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重慶市への外資進出動向

発行日 2008年6月27日

主席研究員 金 堅敏

 

重慶市の経済成長・投資環境

  • 内陸部に位置する重慶市は、北京、上海、天津を含む中国の四大直轄市の一つであり、人口3,200万人を有する。1997年に直轄市設立以降の10年間で年平均10%以上の経済成長を達成している。重慶を基点に3億人の中国西南部市場をカバーできる。
  • 中国の六大工業基地として10万社あまりの製造企業が活動している。有力産業として自動車産業(四輪車、二輪車)、石油・天然ガス及び化学工業、プラント産業、素材産業、ハイテク産業などが注目されている。
  • 重慶市では、57校の大学に60万人が、356校の技術専門学校に45万人が在学している。これらの大学・専門学校は毎年30万人の人材を社会に送り出している。また、中央や重慶市所管の研究開発拠点は100以上あり、各種の専門技術員は70万人に達している。
  • 重慶市は工業都市でありながら、農業都市でもある。労働力の供給が豊富で、重慶市の従業員年平均賃金は23,098元で広州(40,187元)、上海(34,707元)、北京(39,867元)の6割弱である。因みに、重慶市の最低賃金580元は、深せん市の1,000元、上海市の960元と比べ遥かに低いレベルにある。また、重慶の工業用地価格は、北京、上海の1/3程度である。
  • 政策的に重慶市は、中国の他の地域と比べ西部地域の優遇政策と三峡ダム地域の優遇政策を有する。

外資企業進出動向

  • 重慶市には、英国、カナダ、日本、デンマーク、カンボジアが領事館を設置しており、認可した外資企業は4,419社(2007年末現在)である。2007年の外資直接投資(実行ベース)は10.9億ドル(55%増)で中国への直接投資額の約1.4%しかないが、2008年1-4月の導入額(実行ベース)はすでに9.7億ドル(製造業関連3.1億ドル)で急増しており、今年(導入目標25億ドル)は30億ドルにも達すると見込まれている。不動産・流通・金融などへの投資が急増しているという。
  • これまで、フォード、Honeywell、ペプシ、BP、エリクソン、ABB、Lafarge、ダノン、スズキ、ヤマハ、ホンダ、いすゞ、カルフール、メトロ、HSBCなど44社の「フォーチュン500」企業が直接投資をしている。また、BMWによる650CC二輪エンジンOEM委託生産(ローカル二輪車メーカー「隆興」による生産)など新たな取組みも見られる。
  • 最近では、台湾企業による8インチICチップのパッケージング工場の設立、HPによるグローバルテクニカルセンター(ソフトテスティング、モニタリング)の設立、米国Honeywell社によるR&Dセンター(産業用計測機器システム開発)の設立など電子・ICT分野の進出が目立つ。特に、2008年6月12日に投資署名が行われたHPのグローバルテクニカルセンターは、インドバンガロール、国内の武漢、西安、成都から誘致競争を勝ち抜き、今後5年間で5,000名のソフト要員を採用する大規模な計画となっている。
  • また、重慶市は、中国政府が設置した「加工貿易傾斜移転重点受入地」の一つ(沿岸部から内陸部への産業移転促進計画、31ヵ所が指定されている)である。主にコスト上昇に悩まされている韓国系・台湾系・香港系及びローカル系労働集約的輸出型産業の移転が見込まれている。最近、山東省で活動している韓国系企業からの投資視察団が数回訪れたという。
  • 輸出型外資による内陸部へのシフトは、低コストや政府の外資優遇政策を引き続き享受できるとともに、拡大する中国市場へ進出する狙いがあると考えられる。例えば、過日訪問した「重慶奥創生物技術開発有限公司」は2007年11月に設立されたばかりの加工貿易輸出型米中JV企業(社員約50名は募集中)である。米Alfa社の技術を導入した体外スピード計測試薬をグローバル市場へ輸出するAlfa社向けOEM生産計画である。設立に当たっては、重慶市関係機関からテナント賃貸の優遇や設備投資額の補填を受けることができた。この会社も生産設備立上の段階から中国国内の基準に合致するよう計画されており、中国市場向けの準備を行っているという。

日系企業による重慶への投資状況

  • 2007年末までに認可された日系企業の対重慶投資は213社に達し、契約外資金額は8.1億ドルである。投資分野は主に、自動車関連(二輪車・四輪車)及びその部品である。主な投資企業は、スズキ、ヤマハ発動機、ホンダ技研などである。
  • 近年、日系企業の投資活動は小規模に止まっており、現地における日系企業のプレゼンスも大きく低下している。08年1-4月に重慶市に対する日系企業の投資額は870万米ドルしかなく全体の1%にも満たない割合になっている。
  • 日系企業は総コストが低く人材が豊富でかつ都市部の市場が急速に拡大している重慶市など中国内陸部への投資戦略が急がれる。

(小論は現地ヒアリング等に基づいてまとめたものである)