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Fujitsu

Japan

株式会社東振精機 様

製造計画管理の自動化と効率化を目指して蓄積した匠のノウハウをデータ化し情報連携

[2015年8月17日掲載]

東振精機様

世界で唯一のベアリング組込み用のローラ専門メーカーであり、2014年にはグッドカンパニー大賞((公社)中小企業研究センター主催)のグランプリにも輝いた株式会社東振精機(以下、東振精機)様。今回、製造計画管理業務の自動化と効率化を目的に、富士通の計画管理パッケージ「FUJITSU Enterprise Application GLOVIAsmart PROFOURS」(以下、PROFOURS)(注1)を導入されました。富士通システムズ・ウエスト(以下、FWEST)は受注~計画~製造までの工程間のシームレスな情報連携と計画立案の共通化、基幹システムとの連携強化や仕掛在庫の削減などを支援し、人的ノウハウをシステムに最適な形で融合し、計画管理のさらなる合理化に貢献しました。

【課題と効果】

導入前の課題   導入後の効果
工程ごとに計画担当者や計画立案のタイミング、システム画面が異なるため、製造順序の確認など担当者同士のやりとりが煩雑で、リードタイムのムダも多い
PROFOURSの配置機能により計画業務を自動スケジューリング化。計画立案画面も共通化して工程間のシームレスな情報連携と業務効率化を実現し、アラーム確認や計画変更も簡便に
成形工程と仕上工程で計画立案の仕組みが異なり全体計画の情報精度が低く、計画結果も一旦、基幹システムのDBを介したやりとりになるため、処理時間も変更の手間もかかる
共通化した情報に基づく工程間の連携により、製造計画全体の高精度化と効率化を実現。さらにPROFOURSと基幹システムの連携で、資材発注や製造実績管理にも情報活用が可能に

70点のシステムと工程担当者が持つノウハウを組み合わせ、最適な運用を目指す

管理課 課長 兼 生産管理係 リーダー 東 晴信様

管理課 課長
兼 生産管理係 リーダー
東 晴信様

円すいころや円筒ころ、球面ころで代表されるサブミクロン単位の高精度なベアリング用ローラなど、東振精機様は匠の技と機械化のより良いバランスのものづくり、価値づくりを追求しています。複雑な金属加工の計画立案の自動化と工程間の情報連携による効率化を目指す今回のプロジェクト(以下、PJ)でPROFOURSを選んだ理由を「慣れ親しんだ計画管理システムより使いやすく、公開テーブルがあるためデータ連携や活用がしやすい。何よりも、一番の目的である製造計画の自動立案を簡単に実現できる魅力がありました」と管理課課長の東晴信様は語ります。PJの方向性を踏まえ、FWEST・河合直人は「70点のシステムをつくりましょう」と提案しました。「100点満点が求められる会計とは違い、計画業務の正解は一つではありません。ノウハウに基づく工程担当者の意思決定で精度を上げ、満点に近づけていくことが重要。東様はすぐに70点の意図を汲んでくださったので、PJも進めやすかったですね」。蓄積されてきたノウハウをすべてシステムに詰め込もうとすると、逆に業務プロセスの硬直化を招き、投資額も膨らむ懸念があります。

「計画管理は、リードタイム短縮や在庫削減など、製造プロセスの合理化を目標としていますが、それがすべてじゃない。必要なデータ入力をシステムで自動化しつつも、製品ごとの条件や現場の動きやすさを調整する味付けは、人の手にしかできないこと。私のイメージ通りのご提案でしたよ」(東様)


暗黙知を形式知にする難しさを乗り越え、精度の高い計画で「生きたデータ」に

計画業務の自動化と情報連携には、鍛造・熱処理・研削といった各工程担当者の頭の中にあるものづくりの暗黙知を形式知にデータ化し、PROFOURSに落とし込む必要がありました。

