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第04回 すべては58Xから始まった

物流危機への処方箋

山田経営コンサルティング事務所代表
中小企業診断士
山田 健 氏

2018年12月11日更新

1. 赤ちょうちんと貨物列車

「あのころふたりのアパートは裸電球まぶしくて、貨物列車が通ると揺れたふたりに似合いの部屋でした」(作詞 喜多条忠 作曲 南こうせつ)

30代以下にはあまり知られていないかもしれないが、1974年に発表されたフォークグループ「南こうせつとかぐや姫」の名曲「赤ちょうちん」の一節である。
この印象深い歌詞は、貨物列車がまだ身近な存在であったことを伝えてくれる。当時、踏切で延々と続く貨物列車をイライラしながら待った経験を持つ方も少なくないであろう。

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「赤ちょうちん」は大ヒット曲「神田川」に続いて発表されたと記憶している。「神田川」はタイトルの通り、神田川に面した三畳一間の下宿での楽しくもせつない二人の暮らしを歌ったものなので、続編である「赤ちょうちん」も同じような舞台設定だったのではと想像される。少々こじつけになるが、そうすると、裸電球がまぶしい二人の部屋を「揺らした」のは、山手線か京浜東北線あたりを走っていた貨物列車だった可能性が高い。

今は見ることも少なくなったこの貨物列車と昨今のドライバー不足は無縁ではない。

2. かつては鉄道が主役

現在、国内輸送機関に占める鉄道輸送の割合は、トンキロ(輸送トン数×輸送距離km)でわずか5%強にすぎない。

輸送機関別構成比(トンキロ:国土交通省)
グラフ:輸送機関別構成比(トンキロ:国土交通省)

ところが昭和30年(1955年)の統計によれば、当時の国鉄が担っていた鉄道輸送はトンキロで52.6%、トラックは11.7%である。当時の国内輸送では鉄道が「主役」だったのである。グラフ:輸送機関別構成比(トンキロ:国土交通省)

そのころ、池袋、渋谷、新宿、秋葉原、飯田橋といった山手線をはじめ、都内の主要駅には「貨物駅」が併設され、鉄道貨物は旅客とは別に敷設された貨物専用線路の上を、「貨車」と呼ばれる貨物車で運ばれていた。貨車1両にはおよそ大型トラック1台分の15トン積載できた。

しかも、ビールや紙など大量で長距離輸送される製品は、通称「ビール列車」「紙列車」という専用列車を仕立てていた。専用列車は、本線からの引き込み線によって工場内倉庫の軒先まで入構し、直接製品を積み込むことができた。今思えば、トラックによる横持ちゼロの実に効率的でエコな輸送である。

3. すべては58Xから始まった

鉄道の利点は、長距離で大量輸送が可能となり、ドライバーも不要となることだが、問題となるのは列車編成作業であった。全盛期の国鉄貨物は、貨物列車を操車場で組替えながら貨車を継送し、各駅で貨車を切り離す「ヤード輸送方式」が主流であった。

ヤード(操車場)輸送方式

この方式では、広大な操車場が必要となるうえ、列車の組み換え、切り離しなどに時間がかかり、貨物到着までのリードタイムが長いうえに不確定というのが欠点であった。
この不便な鉄道貨物が次第に衰退した末に、大変革の日を迎えることになるのはある意味、やむを得ない時代の流れだったといえる。

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きっかけは、国鉄の「58X(ごーぱーえっくす)」である。58Xとは、昭和58年(正確には昭和59年2月)に行われた貨物駅の大幅な縮小とダイヤ改正のことである。ヤード輸送方式の限界にくわえ、すでに鉄道貨物は年数千億円ともいわれる膨大な赤字を計上していた。
昭和59年2月に行われた抜本的改正により、ヤード輸送方式は全廃されることになった。これにともない、150近くあった操車場の大半も廃止された。さらに、全国に851駅配置されていた貨物駅も457駅へと削減された。

一方、ヤード輸送方式に替わる仕組みとして、操車場での組み換えを必要としない「コンテナ輸送」による駅間直行方式が鉄道貨物の主流となっていく。直行列車によってリードタイムは短縮され、貨車の連結・編成作業が必要ないコンテナによって輸送品質も向上する。

この後の国鉄分割民営化の過程で、JR貨物が分離され、貨物専用線路も原則として廃止された。JR貨物は旅客用の線路を借りて列車を走らさなければならなくなったのである。必然的に旅客列車優先となり、貨物列車は夜中を中心に運行するので、輸送能力は激減した。

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58Xをきっかけに、鉄道貨物は衰退の途をたどり始め、トラック主体の現在の国内輸送体系ができあがる。もちろん、当時は現在のような深刻なドライバー不足を予測する人はいなかった。むしろ、筆者も含め大半の関係者は、鉄道貨物の利便性向上とともにトラックへのシフトが加速することに大きな期待を抱いていたのである。

グラフ:下記のデータを加工してグラフを作成

著者プロフィール

山田 健 氏

山田 健(やまだ たけし)氏

山田経営コンサルティング事務所代表
Webサイト:http://www.yamada-consul.com/Open a new window
流通経済大学非常勤講師

1979年 横浜市立大学 商学部卒業、日本通運株式会社 入社 。総合商社、酒類・飲料、繊維、アパレルメーカーなどへの提案営業、国際・国内物流システム構築に携わった後、株式会社日通総合研究所 経営コンサルティング部勤務。同社取締役を経て2014年、山田経営コンサルティング事務所を設立し、中小企業の経営顧問や沖縄県物流アドバイザー、研修講師などを務めている。
主な著書に「すらすら物流管理」(中央経済社)、「物流コスト削減の実務」(中央経済社)「物流戦略策定シナリオ」(かんき出版)などがある。

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