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産業・流通分野におけるデジタルトランスフォーメーション


雑誌FUJITSU 2018-5

2018-5月号 (Vol.69, No.3)

富士通は,製造・流通分野において,最先端のデジタルテクノロジーを活用して,人・モノ・情報・ナレッジなどをつないで新たな付加価値を創造するデジタルトランスフォーメーションを支援しております。
本特集では,製造業・流通業,およびクロスインダストリービジネスやグローバルサービスを展開されるお客様のデジタルトランスフォーメーションを実現するソリューションや技術の開発への取り組みをご紹介します。

論文論文

論文

巻頭言

総括

デジタルトランスフォーメーションを支援する富士通の取り組み (681 KB)
國井 裕司, 長谷川 隆, p.2-7
IoT・ビッグデータ・AI(人工知能)などの発展により,第4次産業革命の動きが世界的に広がっている。日本では,2017年3月に経済産業省から目指すべき産業の在り方「Connected Industries」が打ち出され,人・モノ・企業をデジタル技術でつないだ新しい仕組みを創り出すデジタルトランスフォーメーションを進める企業が増えている。デジタルトランスフォーメーションを実現するために,システムに対するニーズも業務のトランザクションを記録するためのシステム(SoR:Systems of Record)から,ビジネスを創出するためのシステム(SoE:Systems of Engagement)へと変化してきている。富士通は,お客様のデジタルトランスフォーメーションをより強力に支援し加速させていくために,2017年にSE部門の再編成を図り各拠点に分散していた技術と人的リソースを統合し,デジタルビジネスとグローバルビジネスへの対応力を強化した。
本稿では,エンタープライズ領域におけるデジタルトランスフォーメーションへの取り組みについて述べる。

製造業におけるデジタル変革

つながるものづくりを実現する情報連携プラットフォームの国際標準規格の策定 (678 KB)
前田 智彦, 若菜 伸一, p.8-12
顧客嗜好の多様化によって,工業製品は複雑化の一途をたどっている。このような要請を速やかに実現するためには,設計・計画・製造・保守などのものづくりの領域に散在する多種多様な情報を,組織の壁を越えて共有・連携させることが必要である。また,現状バラバラに策定されたために連携を難しくしている,情報の種類,データ形式,インターフェースなどをそろえることが必要である。富士通は,国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同の国家プロジェクトとして,プロファイルという概念を用いて,ものづくりに適した情報連携プラットフォームの標準化の検討と実証を進めている。
本稿では,ものづくりに関わるシステム間の情報連携に関する国際標準化の動向と,富士通の取り組みについて述べる。
製造業の新しい価値を生み出すものづくりデジタルプレイス「COLMINA」 (925 KB) 関連情報
北島 満樹, 櫻井 敦, p.13-18
ドイツが提唱したIndustrie 4.0に続き,米国・日本・中国でも製造業の高度化を目指す国家プロジェクトを立ち上げ,ものづくりの現場の変革が進んでいる。IoTの分野では,センサーを搭載した設備や機器をネットワークに接続し,自律・協調して稼働させ,ものづくり全体のコストダウンや付加価値を最大限にすることが最終目標である。また,取引先の工場ともインターネットでつなぎ,サプライチェーン全体の最適化を目指すことも重要である。そして,その先はものづくりの現場と現場がつながることで,デジタルデータを活用して高度なものづくりを実現する「デジタルものづくり」が可能になる。しかし,日本の製造業の多くは,社内の設計・製造・保守という流れの中でも情報が分断されており,スムーズな連携ができていない。その解決策として,富士通はものづくりのあらゆる情報をオープンな形でつなぐプラットフォーム「FUJITSU Manufacturing Industry Solution COLMINA」を体系化した。COLMINAは,ものづくり全般に関わる業務システムやノウハウの連携,更に企業間でのサプライチェーン連携などを実現する。
本稿では,COLMINAのサービスの概要について述べる。
造船現場におけるAR技術を活用した配管管理工数の削減 (1.02 MB ) 関連情報
森川 慧一, 安藤 哲也, p.19-25
2016年6月に,国土交通省より「海事産業の生産性革命(i-Shipping)による造船の輸出拡大と地方創生のために推進すべき取組について」が答申された。この答申では,海事産業においてICTを利活用したイノベーションの創出・生産性向上を行い,2025年の世界建造シェアを3割とするなどの目標が掲げられている。しかし,船舶の建造では,配管などのモノの管理とそれに対応する図面などの情報の管理に膨大な手間がかかっている。これを解決するためには,モノを個別に識別し,モノとその情報を結び付ける仕組み(マーカー)が必要である。富士通は,AR(拡張現実)技術を用いて配管の設計・製作・仕分け・取付などの作業の生産性向上を目的とした配管管理システムを開発した。本システムは,配管1本1本に貼り付けたARマーカーにタブレットをかざして,作業記録を入力したり,作業に必要な図面や取付図を参照したりできるため,作業工数を削減できる。
本稿では,造船現場における生産性向上に向けた取り組みとして,福岡造船株式会社様の配管管理システムの構築について述べる。
故障診断へのAI適用による修理サービスの効率化 (839 KB) 関連情報
日下 治久, 宗意 幸子, p.26-32
製造業においては,自社製品の製造・販売だけではなく,販売後に故障した製品の修理を行うことも重要である。富士通の大手製造業のお客様では,顧客から年間数十万件から百万件程度の出張修理の依頼があり,修理サービスの効率化が経営課題となっている。この効率化に向けては,故障診断の際にできる限り過不足なく補修部品を選定することが特に重要である。しかし,そのための修理ナレッジの整備は,技術員のノウハウに依存した属人的な色合いが濃いため非常に困難である。そこで筆者らは,修理情報システムに大量に保存されている修理実績データに機械学習を適用し,AI(人工知能)化させることによって,故障の症状に応じた適切な部品を高い精度で推定できる故障診断用の学習モデルを構築した。そして,実証実験で精度を検証した結果,最頻出の主要10部品中6部品において,人間による平均選定精度を上回る正答率を得ることができた。
本稿では,今回の実証実験によって確認した故障診断のAI化手法と適用効果,およびAIの更なる精度向上に向けた取り組みについて述べる。

