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  5. CPI下落への中国輸入ファクターの影響とわが国の製造業への示唆

No.151 : CPI下落への中国輸入ファクターの影響とわが国の製造業への示唆

主任研究員 木村 達也

2003年1月

要旨

  1. わが国では近年デフレーション(デフレ)が続き、90年代以降続いている経済の低迷からの脱出が困難な状況にあると広く認識されている。デフレとは、政府見解では「一般物価が持続的に下落する状態」であるが、その観測値としてはGDPデフレーターもしくは消費者物価指数(CPI)が用いられる場合が多い。このうちCPIは、全国の消費者が購入する財・サービスの平均的な価格(一般物価)に近似するように、596品目の価格をウエイト付け集計・算出したものである。CPIの暦年ベースでのピークは98年であり、それ以降、下落が続き2001年は98年比1.7%低下している(ただし98年に不作から価格が高騰した生鮮野菜を除くと同1.3%の低下)。CPIの変動の生鮮野菜を除いたCPI下落への品目別寄与率を算出すると、パソコン(ノート型)、パソコン(デスクトップ型)、電気冷蔵庫、テレビ、ルームエアコンの電気機械5品目の価格下落で28.4%と、全体の下落の約3割が説明される。
  2. これらの電機5品目における価格下落は、中国から低価格の製品が大量流入している影響が大きいとみられる。中国からのこれら5品目の輸入は2001年に1998年比で2.1~88.2倍に達し、品目別の全輸入に占めるシェアも顕著に増加し、2001年に3.8~46.1%に達している(パソコン2品目は電子計算機のデータで代替)。またこれら品目の中国からの輸入単価(CIF建て)は98~2001年の国内生産者販売単価比で6.5~68.8%の水準にあり、スペックが特定されているCPIの調査対象品目(パソコンを除く)の価格を、代替財として引き下げるのに(パソコンでは直接にCPIの調査価格を引き下げるのに)十分な価格差がある。これを統計的に確認するため、98~2001年の電機5品目のCPIにおける価格指数を被説明変数とし、通関統計の電機5品目に相当する品目の中国からの輸入価額の指数を説明変数とし回帰分析を行うと、説明変数は1%有意(両側検定)で決定係数は0.7607と、中国からの輸入品の大量流入とこれら品目におけるCPIの価格指数に高い連動性があることがとが示された。
  3. このような中国からの安価な電機製品の大量流入は、日本企業の現地法人からの逆輸入もしくは生産委託によるOEM供給によるところが大きい。こうした中国などへの生産移転は、生産コスト格差が短期間に縮小困難なことから今後も継続し、デジタル革命などから部品のモジュール化が進展し技術的キャッチアップが容易になるため、生産移転の領域は拡がり自動車にも及ぶ可能性がある。このような生産移転の主な要因であるコスト格差を、電気機械における国内生産のコストに対する中国生産のコストの比率でみると、日本の技術ベースでみて44.1%である。このコスト格差は18.2%が労働コスト、14.9%が原材料(財)の中間投入コスト、20.9%がサービスの中間コスト、2.0%が家計外消費支出による。このようなコスト格差のもとで、日本の製造業に対するアンケート結果にもみられる国内生産の持続を実現するためには、(1)少数精鋭での事業体制の構築、(2)ブランドの重視、(3)大胆な規制改革による非製造業の効率化が重要である。

全文はPDFファイルをご参照ください。

CPI下落への中国輸入ファクターの影響とわが国の製造業への示唆 [1.19 MB]