PRESS RELEASE
2015年12月21日
株式会社富士通マーケティング
販売高が伸びている企業は、IT化を通じて「顧客満足度の向上に取り組む」と回答
卸売業における「経営戦略やIT化推進状況」に関するアンケート調査を実施
株式会社富士通マーケティング(本社:東京都港区、代表取締役社長:生貝 健二)は、産業財を取り扱っている卸売業や商社の経営者・役員、部長などのマネージャークラス300名を対象に、「経営戦略やIT化推進状況」に関するアンケート調査を実施しました。
本アンケート調査結果は、「産業財の卸売業における実態調査結果レポート」としてまとめました。当社公開サイト「ICTのmikata」からダウンロードすることができますのでご利用ください。
調査結果トピックス
- 3年前の販売高と比べた平均伸び率は、全体の約46%が増加傾向にある。しかし、「商品の仕入れ価格」の上昇が約47%に対して「商品の販売価格」の上昇が約31%、「粗利益率」では36%が下落しており、採算面では厳しくなっていると思われる。
- IT関連の業務システムの導入状況では、「販売管理システムや購買管理システム」の導入率が44%と最も高いが、 50人未満では、ITを導入したが十分に活用できていないと約58%が回答。企業規模が小さくなるほどIT活用が進んでいない傾向が見られる。
- 今後、IT化を通じて社内改革に取り組む内容として、「利益の増大」が最も高い。販売高が伸びている企業では、「顧客満足度の向上」の取り組みが最も高く、次いで、「業務プロセスの効率化」や「社員の生産性の向上」、「新規事業や新製品の開発」「他社との競争優位性の獲得」などが高い傾向にある。
調査概要
- 調査方法と回答者数:インターネットによるアンケート調査(全国対象 300名)
- 調査対象:「産業財」を取り扱っている卸売業や商社の経営者・役員や部長などマネージャークラス
- 調査期間:2015年9月15日火曜日~2015年9月18日金曜日 の4日間
関連Webサイト
「中堅・中小企業のためのICTのmikata」サイト
本件に関するお問い合わせ
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株式会社富士通マーケティング お客様総合センター
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受付時間: 9時~17時30分 (土曜・日曜・祝日 年末年始を除く)
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電話: 03-6712-3119(直通)
別添資料
調査結果
- 直近の経営状況
3年前と比較した販売高で、10%以上の増加している企業が22%、1~10%未満と回答した企業も合わせると約46%が増加傾向にある一方で、10%以上減少している企業は12%となっている(図1)。
傾向としては、商品の仕入れ価格の上昇が約47%するも商品の販売価格の上昇は約31%に留まり、仕入原価上昇分を販売価格に転嫁できず、利益が縮小する厳しい状況が伺える。
- 従業員の規模別に見てみると300人以上では、68%の企業で販売高が伸びており、50~300人未満では横ばいの割合が減少し、10%未満の増加傾向が高くなっている。また、50人未満では、横ばいが最も多く販売高が伸びている企業と減少している企業が二分されている(図2)。
【図1】販売高の伸び率(n=300/単数回答)
【図2】従業員数別販売高の伸び率(n=300/単数回答)
- 直近3年間の傾向を見ると、「商品の販売価格」や「商品の仕入れ価格」の上昇傾向が高い。特に「商品の仕入れ価格」は、約半数が上昇していると回答した。一方で、「粗利益率」は下落している割合が36%を占め、上昇していると回答した約14%を大きく上回る。「商品の取り扱い分野」は、約26%が拡大していると回答した。
【図3】直近3年間の傾向(n=300/単数回答)
- 卸売業における現場の対応状況として、「アフターサービス」や「迅速な納品」、「お問い合せに対する在庫情報や納期回答の迅速な対応」ができていると回答した割合が80%を超えており、「卸売業の視点を活かした商品開発」や「ユーザーニーズのフィードバック」などは十分な対応ができていないと回答。
【図4】卸売り業務における現場の対応状況(n=300/単数回答)
- IT化の推進状況
「販売管理」「EDIなど受発注」などIT導入は進んでいるがその活用度は低い。
