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B.LIVE in TOKYO

B.LIVE in TOKYO

掲載日 2018年9月3日

体験の再現から、感動の拡張へ

2018年1月、熊本で国内男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE(Bリーグ)」のオールスターゲームが開催されました。この時、東京・恵比寿で行われた世界初の次世代型ライブビューイングが「B.LIVE」です。
550インチの巨大スクリーンにリアルタイムで映し出す4Kの試合映像とともに、”Sound Intelligence”という音のAR技術を活用し、選手の靴音やシュート音、会場の歓声やコートの振動を伝送しました。映像だけでなく音と触感データを共有することで、会場の「空気」そのものが熊本から恵比寿に届き、バスケットボールの迫力と興奮が約900kmも離れた2つの空間で繋がり合いました。

スポーツ観戦の体験価値を拡張する

B.LIVEは、海外に負けない日本ならではの全く新しいスポーツエンターテインメントを提供することで、新しい感動やスポーツ観戦を生む社会インフラを作りたい、というクリエイターや関係者のシンプルな想いを背景にスタートしており、デザイン部門も構想段階からプロジェクトに参画しています。
企画にあたっては、熊本会場に行けないファンの方々が一緒にオールスターゲームを楽しめる場を作ることだけでなく、まだB.LEAGUEにあまり馴染みがない人たちにもバスケットの魅力を知ってもらうことを目指しました。デザインのコンセプトは”Live Boosting”。ただ大きい画面をみんなで観るだけだった今までの”Live Viewing”ではなく、最新のICTによってスポーツ観戦の持つ「臨場感」、「高揚感」、「一体感」という3つの体験価値を”Boost(拡張)”し、熊本会場を超えるような体験を生みだせるようにしました。

スポーツ観戦のUXをデザインする

私たちは、スポーツ観戦が持つ「臨場感」、「高揚感」、「一体感」という3つの体験価値に着目し、それらを会場の盛り上がりや試合の展開に合わせて拡張するための様々な演出を行いました。
ライブビューイングイベントにおける演出で難しいところは、そのリアルタイム性です。特に、スポーツは決まったシナリオが無く、次に何が起こるのか予想できません。また、一瞬一瞬のプレーやシーンが観る人の感情に大きく影響します。そこで、リプレイ映像へのエフェクトやプレーを盛り上げるSE(サウンドエフェクト)などの立体音響を活用した会場音響設定、プレー音や触覚といった拡張の制御について繰り返しテストを行いました。演出がプレーに合っていなかったり、タイミングが少しでもずれたりすることで、会場の興奮が一瞬にして冷めてしまうからです。どういった演出をいつ行うかは試合の展開や会場の盛り上がりを読みながら、その場で判断して決めていきました。
こういった非常に難易度の高い演出は、感性を揺さぶる様々なテクノロジーと世界で活躍するDJ/VJや各業界のプロフェッショナルたちとの融合によって初めて実現することができました。私たちは、ヤマハ株式会社の立体音響技術や慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の触覚技術のチームをはじめ、たくさんのプロフェッショナルとともにアイデアや実現方法を考えながら、全体の演出や音、映像、エフェクトから音楽に至るまで総合的にクリエイティブディレクションを実施しました。
ご来場いただいた方に実施したアンケートでは、通常のパブリックビューイングよりも高額なチケット価格でも高い満足度を感じた、という結果を得ることができました。

今回のUXデザインのベースにあるのは、情報を単なる情報として届けて頭で理解させるのではなく、デジタルを活用し、五感などの感覚を通して人の気持ちに直接届ける「AFFECTIVE DESIGN」という思想です。この思想に基づいたデザインでは、理屈よりも、クリエイターが描いたシナリオの実証を重ねて体験の質を高めていくという地道な作業の方が重要になります。机上で作られたシナリオは実際に形にしてみないとそれが人の気持ちにどんな影響を与えるかわからないからです。今回、リアルタイム性の高い感動作りを実践していく中で、うまくいったことより、想定外の出来事やそれをリアルタイムにどう補正していくのかという体験からの方が、ベストな音や触覚のテクノロジー、機材の組み合わせ方、AIを活用してどうシステムを育てていくかなど、多くの知見を得ることができました。現在はスポーツ分野だけでなく、AFFECTIVE DESIGNの思想に共感していただいている様々な共創パートナーとビジネス実証を始めています。

新しいスポーツエンターテインメントの普及を目指して

音や触覚などによる拡張技術でスポーツ観戦の体験価値を高めるには、試合や声援の状況に応じて多様に変化することが重要だと考えています。今回培ったノウハウをベースに、今後は演出の制御を自動化することを目指していきます。スタジアムやアリーナに来られない人、ライトなファンの人など、世界中のより多くの人々に同時多発的に、新しいスポーツエンターテインメントを提供することができるようになるからです。
これからラグビーワールドカップ2019をはじめ、日本各地で様々な国際大会が行われます。今回B.LEAGUEで行った初の次世代型ライブビューイングが、世界中のあらゆるスポーツの新しい観戦スタイルとして普及することを目指して、今後も活動を続けていきます。

未来構想デザイングループ 田中 培仁
サービス&プラットフォーム・デザイングループ 本山 拓人

(左から)田中 培仁、本山 拓人(左から)田中 培仁、本山 拓人