GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. コンサルティング事例 >
  3. データ活用でイノベーションを起こす─変わるデータ活用へのアプローチ─

データ活用でイノベーションを起こす─変わるデータ活用へのアプローチ─

データ活用でイノベーションを起こす

~変わるデータ活用へのアプローチ~

掲載日:2017年12月12日

casestudies_86_1280x800

概要

様々な人やモノの動きのデジタル化が進み、そのデータの活用の巧拙が企業の競争力の新たな基軸となり始めた。しかし、データ活用という古くて新しいテーマは、これまでも多くの企業が取り組んできたが、元データの整備だけに終わってしまう、何に活用するか具体化しないなど、なかなか成果に結びつかないことが多い。これに対し、昨今登場してきたセルフサービスBIツールという新たなテクノロジーを活用することで、現場部門が自らデータを分析・活用できる環境が整ってきた。本稿では、同環境を活用した、お客様の動線データという新たなデータに対する活用の実践事例をご紹介する。事例を通じて、データ活用の実現には、現場部門とデータの可視化、活用の検討を繰り返す、試行錯誤のアプローチが重要となることをお伝えしたい。

課題

データ活用が企業の競争力になる

スマートフォン、スマートウォッチ等のモバイル機器、温度や圧力、加速度等のセンサーから発生する様々なデータが、人やモノの動きをデジタル化し、これまで見えなかった多くのことが捉えられるようになってきた。その特徴の1つは、人やモノの動きや使われ方を個人や個々のモノごとに捉えられることである。例えば、個人の購買行動、個々の製品の製造条件、顧客が購入した後の個々の製品の使用状況等、個別にデータが捉えられるようになり、個人や個々の動きに合わせたサービス提供が可能になってきた。もう1つの特徴は、多様な接点のデータをつなげることで得られる豊富な属性情報にある。例えば、個人についても、年齢や性別、住所等のデモグラフィックデータ(人口統計学的属性) だけでなく、購買前後の行動データや、SNS( Social Networking Service)やコールセンターの会話などコミュニケーションデータまで含めて属性情報として持てるようになり、より顧客の行動や特性に合わせたサービスが提供できるようになる。

これらの変化により、例えばマーケティング領域では、個々の顧客行動(Webアクセス、ダイレクトメール開封状況、リアル店舗での購買状況等)に合わせて、個人ごとに最適なアプローチ(有用なコンテンツの紹介、セミナーの案内等)を自動で行うマーケティングオートメーションが進んでいる。また、製造業のサービスビジネス強化も進んでおり、データ活用の先進企業の1つであるコマツでは、「スマートコンストラクション」というコンセプトを掲げ、データを活用した新たなサービスを提供し始めた。このサービスでは、建設現場の測地の際に、ドローン(無人航空機)を用いて3Dスキャンを実施し、設計データやリソースデータと合わせてICTで施工計画を作成・見直しながら、施工作業をICT化された建機により自動化するといったことをすでに実現している。これらデジタル化された様々なデータをつなぎ、蓄積、活用することで提供される新たなサービスや、オペレーションを変革する動きは、今後さらに拡大し、その巧拙が企業の競争力の新たな基軸となるだろう。

データ活用を企業の中で推進する

この変化に対して、多くの企業がデータ活用の高度化の検討を開始しているが、なかなか上手く行かないことが多い。例えば、新たなデータ活用に向けた検討を実施するが、出てくる意見や要望は、担当者のデータ集計や加工業務の効率化が中心で、新たに何をやるのかが定まらない。また、必要なデータの現状調査を行うと、データの分散、コードの不統一などの問題に対し、その統一や共通化がフォーカスされるが、何のためにやるのかという目的や投資対効果を説明できず、取り組みが頓挫してしまうケースも散見される。これまでの業務で活用していなかったデータは、どこでどのように活用できるか、数値が正しいか、など不確定要素も多く、企画段階で止まってしまうことが多い。

このため、データ活用の高度化を模索するお客様に対して、まず小さく始めて、早く結果を出していくことをお勧めする。データの分析・活用が有用な場面がどこなのか、そこから有用な結果を得るためにはどのような分析が必要なのかを明らかにするには、実際の活用や運用の中での試行錯誤が必要不可欠だと考えているからである。そして、活用データの範囲や活用シーンを順次拡大していきながら、データ活用の高度化を進めることをご提案する。まだ活用場面や効果が不明確なうちから、データを集めて活用するための大規模な情報システム基盤を用意することや作ることからスタートすることはお勧めしない。またそういった仕組みが無くとも、データ活用を支援できるツールも出てきており、こういったアプローチが技術的にも可能になっている。以下、本アプローチを実践して顧客位置情報を分析・活用した事例に沿って、本アプローチをご紹介する。

【図1】イベントにおける顧客動線の可視化(イメージ)
【図1】イベントにおける顧客動線の可視化(イメージ)

解決策

展示会における顧客動線データの分析・活用の事例

情報通信機器メーカーではマーケティング施策の1つとして法人顧客向けの展示会を毎年実施している。今回、来場者に展示会場での位置情報を発信するビーコンを持っていただき、新たな顧客接点データの活用として、以下の取り組みを実施した。

