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不安な時代の価値観マーケティング 第1回

~4つの顧客セグメントから戦略を考える~

2010年9月2日(木曜日)

1.社会の変化が消費に与える影響

現在、我が国では、社会構造そのものが変化してきています。少子高齢化、所得格差の広がり、失業率の増加などの構造変化が、将来に対する不安を呼び、消費に少なからず影響を与えている、と誰しもが想像できます。

例えば自動車業界では、若者が車を買わなくなったことが問題視されています。この変化の裏側には、就職難などにより、若者が堅実な貯蓄傾向にシフトしたためだ、といった考え方があります。つまり、社会の変化が、生活者の価値観、ひいては消費行動に影響していると考えられます。

このような、これまでの消費構造の常識が通用しない、個人にとっても企業にとっても不安な時代においては、どのようなマーケティングを行い(あるいは環境変化を逆手にとって)市場を維持・開拓していけばよいのでしょうか。この命題に対し研究を行い、ある1つの答えを導き出しました。全4回にわたって、その概要をご紹介いたします。

社会の変化と消費の連鎖

【図1】社会の変化と消費の連鎖

2.社会の変化と消費行動のつながりを紐解く

~マクロとミクロの視点を融合~

私たちは、社会の変化と消費行動のつながりについて、次のような仮説を立てました。社会の変化が、生活者の価値観を変化させ、消費行動に変化が起こり、最終的に個々の企業に変化が発生する、という連鎖です。

これまでは、社会の変化から消費の変化をマクロ視点で捉える経済研究と、個々の企業の取るべき戦略をミクロ視点で捉えるマーケティングと、領域が分かれていました。

マクロとミクロの視点を融合させ、一気通貫で連鎖を紐解くために、今回は、マクロ視点を得意とする経済研究所と個別企業動向に詳しい(ミクロ視点)コンサルタントが共同研究を行いました。

研究の成果については、次のような構成でご紹介します。

  • 第1回の今回は、社会の変化の特徴と、その変化からどのような価値観の変化が発生したか、仮説をご説明します。
  • 第2回では、価値観の変化仮説を裏付けるアンケートデータをご紹介します。
  • 第3回では、価値観属性による4つの消費者分類について、その特徴をご説明します。
  • 第4回では、旅行業界を取り上げて、4つの消費者分類に対してとるべき戦略について、提言をご紹介します。

3.社会の変化

~不安の拡大により消費行動が変化~

内閣府の「国民生活に関する世論調査(平成21年6月)」によると、平成3年に不安を感じている人は46.8%だったのに対し、平成20年には、70%に達しています。特に、老後の生活設計、今後の収入・資産の見通しについての不安が拡大傾向にあります。また、「心の豊かさ」を求める人は、同様に52.0%から62.6%に増加しています。

この意識の変化に伴い、消費行動も「モノ」から「サービス」へとシフトしています。平成20年版の国民生活白書によると、1984年から2007年の1世帯当たりの財・サービス支出を見てみると、サービス支出の占める割合が32.6%から41.5%にまで高まっていることが明らかになっています。

4.価値観の変化の仮説

~不安の拡大から生まれた価値観の変化(4つの仮説)~

不安の拡大により、消費に対する価値観はどのように変化したのでしょうか。私たちは、さまざまな情報源から、次の4つの価値観の変化の仮説を立案しました。

価値観変化と仮説の背景

【図2】価値観変化と仮説の背景

これらの仮説は、もちろん全ての生活者に当てはまるものではありません。年代、年収、貯蓄状況等によって、価値観の変化が起きる場合と起きない場合が想定されます。私たちはこれらの仮説を検証するため、1000人強のアンケートデータを取得し、分析を行いました。その結果、上記4つの価値観の変化がある程度認められること、また、これらの価値観の変化から、消費傾向を決定づける重要な2つの因子を導き出しました。この2つの因子によって、消費者は4タイプに分けられることが分かりました。

価値観マーケティング

【図3】価値観マーケティング

不安な時代のマーケティングには、消費に対する価値観を考慮した、この4つのタイプを意識して戦略を立てることが重要になると私たちは考え、この考え方を「価値観マーケティング」と名付けました。次の第2回では、4つの価値観の裏付けと、2つの因子についてご紹介いたします。

シリーズ

不安な時代の価値観マーケティング 第2回

不安な時代の価値観マーケティング 第3回

不安な時代の価値観マーケティング 第4回

関連サービス

【調査・研究】


今村 健(いまむら たけし)
(株)富士通総研 流通・サービスコンサルティング事業部長代理
百貨店にて営業、販売促進、経営企画業務を経験した後に、2000年富士通入社。富士通コンサルティング事業部を経て2007年より富士通総研。
小売業、商社、食品業を中心にコンサルティング業務に従事。生活者動向を踏まえた上で、変化に対応できる業務の仕組みへと変革し、ICTを導入していくコンサルティングが得意。