流通業におけるデジタル変革

型にはめないデジタルマーケティングを実現する消費行動DNA (708 KB)
高橋 洋輔, p.33-37
従来,デジタルマーケティングのコアとなる消費行動分析は,マーケターが設定したカスタマージャーニー(消費者が商品・サービスを認知してから購買に至るまでのプロセス)がありきで,それらに対する類似性をもって評価する方式が主流であった。しかし,顧客の人物像を精緻に描写することに傾倒するあまり,具体的なビジネス目標と成果に直結する施策を導き出すまでには至らなかった。富士通は,デジタルマーケティングのプロセスを更に効率化できると考えている。そこで,従来の消費行動分析の知見を活かし,消費者エンゲージメント(消費者の囲い込み)に直結したマーケティング施策の特定を可能にするためのアルゴリズム「消費行動DNA」を開発した。これにより,BtoC(Business to Customer)企業はより効果的な販促ターゲットの特定を実現する分析の自動化が可能となる。
本稿では,消費行動DNAの概要,およびマーケティングへの活用例を紹介する。そして,将来展望としてAI(人工知能)を活用した消費行動DNAの異業種展開についても述べる。
ロジスティクス業務を取り巻く環境変化に対応するソリューション (785 KB)
千須和 学, 松浦 英一, 宮澤 哲也, 渋江 隆介, p.38-43
近年,ロジスティクスを取り巻く環境が激変している。インターネットを媒介としたBtoC(Business to Customer:企業・消費者間取引)やCtoC(Customer to Customer:消費者間取引)の拡大などに代表される消費者行動の変化によって,物量の急増や変動,当日配送を含めた多頻度小口配送の増加が生じている。一方,その担い手となる物流事業者は,トラックドライバーの高齢化や免許保有者の減少,景気回復による人件費の高騰などにより,人手不足が深刻化している。これまでも,富士通は長きにわたりICTを活用したソリューションを提供することで,物流事業者の業務改善・改革を支援してきた。現在は,ロジスティクス全般を包含したFUJITSU ロジスティクスソリューションLogifitシリーズを提供している。Logifitシリーズは,物流センターや輸配送など,ロジスティクスに関する個別の課題解決からロジスティクス全体の最適化まで,環境変化への対応を含めた業務改革・改善を支援している。
本稿では,Logifitシリーズの全体像と,ソリューションをベースに環境変化を踏まえた取り組み,および今後の方向性について述べる。
小売業向けグローバルソリューションとグローバルサービスデリバリーモデルの最適化 (844 KB)
Richard Clarke, p.44-49
小売業はグローバル化されたビジネスである。特に,実店舗とオンラインストアの両方を持つファッション・専門店などの小売業者は,先進国市場と発展途上国市場,それぞれのマーケットに準拠した運用モデルを適用することで価値向上を追求している。富士通は,グローバルサービスデリバリーを展開しており,小売業のお客様を支援する「ビルディングブロックモデル」と呼ばれる,国・地域を問わずソリューションをすぐに使えるようにするためのモジュールを開発した。このモデルのビジネス上の利点は,複製可能な店舗ICT運用モデルやデリバリープロセス,サービス促進の全てを必要に応じて現地市場のニーズに合わせて提供できることである。
本稿では,富士通が提供するビルディングブロックモデルの各機能の特長を紹介する。

