入力信号からガードインターバル(GI)が削除され、高速フーリエ変換(FFT)により複数のサブキャリア信号が再生され、復調(demod)により受信データが復調され、並直列変換(P/S)により受信信号としてのデータが出力される。

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