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第02回 ドライバーがいない

物流危機への処方箋

山田経営コンサルティング事務所代表
中小企業診断士
山田 健 氏

2018年10月18日更新

1. 本当に足りないのは

前回も書いたが、宅配ドライバーの不足が話題である。主な要因が、年率10%以上の勢いで伸びているアマゾン、楽天、YAHOO!などの主要ネット通販の急増だ。考えてみると、すでに年間数億個に達しているネット通販の物量が、1割以上のペースで増えていけばドライバーが不足するのは当然といえる。宅配に限らずどのような産業であれ、人手を要する作業である以上これだけの拡大に対応していくのは容易ではない。

問題なのは、宅配以外の原料、素材から製品にいたる長大なサプライチェーン全体の中でドライバーが足りないことである。こちらは物量の拡大とは別な構造的問題に根差すだけに解決は容易ではない。考えられる要因は2つある。

2. 大型免許保有者がいなくなる

構造的な第1の要因は、昨今の若者の「自動車離れ」に加えて、大型トラックを運転するのに必要な第一種大型免許保有者が減少していることである。下のグラフによれば、実質的に運転が可能な70歳未満の免許保有者は2001年から2017年までの16年間で400万人から350万人へ約1割以上減少している。なかでも20代は約3分の1、30代は半分である。今後はこの年代が40代、50代へと移行していく。次の年代の傾向が変化しないとすれば、事態はきわめて深刻といわざるを得ない。

第一種大型免許保有者数の推移(70歳未満、警察庁調べ)

下記のデータを加工してグラフ作成
「運転免許統計(平成29年版)補足資料1/年齢別・種類別運転免許保有者数」Open a new window(警察庁交通局運転免許課)
「運転免許統計(平成21年版)/年齢別、種類別運転免許保有者数」Open a new window(警察庁交通局運転免許課)
「運転免許統計(平成13年版)/年齢別、種類別運転免許保有者数」Open a new window(警察庁交通局運転免許課)

ここで、これほど大型ドライバーが減っているのになぜ物流が維持されているのか疑問にもたれる方も多いだろう。新規採用がままならない多くの運送会社では、本来なら引退しているはずの60代のドライバーを再雇用などでつなぎとめているからである。
大型トラックは東京~大阪、東京~広島といった、主に長距離幹線輸送を担う。輸送効率を上げるうえで車両の大型化は避けられない手段でもあるだけに、役割は重い。

3. 法令違反が物流を支える?

業界関係者が口をそろえて指摘する割に、マスコミにはあまり取り上げられない第2の要因が、「拘束時間」の問題である。

拘束時間の限度

出典:公益社団法人全日本トラック協会

貨物自動車運送事業法の「改善基準告示」では、ドライバーの1日の拘束時間は13時間まで、延長する場合は16時間、ただし1日の拘束時間が15時間を超える回数は1週間に2回以内と定められている。この基準を順守するようになってドライバー不足に拍車がかかった。

どういうことか。きっかけは関越道での長距離バスや、まだ記憶に新しい長野のスキーバス死亡事故である。多くの乗客が犠牲になったこれらの悲惨な事故の原因の一つがドライバーの過労運転と指摘され、バス会社や運送会社への国土交通省の監査が厳しくなった。
許容される上限として前記の最大拘束時間16時間は、かなり非常識に感じないだろうか。仕事が終わって自宅に帰り、次の仕事まで8時間しかない。しかも週に2回までは15時間勤務が認められている。

情けない話であるが、これまではそれさえも守られていなかったということである。法律を遵守したとたんに必要車両が増えてドライバーが足りなくなった。常軌を逸した長時間労働が常態化していたわけである。実際、物流センターなどでの積込み、積卸し待ちなどが数時間におよぶのはザラにあり、拘束時間の上限に達してしまうのは決して珍しくない。結果的に法令違反が物流を支えていたという、異常な事態が正常化する過程で招いた構造的なドライバー不足である。

著者プロフィール

山田 健 氏

山田 健(やまだ たけし)氏

山田経営コンサルティング事務所代表
Webサイト:http://www.yamada-consul.com/Open a new window
流通経済大学非常勤講師

1979年 横浜市立大学 商学部卒業、日本通運株式会社 入社 。総合商社、酒類・飲料、繊維、アパレルメーカーなどへの提案営業、国際・国内物流システム構築に携わった後、株式会社日通総合研究所 経営コンサルティング部勤務。同社取締役を経て2014年、山田経営コンサルティング事務所を設立し、中小企業の経営顧問や沖縄県物流アドバイザー、研修講師などを務めている。
主な著書に「すらすら物流管理」(中央経済社)、「物流コスト削減の実務」(中央経済社)「物流戦略策定シナリオ」(かんき出版)などがある。

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