シニアコンサルタント 平田由紀子
企業サイトは、今や単なる情報発信をするだけでなく、経営貢献につながる戦略的な活用が求められています。
最近、お客様の経営層もしくは経営層に近い方からインターネットを経営戦略にうまく活用したいという声をよく聞きます。
お客様がネットを経営に活用したいという目的は主に以下の2点です。
・営業経費等のコストダウン
・効率的なプロモーション
Webサイトを戦略的に活用するということは、派手なプロモーションをしたり、キラーコンテンツを作ればよいというものではありません。まずは、企業の顔である、企業サイトの品質の向上と維持ができていなければ、どんなプロモーションをしても経営的な効果は上がりません。サイトの基本品質を上げ、維持していくためには、改善のPDCA(*1)サイクルを回し続ける体制や仕組み作りが必要となります。
A社は、YouTubeやCGM(*2)を活用したWeb2.0的マーケティングをグローバルに実践していますが、Webサイトの戦略的活用において最も重要となる「目標達成に向け、サイトを改善しつづけるPDCAサイクルの維持」には苦慮されています。そのA社に、以下のようなコンサルティングをご提案しています。
1)ターゲット設定
・サイトで狙いたいターゲット層を設定。ペルソナ(*3)とよばれる具体的な利用者像を設定。
2)現状サイト評価
・設定したターゲット層の利用を前提とし、サイトのユーザビリティ等を評価。
3)情報構造の見直し
・想定ターゲットが商品購入をスムーズに行えることを目的とし、ネット購買行動モデル(AISCEAS(*4))をベースにメニューを整理。コンテンツのタイトルもターゲット層に訴える内容に見直し。
4)サイトマップ作成
・上記での検討内容をサイトマップやワイヤーフレーム(画面レイアウト図)に表記。
1)品質維持のための運営体制・業務プロセスの改善
・経営と運営部門との目標の共有化。
・目標達成に対するサイトとしてのKPI(*5)設定。
・常にKPI達成を意識し、問題点の可視化と対策を繰り返すPDCAの回し方の検討。
・エンドユーザー部門、広報等の企画部門、運営部門等、各部門の役割の最定義、運営フローの見直しの実施。
2)品質維持のためのデザインガイドラインの作成
・リニューアル実施後、コンテンツの追加・削除などのページ編集を行ってもデザインやユーザビリティを維持できるよう、ガイドラインを作成。(制作ガイドライン、コンテンツ更新マニュアル、業務マニュアル 等)
お客様の業種や扱う商品・サービスの違いを考慮する部分もありますが、上記手法はどのお客様にも適用できるものです。富士通総研では、2006年から、金融機関のB社においてWebサイトの戦略的活用を支援しており、お客様の目標である、新規顧客獲得増につながる商品申込みページへの訪問数を2倍以上増やす等の成果を挙げています。このサイト活用支援のトライ&エラーで培ったノウハウをサービス化し、A社を始めとする、多数のお客様へ展開しようとしています。
(*1) PDCA : Plan, Do, Check, Action
(*2) CGM : Consumer Generated Media
(*3) ペルソナ : 調査データから発見されたユーザー行動の共通パターンを統合しモデル化した仮想のユーザー像。
(*4) AISCEAS : Attention(注目) → Interest(関心)→ Search(検索)→ Comparison(比較) → Examination(検討) → Action(行動) → Share(共有) という消費者行動のプロセスモデル。
(*5) KPI : Key Performance Indicator