組織内の意識共有を妨げる問題が整理できるシナリオ・プランニング
A社様では、新たな事業の立ち上げや商品を企画する場合には様々なアイデアに基づいて企画案が出されていましたが、そもそもその企画をするに至った経緯が判然としない場合や、お互いの組織が持つ意識の違いから、見ている(若しくは「見えている」)世界が各々異なるため、組織内での意識共有が得られず、せっかくの企画が日の目を見ないことも往々にして起こっていました。ここでは、そういった問題を整理する上で有効と思われるシナリオ・プランニングを活用した事例を紹介します。
将来の予見を実施する場合の3つの課題
様々なアイデアに基づいて、新たな事業立ち上げや商品の企画を実施する場合、将来の見通しに基づく投資判断が必要になりますが、あるお客様(A社様)では、拠り所とする起点(=前提条件)が明確にならず、商品企画が進まず、事業計画立案の前段階で止まっていました。
一般的に将来を予見しようとした場合、見通す想定時点が遠くになればなる程、その不確実性は増大すること、そしてご参加いただく方々がお持ちの知見や背景の違いによっても予見が異なるということ等、あらかじめ認識しておくことが重要です。
こういった予見を実施する場合に大きな課題となるのが以下の3点です。
【図1】将来を見通す想定時点と不確実性
将来を見通す想定時点が遠くになればなる程、その不確実性は増大する。
また、予見しようとする参加者(業界内部と外部)の見方によってもその程度が異なる。
シナリオプランニングによる5ステップの解決策
それまでA社様では、設計開発部門、マーケティング部門、営業部門等の事業に関連する部門が集まって、企画案を策定していましたが、従来の企画の延長線の議論になることが多くありました。A社様の事例では参加メンバー視点に加えて、外部環境を今までよりも広く見るために、A社様とは異なる外部からの参加者を加えて議論しました。
一般的にメンバーを増やして衆知を集めるとなると、様々な意見が続出し、何を議論しているのかわからなくなってしまったり、あまりにも多くのオプションが出されてしまい、逆に判断ができなくなることが予想されます。
シナリオ・プランニングでは、こういった問題の解決策を、以下の5つのステップで進めます。
【図2】シナリオ・プラニングの位置付け:不確実性に幅を持たせたシナリオの検討
社内の部門の壁を越えた提案実施が可能となった
【図3】要素の中で不確実性が高い軸(変化の物差し)の選定と粗シナリオの策定
【図4】要素の中で不確実性が高い軸(変化の物差し)の選定と粗シナリオの策定
掲載日:2011年5月10日
(産業・エネルギー事業部 エキスパートコンサルタント 千代延 健一)
本事例中に記載の数値、社名・固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページ の閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
当社のコンサルティング・サービス内容について、ご不明な点はございましたか?
経営やビジネスに関するお悩みがございましたら、以下のお問い合わせ方法からお気軽にご相談ください。
富士通総研お客様総合窓口
03-5401-8391
ご利用時間:8時40分から17時30分まで
(月曜日から金曜日、祝日を除く)
(注)電話番号はよくお確かめのうえ、おかけください。
お問い合わせへの回答例
お客さまからのお問い合わせとコンサルタントからの回答例です。ご相談をされる際は、是非ご覧ください。