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帰宅困難者対策の要!大量の帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の運営

~大規模オフィスビル管理運営会社A社様~

概要

一時滞在施設が足りない!求められる民間施設活用

今後30年での首都直下地震の発生確率が約70%と言われる中、首都圏においては帰宅困難者対策が喫緊の課題と言われています。帰宅困難者の混乱を抑止する対策の1つとして、行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保が挙げられます。しかし、この目的の施設としては、公共の施設だけでは数が足りず、民間の施設に協力が求められています。ここでは、自治体と帰宅困難者受け入れに関する災害時協定を結ぶこととなった民間施設(オフィスビル)の運営会社様において、大量の帰宅困難者を受け入れるための運営方法の具体化をご支援した事例をご紹介します。

課題

大量の帰宅困難者をどのように受け入れるか?

東日本大震災の経験から帰宅困難者対策の重要性が叫ばれて数年が経ちます。しかしながら、対策の進展が捗々しくないとの報道をよく目にします。その根拠を示す指標の1つとされているのが、一時滞在施設の確保数です。東京都内においては、必要とされる92万人分に対し、約30万人分の一時滞在施設しか確保できていません。(2017年1月時点)

確保が進まない原因は何でしょうか?都心部では極限まで土地空間の有効活用が図られてきたため、そもそも十分なスペースがないという事情もあります。また、都心部において一時滞在施設の候補となるオフィスビル等を所有・管理しているビル事業者の立場で見ると、スペース的には受け入れる場所があり、エリアマネジメントの観点から受け入れの必要性は認識しているものの、災害時には施設運営スタッフの増員も困難な状況で、帰宅困難者受け入れに必要なマンパワーが確保できないのではないかといった不安や、大勢の帰宅困難者が施設に押し寄せることで大きな混乱が発生するのではないかという懸念があるというのも一因であると言えます。

本事例でご紹介するA社様では、オフィスビル内にある広いイベントスペースを帰宅困難者の受け入れ場所として、自治体と災害時協定を結ぶこととなりました。富士通総研では、この施設運営のためのマニュアル作りに関するご相談を受け、以下に示す課題の解決に向けたご提案を行い、3か月間のプロジェクトをスタートしました。

【課題】
(1)大量の帰宅困難者に対応するためのリスクを明らかにし、対策を盛り込む必要がある。
(2)平常時にビル管理業務を行っている人員で、一時滞在施設運営業務を実施する必要がある。

【課題解決の方針】

発災からの時間軸に沿った「全体活動フロー」を作成し、タイムライン上の各段階で予想される帰宅困難者の行動、施設運営に必要なマンパワー等をイメージしながら行動手順を具体化する。

解決策

発災からのタイムラインで状況・手順を整理

(1)プロジェクトの全体像

プロジェクトの開始にあたり、施設の運営に関わるA社様の関連企業(ビルマネジメント、設備管理、警備等)から成る検討チームを立ち上げました。プロジェクト全体の基本的な流れは【図1】のとおりです。

【図1】プロジェクト全体の基本的な流れ
【図1】検討の流れ

まず、この検討チームと富士通総研で、一時滞在施設としての基本方針等についてディスカッションを行い、施設運営の考え方と具体的な個々の手順については「運営マニュアル」として、発災から施設閉鎖までのプロセスについては「活動全体フロー」としてまとめ、以後の検討のための素案としました。

(2)大量の帰宅困難者への対応

次に、この「活動全体フロー」等をベースに、発災からの時間推移に伴う帰宅困難者の行動をイメージしながら、混乱防止の観点で課題を抽出し、対策を行動手順に反映しました。検討した主なテーマは次のとおりです。

  • 発災時点で施設内にいた利用客の誘導
  • 開設準備段階での帰宅困難者の流入防止策
  • 帰宅困難者への情報発信タイミング(一時滞在施設開設可否の判断基準と判断プロセス)
  • 帰宅困難者受け入れにあたっての、施設内外での誘導方法
  • 収容能力の範囲内での帰宅困難者受け入れ停止方法

特に、施設開設の可否判断については、開設に向けた作業の中で段階的に判断していかざるを得ないため、準備作業の開始判断、受入れ開始の判断などを、行動手順に組み込むこととしました。

(3)施設運営に必要な人的リソースの検証

次に「活動全体フロー」と「運営マニュアル」を基に、発災からの時系列上の各段階での作業量を試算し、必要人数を求めました。

大規模災害時には交通機関の途絶等により外部からの受援(注1)は困難であることから、基本的には平常時に常駐するビル管理業務に関わる関連会社のメンバーで役割分担を行うことを前提とし、検討チームメンバーで、分担を検討するための「体制検討ワークショップ」を実施しました。ここで問題となったのは、被害状況によっては発災直後から建物自体の安全確認作業に多くの要員と時間をとられるため、その間、一時滞在施設運営の要員が確保できないという点です。この問題を解決するため、一時滞在施設開設準備段階を複数のフェーズに分け、初期のフェーズは最小規模人数で活動を開始し、建物の安全確認の進展状況により、次のフェーズに進み、人員体制を拡大する方法を取ることとしました。(【図2】参照)

【図2】一時滞在施設開設~運営の段階と人的リソース試算
【図2】一時滞在施設開設~運営の段階と人的リソース試算

また、帰宅困難者受け入れ後の作業については、受け入れた帰宅困難者に協力を求め、運営体制の一部として組み込むことで、数日間に及ぶ大人数の帰宅困難者への支援を可能とする体制案としました。

成果

大規模施設の共通課題の解決、一時滞在施設数の拡大へ

本プロジェクトにおいては、ここで紹介しなかった施設固有課題についても検討を行っています。具体的には災害時における施設内の動線を考えたフロア利用計画や、帰宅困難者をフロア内に効率的に誘導するためのゾーニング計画、備蓄物資の運搬分配方法、運営要員の役割ごとの行動チェックリストの整備などです。当然、ここで作成した運営手順は、継続的な訓練による検証、要員のスキル獲得を伴って初めて実現できるものであり、現時点では本当の成果とは言えません。しかし、ここでご紹介した大量の帰宅困難者を想定した受け入れ方法、限られた施設運営要員で大規模一時滞在施設を運営する方法等のノウハウについては、今後見込まれる都心部の大規模再開発等により、新たに生まれる広い空間を利用し、一時滞在施設の確保数を大きく伸ばしていくためには重要なものになってくるはずです。

また、一時滞在施設となることを躊躇させる原因となっているものに「受け入れた帰宅困難者に事故が発生した場合の法的責任問題」があります。比較的規模の小さな一時滞在施設であっても、運営マニュアルを整備し訓練を行うことで、事故等の発生を抑止し、法的責任が問われるような事態を回避することにつながると考えます。

富士通総研は、帰宅困難者の受け入れという課題でお悩みの、施設所有者・管理者の皆様の不安解消につながるよう、運営手順・体制検討のご支援を行っていきたいと考えています。

注釈

(注1)受援 : 支援や救援を受け入れること。特に、被災した地域の自治体や住民が、他地域からの援助を受け入れること。

掲載日:2017年10月5日
(ビジネスレジリエンスグループ マネジングコンサルタント 植村 篤)


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