クロスインダストリーにおけるデジタル変革

マーケティング基点へと変質する資金決済ビジネスへの対応 (900 KB)
入來 祥穂, p.50-55
昨今,通貨の代替となる価値(以下,Value)が次々と立ち上がっている。Valueには,円やドルなどの法定通貨をデジタル化した電子マネーや,企業が発行し自社の経済圏内で通貨と同様に使用できるポイント,世界中で使える特定の国に依存しないバーチャルな通貨である仮想通貨などの形態がある。これらは従来小売企業が発行していたが,公共性の高い自治体や金融機関,社会インフラ系企業なども参入し始めており,より多様性が増したことで小売店頭では決済対応への負荷が増加している。また,Valueを流通させる事業者は,自社のマーケティング活動のために決済によって取得できる消費者接点情報の利活用を期待していた。しかし,個々の情報が断片的で欠損が多く非均質であるため,人の解釈を挟まないデータマイニングなどの定量的な手法での活用が見込めない。これに対して,富士通では店頭でのValue決済のハードルを下げる仕組みと,消費者接点情報を利活用できる状態に補完・再構築する手法の基本構想を作り,取り組みを開始した。
本稿では,マーケティングを基点とした決済ビジネスの基本構想を実現することによる課題解決と,その事例を紹介する。
オンデマンド交通サービスを軸としたシェアリングエコノミーの実現 (1.12 MB ) 関連情報
金 載烈, 石川 勇樹, 池田 拓郎, p.56-62
昨今,シェアリングエコノミー市場は,グローバル規模での拡大や多様な業種業態の参入により,ますます競争が激しくなっている。日本でも様々な分野の企業が集まり,シェアリングエコノミーの普及や発展を目的として,2015年12月に一般社団法人シェアリングエコノミー協会が設立された。また,シェアリングエコノミーを取り巻く法規制の緩和や,シェアリングエコノミー認証制度の運営など活発な活動も行われている。現在,様々な分野で事業化が進んでおり,地方都市を中心にした自動車の乗り合いサービスもその一つである。しかし,車両の稼働率の偏り,運行計画の見直し不足,近視眼的な事業評価などにより,事業を継続できないことが多い。そこで,富士通はSPATIOWLオンデマンド交通サービスを提供し,データの利活用,乗換・運行情報の連携,需要喚起・創出,他サービスとの連携によるサービス改善や付加価値向上,事業改善支援に取り組んでいる。
本稿では,SPATIOWLオンデマンド交通サービスの技術の特長,および今後の展開について述べる。

お客様のグローバル展開を支えるサービス

世界をつなぐサプライチェーンリスク管理サービス「SCRKeeper」 (1.38 MB ) 関連情報
鈴木 良徳, 宇佐美 成人, p.63-68
2011年,東日本大震災の発生によって製造業各社は生産停止に陥るなど,多大な影響を受けた。生産停止の主な原因は,製造業各社とは直接取引のない二次取引先以降の被災に伴うサプライチェーンの寸断であり,改めてその脆弱性が浮き彫りになった。これに対して,富士通は取引先の事業継続能力を評価・管理するクラウドサービスの開発に取り組み,2013年にFUJITSU Intelligent Society Solution SCRKeeperの提供を開始した。本サービスは,災害発生などの不測の事態において,取引先の被災状況を迅速に把握することで生産計画の見直しや代替調達に活用できる。活用例として,2016年の熊本地震においても迅速な初動に貢献し,お客様から高い評価をいただいた。今後,富士通のグローバルデリバリーセンター(GDC)を活用し,グローバル展開を加速していく。
本稿では,SCRKeeperサービスの概要,熊本地震における活用事例に基づく利用効果,およびグローバル展開について述べる。
グローバルな運用保守を実現するSAPグローバルLCMサービス (668 KB)
清野 直希, p.69-73
近年,製造・流通業向けのERP(Enterprise Resources Planning)関連の新技術や新サービスの適用スピードが加速している。SAP社のERP(以下,SAP)は,お客様がグローバル展開とデジタルトランスフォーメーションへの変化に効率的かつ迅速に対応できるようソリューションを提供する基幹業務アプリケーションである。富士通はSAP社とグローバルで提携し,お客様のSAP導入の立案・企画から運用保守の各フェーズにおいて,新技術,新サービスの適用を支援する「SAPサービス」を提供している。
本稿では,SAPサービス群の中の運用保守についてフォーカスする。まず,運用保守で提供している「SAPグローバルLCMサービス」の概要を紹介し,本サービスで提供しているオファリングの適用事例について述べる。更に,サービスの展開から見えてきた運用保守の新たな課題の対応について述べる。
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