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地域社会に創発されるレジリエントな組織と知恵

上級研究員 上田 遼
2018年5月

要旨

現代の社会システムは、災害時にシステム間の影響が相互に波及する「相互依存関係」にある。その解消には全ての関係者―マルチステークホルダーが防災に取組むことが求められる。本研究は、災害に対するレジリエントな連携のための必要要素を概念と事例から帰納することを目的とする。

地域や都市のレジリエンスは、災害等の状況(コンテクスト)の変化に対して、マルチステークホルダーが柔軟に連携して「適応」する能力とされるが、連携に当たっては様々な齟齬が生まれている。その齟齬は、一般に指摘される意思疎通やネットワークの不足のみならず、断片情報からそもそものコンテクストを共同で描くことが困難であることに由来していると考える。それは、個別システムの維持復旧を主眼においた我々の近代工学の弱点に負っている。翻って生命は、個別の細胞や組織によって生まれるデータから意識や思考のかたちへとコンテクストを自律的に構造化し、環境や自分自身に働きかけ変化させることで、外部環境への知能的な適応を可能としている。社会にも同様の類推が妥当すると考える。

地域社会に創発されるレジリエントな組織と知恵の事例に着目すると、時代を超えて通底して見られるのは「組織の連携と共に情報や知識が構造化され適応すべきコンテクストが明らかとなり、より高次の適応が可能となる。それによって組織の連携がさらに深化、拡大していく」という好循環のサイクルである。そして、「輪中」と呼ぶ歴史的共同体が形成してきた堅固で自律的な防災の知恵は、今日の臨海工業団地の自治政府的な取組や、新たなインターフェース技術を利用した巨大な災害空間の共体験へと、継承、発展されていると考える。そして、生命の恒常性を保つ生体修復機能においても、無意識下でレジリエントな連携が図られている。その原理を社会の復旧に応用することが、相互依存状態を脱し、相互作用によって連携協力を創発できることを、理論的に考察した。

これらに一貫する要諦は、「組織の連携と共に情報や知識が構造化され適応すべきコンテクストが明らかとなり、より高次の適応が可能となる。それによって組織の連携がさらに深化、拡大していく」という好循環のサイクルである。筆者は、そのための自律的な人的組織と技術的システムの社会実装の両面が必要であると考え、工業地の企業等が自治体と連携して自治を進めるためのガバナンスのための制度基盤や、高度な防災開発とマルチステークホルダー連携を並行して進めるための産官学民連携の重要性を指摘した。


全文はPDFファイルをご参照ください。
地域社会に創発されるレジリエントな組織と知恵 (3.05 MB )