近年,IoTやスマートフォンなどの普及によって,ヒトやモノに関連した様々な情報がデータ化・蓄積されている。これらのデータに対してビッグデータ解析やAI(人工知能)技術を活用することで,新たな価値の創出を目指す取り組みが世界的に加速している。その一つとして,業種・業界の枠を越えた様々な企業や組織が保有するデータを提供し合い,相互に利活用するといった取り組みがある。これを実現するためには,データに対するセキュリティ対策やプライバシー保護などの課題を解決し,それらのデータを安心・安全に流通・利活用するプラットフォームが必要となる。そこで富士通は,データの流通・利活用に向けてブロックチェーンを応用したデータ流通ネットワーク技術「富士通VPXテクノロジー」を開発し,この技術を基に「FUJITSU Intelligent Data Service Virtuora DX データ流通・利活用サービス」の提供を開始した。
本稿では,富士通VPXテクノロジーおよびVirtuora DX データ流通・利活用サービスを紹介する。
2020年以降の実用化が期待されている5G(第5世代移動通信システム)は,飛躍的な性能向上による通信の大容量化に加え,低遅延・高信頼・超多数デバイス接続といったネットワークの進化をもたらす。5Gの活用例として,監視カメラ映像の伝送,スタジアムにおける多視点ビデオ映像のリアルタイム視聴,工場におけるロボットの制御などが挙げられる。これらのサービスを収容するための容量増大技術として,小セル化やビーム多重技術が検討されているが,セル間干渉やビーム間干渉が通信品質を低下させてしまうという問題を解決する必要がある。これに対して富士通は,集中ベースバンド処理装置(C-BBU:Centralized Base Band Unit)によって,セル間の干渉を低減させるダイナミック仮想セル制御技術と,アンテナ構成およびサブアレイ間符号化によりビーム間干渉を低減させるサブアレイ間符号化インターリーブビームフォーミング技術を開発した。
本稿では,これらの技術の特長と適用シナリオ,シミュレーションおよび実験による評価結果について述べる。
企業ではクラウドの利活用が活発になり,企業内ネットワークの形態は大きな転換期を迎えている。従来型のセンター集中型閉域ネットワークではなく,拠点から直接インターネット上のSaaS(Software as a Service)を活用できるハイブリッド型ネットワークへの移行を考えている企業もある。しかし,それを実現するためには,複雑化する多拠点のネットワーク運用や拠点内のセキュリティ対策の課題を解決しなければならない。富士通と富士通研究所は,SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)の考え方と,合理的なマルウェア対策の考え方を基にそれらの課題を解決するとともに,更に利便性と安全性を両立させたセキュリティ技術の研究開発を行っている。
本稿では,マルチクラウド環境に最適化されたハイブリッド型ネットワークを実現するための富士通の取り組みについて述べる。