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金融ベンチャーカンファレンス Finovate Spring 2014参加報告(その2)~独創的な方法で個人に投資を促すサービス~

2014年7月11日(金曜日)

前回に引き続き、今回も金融系ITスタートアップカンファレンス Finovate Spring 2014の参加報告をいたします。今回のFinovateにおいて注目を集めた分野の1つに、個人向けの株式投資に関するサービスが挙げられます。近年、米国においても若年層を中心に投資に対して消極的な人々が増えていると言われています。米国のスタートアップ企業の中には、このような若年層の消極的な投資傾向をむしろビジネスチャンスと捉え、個人に対して投資を促すサービスを提供しているものがあります。

※前回ならびに昨年の様子は、ページ下部の関連リンクをご参照ください。

株式をギフトカード感覚で相手に送ることができる:StockPile

株式投資について知識のない初心者にとって最初の障壁となるのは、株式投資自体が日常とかけ離れた世界にあり、何から手をつけてよいのかわからないことではないでしょうか。StockPileでは、ギフトカードという日常生活の中で頻繁にやり取りする形式を用いて、株券を友人同士、家族同士で送りあうことが出来るオンラインプラットフォームを構築しています。

StockPileでは、オンライン上で株式銘柄を選択し、友人や家族にギフトカード形式で送ることができます。送られた相手は、実際にその銘柄を購入できますが、送られた銘柄が気に入らない場合は他の銘柄を選択したり、株式投資そのものに興味がない場合は、コーヒーチェーンやピザショップなどのギフトカードに変更したりできます。StockPile自体は、オンライン証券会社としての認可を受けており、この他にも初心者が株式投資を簡単に行えるよう、そのデザインや操作性を大きく改善しているのも特徴です。

ギフトカードという一般に広く流通した形式で株式を取引させることにより、株式投資に対する参入障壁を大幅に低減させている点が注目に値します。また、両親がその子供の誕生日に毎年、定額の株式をギフトカード形式でプレゼントするなど、子供の資産形成を早期から助けるといった使い方も可能です。

StockPileの画面イメージ

<写真1> StockPileの取引画面イメージ
(筆者撮影写真より)

身近なテーマから低額の投資信託を購入できるプラットフォーム:Motif Investing

株式投資が難しく感じられる要因の1つに、知名度の高い一部の企業を除いて、上場している多くの企業が何をしているのかわかりづらく、人々に身近に感じられないことが挙げられます。Motif Investingでは、個々の企業ではなく、企業を取り巻く“Motif(主題、テーマ)”に対して少額の投資を行うスキームを開発しており、多くの利用者を呼び込むことを計画しています。

同社のWebサイトでは、“クリーンエネルギー”、“中国のWeb業界”、“オンラインゲーム”といったテーマが一覧で表示されています。各テーマには、関連する企業銘柄が設定され、テーマとの関連性の強さによりポートフォリオが設定されています。利用者は、興味のあるテーマを選択して投資を行いますが、このときの投資金額は1口9.95ドルと大変安価になっています。また、各テーマのポートフォリオが気に入らない場合、利用者自身で企業銘柄の割合を変更することも可能です。この他、自分自身でテーマを設定することもできます。

Motif Investingでは、低額の投資信託をテーマにするというわかりやすい切り口で提供していると言えます。同社は、他の証券会社等からも注目を集め、昨年には世界的な投資銀行であるゴールドマン・サックスが同社に対して2,500万ドルの投資を行うと発表しました。近い将来、テーマを起点に株式投資を行うことが一般の投資家にとってはスタンダードとなるかもしれません。

友人が興味を持っている株式を購入できるオンライン証券:TD Ameritrade & LikeFolio

一般的に、昨今の若年層は、投資といったリスクの高い金融取引に対しては消極的で、代わりに貯蓄といったリスクの低い金融取引に対する選好が強いと言われています。こうした若年層の投資に対する考え方は、世界的に共通して見られる事象であり、米国においても投資に対して“保守的”な若者が増加したと言われています。TD AmeritradeとLikeFolioでは、ソーシャルメディアを活用することで、若年層に対して投資を促すような仕組みを構築しています。

LikeFolioが提供するサービスでは、ソーシャルメディア(SNS)上で行われる日常の会話から株式投資に興味を持ってもらうことを目指します。LikeFolioのWebサイトでは、SNS上で最も多く言及された企業が一覧で表示され、それぞれの企業がSNS上でどのように言及されているかと共に、そのときの株価の推移が時系列で表示されます。つまり、企業の株価とSNS上の発言の相関関係を確認することができるのです。利用者は、自身のSNSアカウントを連携させることで、友人などがどのような企業に興味を持ち、どのような発言を行っているのかを確認することができます。そして、株式を実際に購入したい場合には、提携するTD Ameritradeのオンラインサイトで購入することができます。

TD AmeritradeとLikeFolioの取り組みでは、平均株価や景気動向といった従来の株式投資で話題となる社会・経済的な事象ではなく、若年層の身近な人々が話題とする事象から株式投資につなげるプラットフォームを構築しており、この手法は大変興味深いものです。

LikeFolioの取引画面

<写真2> LikeFolioのサービス画面
(筆者撮影写真より)

時代と共に変化する提供サービスと時代を超えて共通する”素人目線”のサービス提供

今年のFinovate Springでは、上記でご紹介した3つのサービス以外にも様々な投資を促すサービスが発表されていました。こうした背景には、金融スタートアップ企業におけるトレンドの変化が考えられます。これまでのFinovateでは、PFM(家計管理サービス)といった分野で多くのサービスが発表されていました。これには、金融危機直後に広がった人々の倹約志向への意識の高まりが影響していると考えられます。そして今年に入り、個人向けに投資を促すサービスが注目を集めている背景には、こうした倹約志向から、投資により生活を豊かにしたいという方向へ世の中の意識が徐々に変化していることが影響していると感じます。スタートアップ企業はこうした世の中の意識の変化を巧みに取り入れ、新たなサービス開発を行っているものと思われます。このように世間の流行をうまく取り入れているスタートアップ企業ですが、そのサービス開発においては、共通するある視点が見られます。それは、これまでの複雑な仕組みを少しでも簡単でわかりやすいものへ改良しようとする視点です。新たな金融サービスを検討する上で重要となるのは、こうした“素人目線”でサービス提供のあり方を考えることかもしれません。

(シニアコンサルタント 松原義明)

※弊社では、Facebookページも開設しております。当記事に関するご感想・ご意見は以下のリンク先までお願いいたします。

富士通総研 金融・地域ページ: https://www.facebook.com/Fujitsufrikc/

参考リンク

Finovate Spring 2014紹介ページ : http://www.finovate.com/spring2014/

StockPile社 : https://www.stockpile.com/

Motif Investing社: https://www.motifinvesting.com/

Likefolio社 : http://www.likefolio.com/

関連リンク

2014年:

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2014” 参加報告(その1)

2013年:

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2013” 参加報告(その1)

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2013” 参加報告(その2)

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2013” 参加報告(その3・終)

2012年:

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2012” 参加報告(1/2)

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2012” 参加報告(2/2)