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自治体経営改革の最新動向(1):

本格的な自治体経営の確立に取り組むA市様

概要

市長の強力なリーダーシップの下、自治体経営改革に取り組むA市様を総合支援

第二期地方分権改革は、2011年に関連法律の公布や地方自治法改正に結実しました。これを受け、各自治体は自己決定・自己責任による経営の確立が急務です。富士通総研は、行政経営に関する豊富な実績とノウハウに基づき、優れたリーダーシップを発揮する市長を全面的に支援し、A市様の本格的な自治体経営確立のコンサルティングに取り組んでいます。

課題

自治体経営に資する「総合計画」の策定とPDCAサイクルの確立

旧地方自治法では、市町村が総合的かつ計画的に行政を運営するため、地方議会の議決に基づく基本構想の策定を義務づけていました。自治体は、この基本構想と基本計画および実施計画を一体で総合計画として策定し、最上位計画として施策や行政サービスを執行する根拠として位置づけていました。

しかし、第二期地方分権改革の重要事項である「国から自治体に対する義務付け・枠付けの見直し」の一貫として、2011年の地方自治法の改正に伴い、基本構想の策定義務が撤廃されました。その理由は、形骸化にあります。多大な労力と経費を費やして策定したにもかかわらず、多くの自治体では基本構想を含む総合計画が形骸化し、あまり役に立たない状況に陥っていました。「綺麗に印刷された計画書が山積み」「多くの自治体職員が読んだことがない」「住民は存在を知らない」など、総合計画の形骸化を表す多くの揶揄が囁かれていました。

総合計画が形骸化した主な要因は、以下のとおりです。

【総合計画の形骸化の主な要因「網羅的で抽象的な計画内容」】

  • 議会の議決要件のため、多くの議会議員の様々な要求・要望を反映させる必要性
  • 選挙で選ばれる首長の意向を踏まえ、住民や事業者など多種多様な利害関係者の要求・要望を反映させる必要性
  • 議会答弁に代表される行政特有の抽象的な文書による記述

総合計画が形骸化する要因と地方自治法改正後の自治体の経営能力が試される総合計画のあり方
【図1】総合計画の形骸化要因と今後の総合計画のあり方

一方、自治体を取り巻く環境が将来に向けて厳しくなる中、A市様は、市長がリーダーシップを発揮し、長期的視点に基づいた戦略的・計画的な市政を運営するため、本格的な自治体経営の確立を目指していました。自治体経営の根本の問題点を熟知し、実効性の高い、機能する自治体経営の確立に関する知見・ノウハウを豊富に有する富士通総研は、A市様の依頼に基づき、経営改革全般のコンサルティングを推進しています。本事例はその第1段階として、自治体経営に資する総合計画の策定とそれを起点とするPDCAサイクルの目標像の明確化に対するコンサルティングについて紹介します。

解決策

市長および市経営層と一体となって行った根本要因の明確化と解決方策の立案

富士通総研は、以下の方針に則ってコンサルティングを推進しています。

【コンサルティグの方針】

  1. 市長を中心とした市経営層との徹底的な議論に基づく合意形成
  2. 多様なステークフォルダーを納得させるための有識者会議の活用
  3. 自治体経営を阻む根本要因の明確化と前例にとらわれない解決方策の立案

各方針に基づく具体的な取り組みは、以下のとおりです。

1. 市長を中心とした市経営層との徹底的な議論に基づく合意形成
A市様の経営を確立するためには、経営トップである市長のリーダーシップの発揮と、市経営部門を中核とした組織的なマネジメントを機能させることが重要です。そのためには、市長や経営部門の考えを汲み取りながら、それらの主体に十分に理解された実効性の高い制度設計とその運用支援が必要です。 富士通総研は、市長を中心とする経営会議にコンサルタントが参画し、徹底的な議論を重ね、目指すべき経営改革の最終目標の明確化と共有化を図ることで、実現に向けた強力な推進力を確保しています。

2. 多様なステークフォルダーを納得させるための有識者会議の活用
長期的視点に立脚した戦略的・計画的な市政を推進するためには、市長のリーダーシップの下、選択と集中による経営に資する具体的な内容で構成された総合計画を起点とするPDCAサイクルの確立が不可欠です。これは、従来にはない新たな取り組みとなるため、議会議員や関心の高い市民などのステークフォルダーの理解を得ることが重要となります。

富士通総研は、これまで培ってきたネットワークを駆使することで、自治体経営の現場に精通した企画・財政・行政改革・組織人事・地方分権改革など、複数分野の専門有識者を招聘しました。コンサルタントが、一般公開の中、有識者と市長および市経営部門長が参画する会議体の議論をコーディネートすることで、多様なステークフォルダーの納得性の高い自治体経営のあるべき姿を導き出すことが可能となっています。

3. 自治体経営を阻む根本要因の明確化と前例にとらわれない解決方策の立案
PDCAサイクルの起点となる総合計画を実効性の高い内容とすることは、自治体経営の確立に非常に重要です。地方自治法の改正により議会の議決要件が撤廃された現在、前例の無い中で総合計画や自治体経営のあるべき姿を導き出すことが必要です。
富士通総研は、これまでの実績と知見に基づき、権限と責任が整合しない計画の策定および推進体制が、自治体経営を阻む根本要因であることを明確化しました。その上で、市長が経営トップの市行政と市議会および市民について、日本の地方自治における二元代表制に基づき各々の権限と責任を再整理し、権限・責任に裏づけられた総合計画のあり方を明確にしました。これは、他の自治体に先駆けた取り組みと言えます。

二元代表制における総合計画策定・運用に関する市民・首長・議会の権限と責任の関係
【図2】二元代表制における総合計画策定・運用に関する権限と責任

成果

機能するPDCAサイクルの整備と運用に基づく自治体経営の確立

A市様における富士通総研のコンサルティングは、2011年度から始まりました。A市様が目指す最終目標は、機能するPDCAサイクルの整備と、その運用に基づき自治体経営を確立することにより、長期的な視点に立脚した戦略的・計画的な市政を運営し、将来に向けて持続可能な活力ある地域を実現することです。

富士通総研はその第一弾として、市長および市経営層が一体となり、議会議員などのステークフォルダーを納得させながら、目指すべきPDCAサイクルと、その起点となる経営に資する総合計画を明確化しました。今後は、Check(分析・評価)とAct(改善・改革)に関するコンサルティングにより、機能するPDCAサイクルの整備・運用の支援に取り組みます。さらには、経営を担う組織・人材の育成とマネジメントの確立まで継続支援する予定です。

このように、富士通総研のコンサルティングは、総合計画策定支援や行政評価支援などの個別支援だけではなく、それらを融合させた経営基盤の確立と運用に総合力を発揮します。

PDCAサイクルの確立・運用とそれを支える組織・人材を総合的にコンサルティング支援
【図3】A市様が目指す自治体経営の全体像

関連事例

自治体経営改革の最新動向(2):人材マネジメントのPDCAサイクル実現に取り組むB市様

掲載日:2013年2月4日
(公共事業部 シニアマネジングコンサルタント 佐々木 央)


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