- 「販売管理システムや購買管理システム」(44%導入)、「金融機関とのオンライン取引」(38%導入)、「インターネットによる受発注システム(Web-EDIなど)」(30.3%導入)、「社内の業務を統合するシステム」(21.3%導入)など、IT化が進みつつあると考えられる。
【図5】IT関連の業務システム(n=300/複数選択)
- 社内のIT化の推進状況レベルは、「社内へITを導入したが、十分に活用できていない」が最も高く、約44%を占める。次いで、「業務におけるIT化は進んでいるが、IT活用が部門ごとに完結している」が続く。
従業員数別にみると、50人未満で「社内へITを導入したが、十分に活用できていない」が約58%と高く、300人以上では、「部門間の壁を越えてITの活用が進み、組織全体として活用されている」が約47%と高くなっている。
【図6】社内のIT化の推進状況レベル(n=300/単数回答)
【図7】従業員数別の社内のIT化の推進状況レベル
- 自社の販売管理の実施状況レベルは、「売上や仕入の情報を会計ソフトで管理している」が最も高く約45%を占めるが、今後、実施したいレベルは、「商品の技術情報などが提供できる」が約37%、「顧客管理情報などから販売管理ができる」が約29%を占めた。
【図8】社内の販売管理の実施状況レベル(n=300/複数選択)
- 自社の戦略や経営課題とIT化を通じた社内改革
IT化を通じた社内改革への取り組みについては、販売高が伸びている企業は、「利益の増大」「業務コストの削減」「業務プロセスの効率化」「顧客満足度の向上」などに取り組む姿勢を示し、販売高が減少している企業は、「利益の増大」「売上の増大」が最優先課題とされており、このまま販売高の減少に歯止めが掛からなければ、後がないという厳しい状況にあると考えられる。
- 現在、力を入れている戦略は、「特定商品分野を専門的に扱う」や「取扱い商品分野を拡充する」などが約46%と高く、今後、力を入れたい戦略は、「取扱い商品分野を拡充する」や「自社オリジナル商品の開発・拡充」、「商品調達力や商品企画力を強化」などが多くなっている。
【図9】他社との競争優位を図るため力を入れている戦略(n=300/複数選択)
- 経営上の課題の重要性は、「新規顧客・販売先の開拓」や「原価上昇分の販売価格への転嫁な」どの項目で重要性が高い傾向で、特に非常に重要の回答が高かった項目は「、新規顧客・販売先の開拓」や「人材の確保・育成」が高い。
【図10】経営上の課題の重要性(n=300/単数回答)
- IT化を通じた社内改革として取り組みたいことは、「利益の増大」が約56%と最も高い。次いで、「業務コストの削減」、「業務プロセスの効率化」が続く。これを従業員数別にみると、300人以上では、「業務プロセスの効率化」や「社員の生産性の向上」、「意志決定の迅速化」などが高い傾向が表れている。
【図11】社内改革として取り組みたいこと
【図12】従業員数別の社内改革として取り組みたいこと
- 3年前と比較した販売高の伸び率別にみると、10%以上減少している企業では、「利益の増大」や「売上の増大」などが高いく、10%以上増加している企業では、「顧客満足度の向上」が最も高い。他には、「業務プロセスの効率化」や「社員の生産性の向上」なども高い傾向にある。
【図13】販売高の伸び率別の社内改革として取り組みたいこと
- 総括
卸売業全体を取り巻くビジネス環境が大きく変化して、商品仕入れ価格の上昇やその値上がり分を商品販売価格に上手く転嫁できていないという産業構造的な問題が、販売高や粗利益の減少というかたちで顕在化している。
IT化を通じた社内改革への取り組みたいことを販売高の伸び率(3年前と比較)別にみると、販売高が10%以上減少している企業は、利益の増大や売上の増大の項目が高いのに対して、販売高の伸び率が高い企業ほど業務コストの削減や業務プロセスの効率化といった項目が高くなる傾向にあった。また、販売高が10%以上増加した企業では、顧客満足度の向上が高い傾向にあり、これは自社企業視点(自分視点)での社内改革から、顧客視点(他人視点)に立った取り組みが重視されてきたとも考えられる。
調査結果の利用について
本アンケート調査結果を「産業財の卸売業における実態調査結果レポート」としてまとめました。「ICTのmikata」からダウンロードすることができますのでご利用ください。なお、ご利用にあたっては必要事項の入力にご協力をお願いします。
「産業財の卸売業における実態調査結果レポート」ダウンロードサイト
回答者属性
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