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生き残りを賭けた戦略的な運賃料金表(タリフ)設定

2013年2月27日(水曜日)

昨今の厳しい経済状況により輸送量が伸び悩み、物流事業者においても激しい生き残り競争が起こっています。このような状況において、収益の根幹となる運賃料金表(タリフ)をより精緻に設定することは、今後の生き残りのための重要な課題の1つであると考えます。この運賃料金表を戦略的に決定すれば、収益性の改善のみにとどまらず、競争比較優位の構築にもつながるからです。

運賃料金表の設定は、現状運賃の見直しと新規事業獲得の2つのタイミングで発生します。しかしながら、その運賃設定は何年も見直しが行われていない場合や、簡易的な試算により決定されている場合も多いようです。この状況を改善することで、今後の生き残り競争を勝ち抜くための大きな差別化が図れるものと考えます。

1. 現状運賃の見直しには収益の詳細分析で自社の限界点を把握することが第一歩

現状運賃の見直しの際には、荷主別やエリア別など様々な切り口から過去の実績情報を分析し、実際に採算が取れているかどうかの分析が必要です。収益分析の結果、採算が取れていない個所について、現状の契約から値上げを実現することは容易なことではありませんが、収益に関する詳細情報を把握することによって、様々な効果があることは間違いありません。

例えば、競合他社が現れた場合の、荷主からの値下げ交渉に対しても、自社の限界点を把握することで、より戦略的な価格交渉を進めることができます。さらには、営業戦略に活用することも可能です。利益が十分確保できる領域で商売を拡大することや、利益が確保できていない領域の強化を図るといった対策を立てることが可能になるのです。また、スポット的な見積依頼などにも迅速、かつ正確に対応することが可能となります。

ただし、このような現状分析を行うためには、顧客情報、荷量情報、車両情報、運転日報の輸送実績などのすべての情報をデータベース化し、正確に管理運用する必要があります。

運賃の見直しとして、もう1つ考えられるのが、運賃形態の見直しです。一般的な運賃形態は、車両サイズや距離、重量などによって決定される「基本料金」と、件数割増、残業割増などの、ある条件を満たすと発生する「付帯料金」とで成り立ちます。どこまでを基本料金に盛り込み、どのような条件で付帯条件を設定するかということは、自社の収益に大きな影響を与えるものです。また、きめ細かい付帯条件の設定は、荷主に対するサービスの向上につながり、他社と比較して優位に立つことができます。ただし、その設定内容は、十分な分析結果から導き出された、根拠のある料金体系でなければならないことは言うまでもありません。

2. 新規荷主の運賃設定はコストシミュレーションがポイント

新規荷主獲得の際の運賃設定においては、過去実績の分析に加えて、その荷主の荷量を請け負う場合のシミュレーションを行うことが重要となります。新規荷主を獲得する際には、どの拠点を中継してその荷をどのように配送するか、そして、その場合、どれくらいの輸送コストがかかるかを算出することによって、その荷主との契約運賃を決定します。例えば、他の荷主と荷物を混載したり、また往復便をセット化したりすることによって、輸送効率を向上させ、輸送コストを下げるという策が考えられます。このように、物流事業者は、新規荷主の獲得に当たって、現在、自社が請け負っている荷と、どれくらい混載や往復便のセット化が可能なのかを把握することによって、輸送コストがどの程度になるかを把握し、コストの詳細情報に基づいて戦略的な運賃設定を行うことが可能になるのです。

【図1】新規料金表設定の流れの例
【図1】新規料金表設定の流れの例

3. 精緻な分析や高度なシミュレーション技術で戦略的な料金表設定を実現!

このように、既存運賃の見直しや新規荷主獲得の際に戦略的に運賃を設定するためには、様々な切り口からの過去実績の分析や、混載等を加味した精緻な配送ルートのシミュレーションが必要となります。収益の詳細をきちんと把握することができて初めて戦略的に運賃を設定することが可能となります。

しかし、これらの作業には、十分な技術とそれなりの手間がかかります。特に新規荷主の獲得により、輸送コストがどのように変動するかをシミュレーションするには、複雑かつ膨大な計算が必要となり、非常に困難な作業となります。そのため、現実には、厳密な計算が行われずに簡易的な試算にとどまっている場合や、全体の収益が確保できているからという理由で詳細な分析が行われていない場合が多いのです。その結果、競合他社が現れた場合などに、どの程度の運賃設定まで収益が確保できるのかという見極めや、契約時の運賃設定が本当に正しかったのかという評価を適切に行うことができなくなってしまうのです。

富士通総研では、かねてから物流分野における最適化シミュレーション業務や様々なデータ分析業務に取り組んでおり、多数の実績を有しております。これらの複数の技術を効果的に活用することによって、将来の輸送コストのシミュレーションを行ったり、現状の輸送コストの実績を精緻に分析したりすることが可能です。私たちは、現在その技術を活用して、「戦略的運賃決定支援サービス」と題した物流事業者向けの運賃検討の支援を行っておりますので、是非ともご相談ください。

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「シミュレーション技術が実現する経営判断根拠の精緻化~物流拠点の再配置~」

「数理モデルを活用した環境負荷低減と物流コスト削減のための輸送経路改善」

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【物流最適化】
最適な生産計画・輸送計画・配送計画・拠点立地計画・在庫配置計画などを実現するための数理最適化技術適用を行っています。

【サプライチェーン・マネジメント(SCM)】
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太田崇顔写真

太田 崇(おおた たかし)
株式会社富士通総研 ビジネスサイエンス事業部 シニアコンサルタント
【略歴】2001年 富士通入社、同年、富士通総研へ出向。
現在、物流分野や環境問題において、数理モデルを活用したコンサルティングに従事。