  1.  A. 来場者のリアルタイムな位置情報を活用し、担当営業がタイムリーなフォローを実施する
  2.  B. 来場者動線から、展示会のブース配置や講演等も含めたプログラムを評価し、最適化する
  3.  C. 来場者動線と来場者プロフィールやアンケート結果とを組み合わせ、来場者属性を踏まえた興味・ニーズを把握し、活用する

本事例で行ったデータの分析・活用のアプローチは大きく2つある。1点目は、取り組みAに関するものである。来場者の位置情報の取得から会場内モニターへの表示、担当営業への通知や携帯での表示等の一連の流れをリアルタイムで行うものである。これは、その目的や活用の要件が明確なため、データ収集基盤や通知・表示のためのアプリケーションを開発・整備し、実現した。2点目は、取り組みのB、Cに関わるものである。

蓄積された行動データを来場者の属性情報等と組み合わせ、展示会後のマーケティングや販売推進部門での顧客データの活用を想定しながら、顧客の興味・ニーズを分析していくものである。例えば、既存取引が大きい顧客については、現在取引のあるテーマ以外にどのようなテーマに興味を持ったのかを把握し、新規提案につなげる、といった活用である。活用要件が明確な1点目と異なり、試行錯誤しながら分析するアプローチとなるため、それが可能になるよう、非IT部門でも大量データを扱えるセルフサービスB(I(Business Intelligence)ツール「Tableau」を準備し、データの分析・活用を行った。

試行錯誤からデータ活用の価値を創り出す

後者のアプローチでは、初めてのデータということもあり、当初の想定と異なる(見てみないと分からない) ことも多い。そのため、関係部門と実際にデータを見ながら議論することにより、その活用の形の具体化を行った。例えば、当初の想定では来場者の動線から顧客ニーズが読み取れると単純に考えていた。しかし、実際のデータを見ると、多くの来場者がほとんどのブースを訪れており(通っており)、単純な動線データだけでは顧客の興味やニーズを表すような、意味あるデータとはならないことが分かった。そのため、適当なエリアを設定し、そのエリアへのチェックイン/チェックアウト時刻を定義し、そこから算出したエリア別の滞在時間の長短から顧客が興味を持ったブースを読み取ることを試みた。 さらに本データは、当初、展示会場における活用を想定していたが、想定とは異なる活用ができることも分かった。商品部門にとって、展示会への出展は、多数のリード(新たにアプローチする見込み顧客)を効率よく獲得できる場である一方で、その多数は興味の度合いが見えず、アプローチを行ってもほとんど興味が無かったという結果が多いという。つまり、獲得リードの数は多いが、その質は悪く、商談へのコンバージョン率は低いという課題があった。そこに、今回取得した来場者別エリア別の滞在時間データを活用することで、確度の高いリードを選別し、コンバージョン率を向上することに活用できることが分かった。

このように、新たに生まれるデータは、企業の基幹業務プロセスで決められたルールに基づき発生するデータではないことが多い。また、分析を目的としてデータを収集・蓄積していないことも多く、データの品質や精度、形(形式等)はコントロールできない部分が多い。そのため、どのように分析・活用し、より価値あるものにするかについては、現場や様々な部門との試行錯誤が不可欠であり、今回の事例でも試行錯誤から活用シーンや効果を具体化していくことが有効であった。

成果

データ活用は高いスキルを持つ人や投資力のある企業だけのものではない

一昔前であれば、こういった試行錯誤を行うようなデータ分析・活用には、専用の情報システムや高度なスキル保有者を揃え、相応のプロジェクト化が必要であった。例えば、今回ご紹介した展示会の動線可視化の事例では、100万レコードを超える位置情報に、数百名の来場者の属性やフロアの位置情報をつないだデータを用いた。以前は、このようなデータの分析・活用には、現場部門(企画・実施部門)のほかに、データの分析や可視化のためのDWH(Data WareHouse)等の情報システムやツール、SQL(Structured Query Language)等のITスキルを持った人材が必要であった。しかし、今回の事例で、顧客の興味やニーズの分析は、デスクトップ型のセルフサービスBIツール「Tableau」を通常業務用PCに導入したのみであった。このセルフサービスBIは、Excelの操作スキルがあれば分析・可視化できるものであり、対象が大量データであっても、データを分析・活用したいと考えている実務部門の担当者が、自ら試行錯誤できるのである。こういったデータの分析・活用は、一部の特別なスキルを持つ人や投資余力のある企業だけのもののように思われている方もおられるかもしれないが、今はそうではない。ビッグデータやIoT(Internet of Things)など様々なキーワードが飛び交う昨今、データ活用によるビジネス機会は増加している。その中で、有用な結果・成果を得るためには、実務現場が自ら自身の業務の中でデータ活用を試行錯誤していくことが重要である。今後も実務現場での試行錯誤をご支援し、データ活用による変革に寄与していきたい。

  • 本事例中に記載の数値、社名・固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページ の閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
higashi

本記事の執筆者

コンサルティング本部 デジタルマーケティンググループ
チーフシニアコンサルタント

東 建志

 

製造業を中心とした経営管理や情報活用に関する業務改革コンサルティングを手掛ける。また、IoT などの新たなデータと企業内トランザクションデータの情報利活用を目指すソリューションを富士通と企画・開発し、市場へ展開中。

お客様総合窓口

入力フォーム

当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。