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  5. 森林減少抑制による気候変動対策 ―企業による取り組みの意義―

森林減少抑制による気候変動対策

─ 企業による取り組みの意義 ─

上級研究員 加藤 望
2016年12月

要旨

2016年11月、2020年以降の気候変動対策の国際枠組であるパリ協定が発効された。パリ協定は、全ての国が温室効果ガスの排出削減に取り組み、世界の平均気温上昇を2℃未満に抑制することを目指す。その実現には、森林減少および劣化による二酸化炭素(CO2)排出を抑制することが不可欠である。森林減少および劣化は、企業活動がその大きな要因となっていながら、企業に対策を取るインセンティブを与えるのが困難な問題である。

森林減少および劣化を抑制するための国際的なスキームは二つある。一つは、気候変動枠組条約の下の「途上国における森林減少・森林劣化に由来する排出の抑制、並びに森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増強(以下、REDD+)」というスキームである。もう一つのアプローチは、サステイナビリティ認証制度である。森林減少防止などに関する一定の基準を満たした生産物や、それを使用した製品に認証を与える制度である。

REDD+の大きな課題の一つは、企業にビジネス上のメリットをもたらすスキームになっておらず、民間資金を呼び込めない点である。当面は、REDD+による削減量のクレジット化が主な民間資金源になると考えられる。クレジット売却による利益でREDD+活動を維持しつつ、森林保全と高付加価値・高品質な食品の生産などの事業の両立を図ることが重要である。これにより、地域住民の代替生計手段の提供や、その出口となる販路を確立することで、企業がREDD+の持続可能な運営に貢献できる。

認証制度について、パーム油のRSPOを例に取ると、認証取得はパーム油市場で取引するための前提条件になりつつある。日本では、消費者による認証油への需要や関心が低く、商社や小売企業が認証油を調達するメリットは小さい。しかし、サプライチェーン全体を見ると、安定供給という点で長期的には日本企業のビジネスにもメリットをもたらすと考えられる。。

このように、長期的な供給確保や品質管理などのビジネスメリットを、森林減少抑制のための活動に組み込むことで、企業による森林減少抑制への取り組みとCO2排出削減の拡大につながることが期待される。


全文はPDFファイルをご参照ください。
森林減少抑制による気候変動対策 ─ 企業による取り組みの意義 ─ (987 KB)