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「地域の実情に応じた在宅医療・介護連携を推進するための多職種研修プログラムによる調査研究事業」(老人保健健康増進等事業)の実施について

富士通総研では、厚生労働省「平成27年度老人保健健康増進等事業」(国庫補助事業)として、「地域の実情に応じた在宅医療・介護連携を推進するための多職種研修プログラムによる調査研究事業」を実施いたしました。

お問い合わせ先

担当:第一コンサルティング本部 公共事業部 名取直美、赤田啓伍、山田光瑠

電話:03-5401-8396(直通) Fax:03-5401-8439

背景と目的

2015年に成立した改正介護保険法では、地域包括ケアシステムの構築に向けて、介護保険を財源とする地域支援事業の包括的支援事業の1つとして「在宅医療・介護連携推進事業」が位置づけられています。これにより、「医療と介護の連携」を推進することが市区町村の所掌する業務として制度的に明確化されることとなり、すべての市区町村においては、在宅医療・介護連携推進事業の具体的な事業項目として整理された(ア)~(ク)の8つの取り組みを2018年4月までに実施することとされました。

この8つの取り組みは、在宅医療・介護連携推進事業の具体的な内容を取り出したものであり、それぞれが関係することで在宅医療・介護連携推進事業が進んでいく構成となっています。しかし、自治体の取り組み状況を見ると、それぞれが個別の取り組みとして認識され、事業の中の連続した一連の内容として捉えられていないことが危惧されます。また、地域によって医療・介護資源やキーとなる関係者、これまでの取り組み経緯等が全く異なる中にあって、具体的に何から着手しどう進めていけばよいか、まずは誰に相談すればよいか、その端緒を探しあぐねている市区町村の担当者、あるいは医療・介護関係者も少なくないものと思われます。

そこで本事業では、特にこれから本格的に在宅医療・介護連携に取り組もうと考えている市区町村に対し、その一助となるよう、どのようにすれば各地域の実情を踏まえながら在宅医療・介護連携を円滑に進めることができるかについて、仮説を設定した上で実証調査を行い、そこで得られた成果について取りまとめることとしました。

事業概要

医療や介護は専門職による対人サービスであり、人間関係の中で提供されるものです。したがって、その質の向上のためには、医療・介護に従事する人材の育成・教育(技能の向上や知見の習得)が不可欠であり、さらに関係者のネットワーク化を図ることそのものが提供体制の整備・強化となります。先進的に進んでいる各地域の事例を見ても、医師、看護職、介護職といった専門職同士がコミュニケーションを図り「顔の見える関係」を作ることが重要であり、その中では一堂に顔を合わせる「多職種連携研修」、そしてその中で1つのテーマを設定して検討を行うグループワークが互いの認知、連携推進に効果を上げています。しかし、1回の多職種連携研修で最大の効果を得るためには、それに向けて事前に自治体自身の認識や課題の整理が必要であり、良質な研修内容とするためには各専門職自身が自分たちの課題を考えた上で設計されていることが必要であり、研修結果を活かすためにはその後の継続的な仕組み作りを考えておくことが必要です。

以上から、本調査研究の仮説としては、在宅医療・介護連携推進事業の事業項目として示されている(ア)~(ク)のうち、特に「(オ)在宅医療・介護関係者の研修」が、在宅医療・介護連携推進事業全体を遂行する上でのエンジンとして設定し、在宅医療・介護連携推進事業全体の推進・展開を図っていくことが効果的なのではないかと考えました。よって、本調査研究においては、(ア)~(ク)の取り組みについて、多職種連携研修の実施を1つの目的とする場合の各過程として整理し、まずはその実施サイクルを一通り経験し、その後、継続的改善をしていくことによって在宅医療・介護連携が効果的に推進するという仮説を設定し、2市に実証フィールドを設定して検証を進めました。

【本調査研究における仮説】
  1. 在宅医療・介護連携推進事業の取り組み項目として示されている(ア)~(ク)は、推進の中で実施される取り組みを整理したものであり、本来は一体のものとして意識する必要がある。
  2. 専門職による対人サービスである医療・介護の質の向上のためには、人材の育成・教育が不可欠であり、その良質な人材をもって関係者のネットワーク化を図ることが体制の整備・強化につながる。
  3. しかし、本来異なる背景を持つ医療・介護の専門職らが連携推進に向けて行動するには、当該自治体が考える課題や方向性を示し、働きかけ、共に進めていこうとする姿勢を見せることが重要である。
  4. 以上から、「(オ)在宅医療・介護関係者の研修」こそが在宅医療・介護連携推進事業全体を遂行する上でのエンジンになるものであり、自治体からの働きかけを契機に一連の取り組みを実施していくことで、事業の展開を図ることが効果的である。
  5. さらに、その実施サイクルは当然ながらPDCAの実行が求められるものであることから、スモールスタートであっても早期に取り組むことを重視し、継続的に拡充していくことを目指すことが適切である。
「地域の実情に応じた在宅医療・介護連携を推進するための多職種連携プログラムによる調査研究事業」の実施について図

事業の結果

本事業により、在宅医療・介護連携推進事業の事業項目として示されている(ア)~(ク)のうち特に「(オ)在宅医療・介護関係者の研修」が、事業全体を遂行する上でのエンジンになり、在宅医療・介護連携推進事業全体を進めていく際にも、多職種連携研修を中心に据えて事業の展開を図っていくことが非常に効果的であること、そしてまずはそのPDCAサイクルを一通り経験し、その後も継続的改善を図ることによって、在宅医療・介護連携を効果的に推進できることが示されました。

また、対象フィールドでの実証内容を踏まえ、市区町村において在宅医療・介護連携推進事業に取り組む際に5つの手順とそれぞれのポイント(何を目的として・誰が・どのような役割を果たすべきか)を整理しました。医療・介護連携、そして地域包括ケアシステムの構築は、医療と介護事業者の連携だけではなく、市区町村も事業者とうまく連携を図りながら進めていかねばならず、その関係づくりも含めて進めていくことが重要であることが改めて確認できました。

報告書・手引きの公表

各地域で資源・人材等が異なる中、実情に応じつつ医療・介護連携を進めていくには、在宅医療・介護連携推進、そして地域包括ケアシステムに係る市区町村、医療や介護の事業者が連携し、共に1つのテーマについて協議し取り組んでいくための場と環境づくりが重要となります。本調査研究では、調査研究の経緯と併せ、実施に向けての手順・ポイントを5つのステップとして取りまとめて公表することで、今後の在宅医療・介護の連携、地域包括ケアシステム構築の推進・展開に寄与させていただければと考えております。