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【第11回】RBI実施事例 - 海外事例 -

海外で建設を行うプラントに対して、RBIを実施して検査業務計画を策定することは通例となっている。RBIを実施するのが客先か、あるいは、コントラクターか、という違いはあるが、RBI実施後に、保全・検査方針の策定、実施要領決定などの業務が行われる。

(1)RBIデータベースに関する事例 ある大型のLNGプラント建設プロジェクトでは、客先が実施するRCMやRBIのためのデータベースをEPCコントラクターが提供することになっている。さらに、このLNGプラント建設プロジェクトでは、コロージョン・ループの設定手順書や材質選択手順書なども合わせて提出することが要求されている。客先は、RBI実施後に、保全・検査方針の策定、実施要領決定などの業務を行う。

RBI実施に必要なデータは、プラントの機器情報、プロセス条件を含む機器の運転情報、材料選定基準情報、配管仕様情報などである。

その他に、保全・検査に関連して、EPCコントラクターが提出するデータや図書としては、以下のものがある。

  1. プラントの機器タグと関連データ
  2. 圧力容器・配管の検査計画
  3. 定点肉厚測定箇所の設定と肉厚管理用の図面

このような要求は海外プロジェクトでは通常の傾向であり、客先が運転開始後の運転と保全を含めたプラントのライフサイクルを考慮したものである。

(2)保全・検査方針立案・検証
RCMやRBIデータベースを基に、保全・検査方針を検証が行われる例である。

保全・検査方針立案・検証に関する客先実施項目を以下に示す。

  1. コントラクターが提供するデータベース(設計データと製造者データ)の検証
  2. CMMS(設備保全システム)の整備と機器データのアップロード
  3. RCM/RBI/SILなどによる保全・検査方針の検証
  4. 予防保全・検査、事後保全・検査などの計画策定
  5. 保全・検査計画に基づく作業手順準備
  6. 保全・検査計画に基づく予備品在庫計画

なお、SIL(Safety Integrity Level)とは、日本語で「安全度水準」と呼ばれ、IEC61508(国際電気標準会議による規格)で定義される安全性能を表す水準である。この水準は、安全の要求度合いに応じて、計装計器が機能通りに作動する確率を決めたものである。計装計器が所定の動作確率を守れない場合は、計器の種類を変える、センサーの冗長化を図るなどにより、動作確率を保つ対策を講じる。

上述のように、RBIデータベースは客先がプラントの運転・保全を開始するために準備する計画やシステムのベースとなっている。

(3)外面腐食検査に関する事例
先に紹介した外面腐食検査に関する海外事例である。
海外で建設するプラントに納める静機器について、EPCコントラクターがUTS(Ultrasonic Thickness Scanning:超音波による肉厚検査)検査箇所の選定の妥当性検証と初期値としての稼働前の肉厚測定を行うように、という要求がある。

外面腐食検査は、表4.2に示したように、RBIのリスクマトリクスのコンセプトを重要度分類に適用し、腐食対象の選定基準に利用する。この事例では、腐食検査の対象が配管ではなく、静機器であるが、腐食検査の対象機器選定と検査対象箇所選定の流れは、図4.2に示すものと同じである。

この事例では、客先がRBIによるリスクマトリクスを社内標準として規定しており、そのリスクマトリクスに基づいて決定した肉厚検査箇所の検証を要求されている。

対象となる静機器は以下のものである。

  1. ドラム
  2. フィルター
  3. ヒーター
  4. 熱交換器
  5. タンク

図4.4が機器のノズル部分にUTS実施を示している例である。

plcmNo11-1

図4.4UTS実施指定例

次回は、これまでのまとめとしてのPLCM(Plant Life Cycle Management)について解説する。

 

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