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  5. 中国における金融国際化へのロードマップ —資本移動の自由化と人民元為替相場の展望

No.124 : 中国における金融国際化へのロードマップ

—資本移動の自由化と人民元為替相場の展望

主任研究員 柯 隆

2001年12月

要旨

  1. アジア通貨危機を契機に、通貨相場制度のあり方に関する議論が再び盛んになっている。通貨危機の原因の一つとして、危機国の通貨が事実上米ドルにペッグしていたことがあげられる。理想的な為替相場制度は、フレキシブルに調整されるものであり、世界的な趨勢としてフロート制を採用する国が確実に増えている。
  2. 東アジアにおいて変動相場制を採用している国は、日本、タイ、フィリピン、インドネシア、韓国である。それに対して、依然固定相場制(含む事実上の固定相場制)を採用しているのは、香港、中国、マレーシア、シンガポールである。中国の人民元は管理フロート制を採用しているが、事実上米ドルペッグしている。
  3. 現行の人民元為替相場制度は人民銀行・外貨管理局により厳しく管理されるのが特徴的である。人民元レートが大きく変動しない理由は、中国資本取引を自由化していないためであると同時に、為替取引の仕組みにも原因がある。つまり、インターバンク市場では、元レートの1日の変動幅は0.3%に制限されており、取引に関する「事前認可制」が採られているためである。
  4. 現在の外貨管理にかかわる基本的な考え方は、為替レートの安定維持を目的に、実需ベースに限定し、経常収支にかかわる為替取引を自由化する一方、資本取引を厳格に管理することである。ただし、資本取引管理にかかるコストの削減とWTO加盟後の金融国際化の必要性から資本項目の自由化が不可避である。
  5. 金融市場の開放と外国為替管理の緩和を実施する前提として、国内の金融制度を改革し、金融システムの効率化を図ることが必要である。94年から始まった金融制度改革は、国有銀行の改革、銀行業新規参入規制の緩和、銀行競争の促進、が中心であった。金利自由化は部分的に行われたが、全般的に厳しい金利規制が継続されている。今後の金利自由化の展望については、1)外貨預金金利→2)外貨貸出金利→3)大口人民元預金金利→4)小口人民元預金金利→5)人民元貸出金利、という手順が想定されている。
  6. WTO加盟が間近に迫っていることから、金融の国際化に向けた準備の必要性が高まっている。当面、外為管理制度について大きな変更は考えにくいが、自由化に向けた準備と一部の制度見直案の提示がすでに行われている。まず、1)外為規制緩和の大きな方向性は、事前管理の緩和と事後管理の強化である。そして、2)外為管理にかかわる内外企業の差別化制度の見直しである。さらに、3)より一層の金利自由化を実施することである。最後に、4)外資銀行の業務範囲の拡大である。
  7. 中国は人民元の完全交換性を回復するためには、多くの難題を克服することが必要である。そのために、1)金融市場の整備、2)国有銀行の改革、3)外為管理制度の改革、を着実に実行すると同時に、金融監督当局の監督能力の向上も不可欠である。
  8. 中長期的な観点からみれば、中国経済の国際競争力強化は人民元高をもたらすことになるが、短期的には、資本逃避や輸出伸びの鈍化による貿易収支の悪化など不安材料が多い。もっとも懸念されるのは、中国経済に対する市場のcredibility(信認)が依然として低い点である。また、政治改革の遅れも元安要因としてみられよう。

全文はPDFファイルをご参照ください。

中国における金融国際化へのロードマップ —資本移動の自由化と人民元為替相場の展望 [112 KB]