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性別・世代別にみるロボットやAI(人工知能)への期待と不安

発行日 2017年7月11日
上級研究員 森田 麻記子

【要旨】

  • 日経新シニアライフデザイン研究会とJTB総合研究所を中心に当社を含め6社共同でウェブアンケート調査を実施した。本稿では20歳~79歳の男女2457名の調査結果を対象に性別および世代別にロボットやAIなどのテクノロジーに対する期待と不安を考察した。
  • 概して、男性は世代間で認識のばらつきがみられ、年齢による興味や関心の相違がテクノロジーに対する不安と期待に表れている。一方、女性は若い世代ほど不安視が強く、期待する事柄については男性に比べ一定の傾向を示した。
  • 男女ともに若い世代で「ロボットやAIはなんとなく信用できない」とした割合が高い。この認識はどこからきているのか更に分析を進めることが重要である。

アンケート調査の概要

  • 当社が参加する日経新シニアライフデザイン研究会とJTB総合研究所を中心に、株式会社デンソー、クリナップ株式会社、大和ハウス工業株式会社と協力し、共同でアンケート調査を実施した。
  • 高齢期はある日突然やってくるものではなく、年を重ねていく経過を人生の早い段階から意識して暮らすことが重要である。このような問題意識を持ち、本調査はシニア層のみでなく多世代を対象として長寿社会での新しい暮らし方を提案する材料となることを目指している。主な調査結果はJTB総合研究所発行の研究レポート「旅と生活の未来地図2017」(注1)に掲載されている。

  • 図表1:調査対象者の性別・年齢内訳

  • 男性 女性
    N N
    20代 95  7.74  96  7.81 
    30代 103  8.39  103  8.38 
    40代 103  8.39  103  8.38 
    50代 309  25.16  309  25.14 
    60代 309  25.16  309  25.14 
    70代 309  25.16  309  25.14 
    ​Total​ 1228  100.0  1229  100.0 

    (出所)共同調査結果より富士通総研作成

「介護・医療」「自動翻訳」への期待とシステムエラーへの不安

  • まず、ロボットやAIへの期待と不安について、世代・性別に関係なく調査結果をみていく。図表2に示したのは、調査対象者が示された項目についてあてはまると思うものを複数回答してもらった結果である。「まだ具体的なイメージが湧かない」を選択した回答者が最も多いが、「医療・介護」や「自動翻訳」など、近い将来当たり前になっていくことが想像しやすい領域での活用については比較的期待値が高い。同時に、「システムエラーによって被害が生じそうで不安」という項目が上位にあることから、期待と不安の混在がみてとれる。
  • 逆に、選択した人の割合が少なかったのはAR(拡張現実)による疑似参加やロボット・AIによる恋人・パートナーの代替である。「ロボットやAIに自分の仕事を取られそうで不安」という項目も他に比べて下位にきている。

  • 図表2:ロボットやAIへの期待と不安

    図表2  ロボットやAIへの期待と不安
    拡大イメージOpen a new window

    (出所)共同調査結果より富士通総研作成
    (注)調査の設問では回答者に分かりやすいよう「AI:人工知能」、「AR:拡張現実」、「VR:仮想現実」と日本語で注釈をつけている。

何が不安視されているか

  • 図表2の項目を期待と不安に関するものに分け、それぞれ性別・世代別に細かくみていく。全体的な傾向として、男性は期待値が高く、女性は不安視が強い傾向があった。
  • まず不安に関する項目をみていく。昨今、AIの発達によって職が奪われてしまうのではないかという懸念を国内外の多くのメディアが採り上げている。図表2に示すとおり、本調査結果ではそのような懸念を示す人の割合は概して小さかった。図表3および4をみると、特に50代以上はその値が非常に低いことが分かる。定年が60~65歳であることを踏まえると、自分自身が直接的にこのような影響を受ける可能性が低いと判断している可能性もあれば、これまで蓄積してきたスキル・能力が簡単に置き換えられるとは考えていない場合もあるかもしれない。
  • 一方、40代以下は男女ともに年齢が下がるほどにAIによる仕事の代替に対して不安を示す人の割合も高くなっており、その影響をより深刻に捉えている。人生100年時代と言われるなか、職業人生も長くなることが予想され、AIの発達により自身の仕事に何らかの影響があるとする人が多いと考えられる。
  • 女性は全体的に若い世代の方が不安を示す傾向にある。それに対し、男性は世代間でばらつきがあり、図表3において上から4項目は中年層に比べ若年およびシニア層が高い不安を示している。
  • 男女ともに18~29歳および30代の比較的若い世代が「ロボットやAIはなんとなく信用できない」という項目に関して他世代と比べ高い割合を示している。

  • 図表3:世代別ロボットやAIへの不安【男性】

    図表3  世代別ロボットやAIへの不安【男性】

    (出所)共同調査結果より富士通総研作成


  • 図表4:世代別ロボットやAIへの不安【女性】

    図表4  世代別ロボットやAIへの不安【女性】

    (出所)共同調査結果より富士通総研作成

新たなサービスへの期待

  • テクノロジーの発展は、不安だけでなく新たなサービスやライフスタイルへの期待も同時にもたらしている。図表5より、男性の場合、シニア層は「装着ロボットによる活動や移動のサポート」、「医療や介護」など、自身の近い将来に活用が期待される技術に対して高い値を示している。「自動翻訳」に対してもシニア層の期待が高い。シニア層に比べると、若い世代は新たな技術から生まれるサービスへの好奇心の高さを窺わせている。特に30代男性は、「ロボットが働くホテルへの宿泊」、「VRでの旅行」や「ARでの催し参加」に対し他の世代よりも積極的であることがみてとれる。
  • 図表6は女性による期待を示したものである。男性に比べて世代間での意見のばらつきが小さく、「医療や介護」、「家事援助」など現状では女性によって担われる部分が多いとされている事柄や「自動翻訳」に対するテクノロジー利活用への期待が全体的に高い。「VRでの旅行」や「ロボットが働くホテルへの宿泊」などの新たな技術を活用したサービスに関しては男性同様、若年世代の期待度が高い。一方で「ARでの催し参加」や「恋人やパートナーのようなロボット」については関心が低い。

  • 図表5:世代別ロボットやAIへの期待【男性】

    図表5  世代別ロボットやAIへの期待【男性】
    拡大イメージOpen a new window

    (出所)共同調査結果より富士通総研作成


  • 図表6:世代別ロボットやAIへの期待【女性】

    (出所)共同調査結果より富士通総研作成

おわりに

  • 未知のものに対して想像力を働かせることは容易ではなく、本調査においても、具体的なイメージが湧かないと回答した人の割合が最も高かった。とはいえ、様々な分野で技術の利活用は進んできており、現代シニアに期待の高い医療・介護や日常生活援助、日々の移動のサポートは既に実用化されている、もしくはその萌芽が見え始めているものが多くある。
  • 若年の回答者の間では、特に男性が新たな技術によるサービスの展開に対して積極的な態度を示している。一方で、将来に向けた現在の若年層に対するビジネス展開を考えると、シニア層、プレシニアである中年層に比べ彼らの間で顕著にみられる「ロボットやAIはなんとなく信用できない」という声を、テクノロジーの不安視の反映と捉えることに留めず、その認識はどこからきているのか更に分析を進めることが重要であると考える。

注釈

  1. 参考:「今シニア」「新シニア」の暮らしとライフスタイル https://www.tourism.jp/tourism-database/survey/2017/03/second-life-new-senior/