「主力製品だけでも品種やサイズ別に4万7000点もの品番があり、工程ごとに異なる条件や制約、パラメータを一つずつヒアリングするのは大変でした。ただ、機械の回転数や曲率など、長年のノウハウを数字に書き出すことで、そこに込められた狙いを発見できたことは大きな収穫です」と微笑む管理課・横山春菜様。データ化を支援したFWEST・柳夕雅も「共有できるようになった情報を各工程で段取りや作業の効率化に活かせるように、画面の共通化に工夫を凝らしました。また共通化できない各工程特有の作業も、画面表示を個別設定することで、使いやすさに配慮しました」と振り返ります。

2013年冬の本稼働から1年半を経て、製造計画を立案する管理課・中山健様は、成果を実感しています。「品番ごとに生産能力や金型切替のパラメータ設定ができ、実際の生産に近い計画が早く立案できるようになりました。計画内容もガントチャート(注2)で一目瞭然になり、アラームは理由まで見える化し前後工程との確認作業が不要になり、変更処理も楽になりました」。

PJでは、計画結果連携により各工程で前後工程の計画を見える化し、全体計画も簡単かつ高精度で立案できるようにします。また、独自の基幹システムとも計画結果をリアルタイムで連携し、「スケジュールの絵を描くだけだった計画管理が、資材発注や製造実績管理にも『生きたデータ』として活用可能になりました」と、情報システムを統括する総務課係長の髙田圭一様。同課・長原渉様も「自動立案のパターン登録など、要望がすぐに新機能にレベルアップされるレスポンスの良さも、期待以上でしたね」とFWESTの対応を評価しています。


ロジックを継承し技術人財を育成、世界一のローラメーカーになる生産管理を

製造計画管理の自動化は、暗黙知だった独自のものづくりロジックを明確な情報で継承することで、より多くの社員を本物の技術人財に育成することに貢献しています。

また今後の取組みについて、東様は「月間の仕掛在庫が販売額の90%から70%台まで削減したのも、PROFOURSにより前後工程が隙間なく、連携できるようになった表れ。今はまだ重要工程に限った計画管理ですが、いずれは全工程で自動立案し、仕掛計算や部品手配、原材料発注、外注加工までつなげていきたい」と抱負を語ります。月産約3億個の8割を占めるリピート生産に、後補充生産の仕組みを構築し、さらなるリードタイム短縮など、時代のニーズに確かな成果で応える新たな構想も描いています。「世界一のローラメーカーになる、と当社は宣言していますし、そのためには未来志向で世界一の生産管理に成長させていく必要があります。FWESTさんにはユニークで新しいものづくりソリューションを、これからもお願いしたいですね」(東様)。

株式会社東振精機の皆様と、富士通システムズ・ウエストのプロジェクトメンバー

株式会社東振精機の皆様と富士通、富士通システムズ・ウエスト プロジェクトメンバー

(注1) GLOVIA smart PROFOURS(グロービア・スマート・プロフォース)/製造業の計画管理業務を統合的に管理するパッケージ。Stylish(使いやすさ)・Smooth(導入の簡単さ)・Scheduling(計画精度の向上)・Special(業種別特化機能)がコンセプト。製造業の中核を担う計画業務の品質向上や効率化を実現する。
(注2) ガントチャート/時間を横軸、製造設備を縦軸に、製造スケジュール一覧をチャート方式で表示

お客様概要

名  称 株式会社東振精機 様 株式会社東振精機 様
設  立 1956(昭和31)年12月
所在地 石川県能美市寺井町ハ18
代表者 グループ代表取締役 中村 敬
従業員数 483人
(グループ総数・577人)
事業内容 ベアリング用ローラの専門メーカーとして、軸受組込用ローラ各種、精密ピン、シャフトなどの精密機械部品を製造。工作機械を自社開発する株式会社東振テクニカル、東振ブランドの経営戦略と人財育成を担う株式会社東振とともに「東振グループ」を形成し、グローバル展開を推進
URL http://www.tohshin-inc.co.jp

事例紹介(PDF版)

以下より、PDF版の事例紹介をダウンロードできます。
事例紹介 株式会社東振精機様 (973 KB)

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お問い合せ先

富士通株式会社
  富士通コンタクトライン(総合窓口)
  電話: 0120-933-200


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