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産業高度化を狙う「中国製造2025」を読む

主席研究員 金 堅敏
2017年5月

要旨

中国の製造業は、経済成長の安定化への貢献と自身の構造調整(高度化)という二重任務を背負っており、先進国の再工業化・先進製造化と途上国のキャッチアップという二重の挑戦に直面している。また、欧米からは貿易不均衡の是正や知的財産権保護の圧力が日増しに高まってきている。これらの状況に対応するため、中国は、内外に大きなインパクトを与えると考えられる「中国製造2025」を公表し、実施に移した。

製造業振興長期プランにおける「中国製造2025」は、産業構造調整、労働生産性の向上、イノベーション志向の体質形成、工業化と情報化の融合の進化、製品と生産プロセスのエコ化が目指される製造業に関するトータル的な産業政策の性格を有する。情報技術と製造技術の融合による先進製造方法の実現が政策の主軸になっているので、中国版「インダストリ4.0」と呼ばれることもあるが、日本社会がイメージしているドイツのインダストリ4.0と日本で言う第4次産業革命に関する産業政策とは性格が相当異なっており、短期的にはむしろ生産性向上や自働化の実現を目標にしている。この意味で日本の伝統的な技術やノウハウも「中国製造2025」の実施にビジネスチャンスが見出せる。

当該プランは、2020年、2025年の二段階に分けて付加価値率と労働生産性という究極の数字目標を設けて取り組む。また、特別に取り組む十大産業は、素材・部品等のキーとなるデバイス、装備産業、バイオ・電気自動車などの新規産業が中心となっている。産業政策の手段は、規制緩和や知財保護強化等の市場志向の政策もあるが、差別的な財政・金融、政府調達、市場アクセスにかかわる政策も数多く含まれている。特に、「政府投資ファンド」による産業支援の仕組みは大規模になっており注目される。ただし、このような「政府投資ファンド」は非効率的な国有企業に化けてしまう可能性がある。

中国政府の大規模な支援による産業政策の実施には、欧米から懸念の声が強くなってきている一方、ドイツ(政府と産業界)は、「インダストリ4.0」と「中国製造2025」との協力に積極的で「中国製造2025」の実施で生まれるビジネスチャンスを狙っている。出遅れた日本企業も戦略的な対応が求められる。


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産業高度化を狙う「中国製造2025」を読む (1.43 MB )