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【第10回】RBI実施事例 - 国内事例 -

日本国内では、設備の高経年化に対応してRBIを適用する事例が多い。設備の高経年化という環境下で設備の信頼性向上の必要性が高まっているからである。RBIの適用としては以下のような例がある。

  1. RBIの試験的運用や自主的な検査計画立案
  2. RBI要素を取り入れた機器・配管の設備管理シートの作成
  3. 配管の外面腐食検査の重要度分類へのRBIの適用

以下では、(2)と(3)に関して説明する。

(a)RBI要素を取り入れた機器・配管の設備管理シートの作成 RBIの設備管理シート作成への適用であるが、設備管理シートは図4.1のような内容を含むものである。設備管理シートの目的は、機器・配管を構成する部品・部位に注目し、部品毎の損傷予測と検査結果を基に検査計画を立案することである。このシートによって、効率的、また、効果的な検査を行うことができる。

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図4.1設備管理シート例

設備管理シートの作成手順は、表4.1の通りである。

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表4.1設備管理シートの作成手順

(b)配管の外面腐食検査の重要度分類へのRBIの適用 続いて、RBIを配管の外面腐食検査の重要度分類に適用する例を紹介する。

配管の外面腐食管理は、検査によって現在の外面腐食状況を把握し、腐食進行を予測し、今後に必要な対策を実施するために行う。

配管の外面腐食検査は関連法規、および、漏えいのリスクと過去の検査結果から検査周期を設定し、検査を実施する。 検査方法は、目視検査、非破壊検査などがあり、これらを組み合わせて検査を実施する。

配管外面腐食検査の概略フローは以下の通りである。

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表4.2配管外面腐食検査作業手順

図4.2に配管の外面腐食検査の具体的なフローを示す。

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図4.2 配管の外面腐食点検への応用例

RBI手法を適用した検査計画立案の手順を図4.3に示す。手順中に、RBIのリスク管理手法が使われる。

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図4.3 RBI手法を適用した検査計画立案例

RBIではリスクマトリクスを損傷発生の可能性(POF)と被害の影響度(COF)で定義するが、この配管外面腐食検査においても、このリスクマトリクスを使用する。
まず、損傷発生の可能性(POF) の策定であるが、腐食速度パラメータと配管使用年数を基に、基礎POFを策定する。腐食速度パラメータは、配管使用条件である温度をベースに決定する。運転温度マイナス10度からプラス90度までの流体が流れる配管、また、間欠運転を行う配管、スチームトレース配管などは腐食速度が速いので、腐食速度パラメータも5から7の数値となる。この速度パラメータと使用年数の積により、基礎POFを決定する。この基礎POFに、保冷配管、過去10年以内に二次検査を実施した配管などの要素を考慮して、図4.3の「III. 初期リスクの決定例」のリスクマトリクスのPOFを決定する。
一方、被害の影響度評価(COF)は、配管の流体の可燃性、毒性、さらに、配管の損傷が生産性に及ぼす影響を考慮して設定する。
このようにして、図4.3の「III. 初期リスクの決定例」のリスクマトリクスを設定する。このリスクマトリクス中の記号は以下の意味である。

H: High
MH: Medium High
M: Medium
L: Low
N: Negligible

「III. 初期リスクの決定例」のリスクマトリクスに基づいて、検査優先順位と検査密度、つまり、予定している箇所(顕在箇所)の検査と損傷の可能性のある箇所(潜在箇所)を決定する。実際に検査が行われた後は、確認したリスクに応じて、「IV. 1次検査結果の補正RISKによる検査優先順位・検査密度設定例」に示すように、検査優先順位や検査密度に補正を加え、次回検査計画を立案する。

※【第10回】の内容は、日揮プラントイノベーション株式会社からの情報提供により掲載しております。

 

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