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大規模ビルの共同集配送

シニアコンサルタント 池田 佳代子

2009年1 月27日(火曜日)

東京や大阪などの都市部には20階を超える超高層ビルが多く建っています。こうした大規模ビルでは、各フロアから出ていく荷物や、届く荷物など、毎日多くの物流が発生しています。オフィス以外に、飲食店や雑貨・アパレル等の物販店が入居する複合ビルでは、宅配の荷物だけではなく、生鮮食料品を扱う八百屋や魚屋、その他にもクリーニング屋等の様々な業者が出入りしています。このような大規模ビルでは、効率化の取り組みとして共同集配送が行われています。

1. 大規模ビルにおける共同集配送の必要性

大規模ビルには、地下に納品車両が使用する荷捌き駐車場が設けられています。共同集配送を実施していないビルでは、各納品業者が荷捌き駐車場に車を停め、各テナントに荷物を運んでいます。こうしたやり方では、ビル周辺における入庫待ちの渋滞やビル・セキュリティの低下等、多くの問題が発生してしまいます。これを解消するために、近年では共同集配送が導入されています。

ビルの共同集配送では、各納品業者が各テナントに荷物を届けることはありません。荷捌き駐車場で共同集配送の専任スタッフが荷物を受け付け、各テナント毎にまとめ、配送します。こうすることで、各納品業者はビル館内に出入りせずに荷捌き駐車場で納品を完了し、駐車の短時間化、貨物用エレベーターの混雑解消等が図られることになります。

2. 共同集配送の環境効果

大規模ビルの共同集配送を行うことで、貨物用エレベーターの省エネ化や荷捌き駐車場における無駄な走行の削減が図られます。1つのビルでの環境効果は大きくはないものの、多くのビルで共同集配送が導入されることで、より大きな効果となるとともに、近隣の複数ビルを対象とした共同集配送を行う等のより効果的な方法の検討も可能となります。

3. より効果的な共同集配送に向けて

富士通総研では、宅配業者等67社の共同出資で設立されたコラボデリバリー株式会社(共同集配送を主な事業として実施)と協力して、新宿住友ビルにおいて、より効果的な共同集配送の構築に向けた調査を実施しています。このビルでは、高層階に飲食店が30店舗近くあるため、納品完了までの時間が長時間化しています。しかも飲食店に届けられる生鮮食品等は温度管理が必要なため、これまでは共同集配送には適さないとされてきた荷物です。しかし、これら生鮮食品等の納品業者を取り込むことで、より効果的な共同集配送が行えることから、このビルの納品業者を対象として物流実態の把握のための調査を行っています。

調査では、直接納品している業者と納品先であるテナント企業に対してアンケート等を実施し、納品時にどのような作業が行われているのかといったことや納品完了までにどの位の時間を要しているのか、どれだけの駐車料金がかかっているのか等を把握します。さらに共同集配送に参加してもらうことで時間やコスト、環境におけるメリットが出せるような検討を行っています。

ビルの建物概況やテナント企業の性質などによって物流は異なるため、ビル毎に共同集配送の仕組みを工夫することが必要となります。そのため、共同集配送実施事業者やビル、テナント等と協力しながらより良い仕組みを作り上げなければなりません。富士通総研では、こうした取り組みのための調査や仕組みの検討等の支援を行っています。

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