Skip to main content

Fujitsu

Japan

アーカイブ コンテンツ

注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

デジタルビジネス・プラットフォーム


雑誌FUJITSU 2016-9

2016-9月号 (Vol.67, No.5)

富士通は,お客様自身のデジタル革新を実現する新たなデジタルビジネス・プラットフォームMetaArcの提供を開始しました。デジタル革新の時代には,新しいサービスを必要とされるタイミングで即座に提供できる即応性や,組織や産業の枠を超えてプロセスや情報をつないで活用できる柔軟性が求められます。本特集では,このMetaArcを構成するサービスと実装技術,および活用事例と活用効果をご紹介いたします。



巻頭言

デジタルビジネス・プラットフォーム特集に寄せて (535 KB)
執行役員常務 松本 端午, p.1

総括

デジタルビジネスをリードするプラットフォームへの富士通の取り組み (730 KB)
中村 記章, p.2-9
近年,ビジネスや社会生活の中に新たなデジタルテクノロジーが取り入れられ,大きな変革(デジタルトランスフォーメーション)を引き起こしている。この大きな変革の時代に対応するために,富士通はクラウド,モバイル,ビッグデータ(アナリティクス),IoT(Internet of Things),AI(Artificial Intelligence:人工知能)などの最先端ICTを融合し,FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(以下,MetaArc)の提供を2015年に開始した。MetaArcは,人やモノのつながりによって新たなイノベーションを創出するシステム(SoE:Systems of Engagement)と,企業内の基幹業務処理を効率よく行うシステム(SoR:Systems of Record)をシームレスに連携させるプラットフォームである。これによって,ビジネス環境の変化に柔軟かつ迅速に対応するとともに,ビジネスを成長させるために有効な製品群を提供できる。
本稿では,MetaArcの中核となる新たなクラウド基盤であるFUJITSU Cloud Service K5とMetaArcを構成する各種サービス・製品の概要を紹介する。また,富士通のクラウド戦略やお客様への提供価値を最大化するための取り組みを紹介する。

MetaArcを構成するサービスと実装技術

デジタルビジネスの成長と革新を支えるFUJITSU Cloud Service K5 IaaS (784 KB)
和田 裕二, 伊與田 敏, 高群 裕士, 亀田 匡司, 谷内 康隆, p.10-15
FUJITSU Cloud Service K5 IaaSとは,動的にリソースを確保できるクラウド特有の機能を活用したシステム(クラウドネイティブ)だけでなく,今後拡大が期待されるSoR(Systems of Record)やSoE(Systems of Engagement)/IoT(Internet of Things)などのビジネスを支えるための新しいパブリッククラウド基盤である。本基盤はオープン技術を採用し,OpenStackを基盤実装の素材として活用することによって,利用者の要望に迅速に応えることができる。また,OpenStackコミュニティとそのエコシステムと連携し,基盤そのものや上位サービスの完成度を継続的に向上できる。更に,プライベートクラウドやオンプレミスと共通の基盤を採用することで,オンプレミス上の既存システムとK5 IaaS上の仮想システムとをシームレスに連携するハイブリッドシステムを構築できる。
本稿では,K5 IaaSの特長,および典型的な利用シーンについて具体例を挙げて説明する。
企業システムのデジタライゼーションを実現するFUJITSU Cloud Service K5 PaaS (787 KB)
松本 修, 川合 康太, 武田 俊男, p.16-23
企業は,クラウド,IoT(Internet of Things),モバイルに代表されるデジタルテクノロジーの急激な進化により,ビジネスの変革を求められている。これまで想像もしなかった異業種やベンチャー企業が競合相手となり,従来のビジネスを続けているだけでは成長することが難しい先が読めない時代となった。この変化を要求される時代に成長するためには,ICTの利活用により将来を予見し,スピーディーに検証を繰り返すことが可能で,かつ変化対応力のある企業システムが求められる。富士通は,長年のシステムインテグレーションのナレッジとオープン技術を融合したFUJITSU Cloud Service K5 PaaS(以下,K5 PaaS)を2016年4月1日に提供開始した。K5 PaaSは,企業システムの核であるビジネスアプリケーションの開発・実行・運用基盤であり,ビジネスアプリケーションの変化対応力を向上させるものである。更に,ビジネスアプリケーションは,IoTやソーシャルメディアなど様々なサービス機能と「つながる」ことで,新しいビジネスを創造できる。
本稿では,K5 PaaSの特長と,お客様ビジネスのデジタライゼーションにスピードと柔軟性で貢献するために必要な要件,およびそれを実現するサービス機能について述べる。
FUJITSU Cloud Services Managementを活用したマルチクラウド環境の統合管理 (833 KB)
呉 仁, 伊東 千彦, 立岩 美紗子, 鈴木 信吾, p.24-30
近年のビジネス環境ではパブリッククラウドの利用が活発化し,お客様企業においては複数のクラウド(マルチクラウド)を採用するケースが増えている。マルチクラウドを利用する企業の中には,スピードを重視して各部門でパブリッククラウドを契約して利用するシャドーITと呼ばれる形態も広がり,ICTガバナンスが低下する状況も散見される。また,クラウドごとに仕様や操作方法などが異なることから,運用工数の増大や業務の複雑化などの問題が顕在化している。こうした問題に対して,富士通はマルチクラウド統合管理サービスFUJITSU Cloud Services Managementを提供している。本サービスは,マルチクラウド環境において全社的な利用状況や契約,コストなどを一元管理する機能やポータルサイトなどを提供することにより,ICTガバナンスの強化とICTコスト・運用を最適化する一助となる。
本稿では,マルチクラウド利用時における課題と,本サービスを活用した解決手法を紹介する。
IoTシステム全体をコーディネートするIoT Platform (824 KB)
浪平 大輔, 中島 智弘, p.31-36
IoT(Internet of Things)の時代を迎え,富士通はあらゆる情報を蓄積・利活用するプラットフォームFUJITSU Cloud Service IoT Platform(以下,IoT Platform)を2015年8月から提供している。この度,データの利活用(解析や可視化など)を行うお客様アプリケーションとIoT Platformを簡単に連携させる機能に焦点を当て,IoTシステム開発を非常に簡単に行えるようにした。これによって,IoTシステム全体のコーディネートを容易に実現できるようになった。また,海外展開を視野に入れて,地域に依存せずサービスを提供するためのエンハンスを図った。その結果,IoTアプリケーションの開発効率の向上と,地域に依存しないサービスの提供を実現した。
本稿では,IoT Platformの2016年度のエンハンス計画とその利点を示し,IoTシステム全体のコーディネートに対してIoT Platformが果たすべき役割について述べる。また更なるエンハンスとして,IoT Platformが様々な種類・規模のIoTシステムに対して最良のプラットフォームであり続けるために,どのような対応をしていくのかについての方向性を示す。
人を中心としたAIの実現を目指して ~Human Centric AI Zinrai~ (834 KB)
山影 譲, 岡本 青史, p.37-43
昨今,お客様の現場業務の変革やイノベーションによる新規ビジネスの創出に向けてICT活用のニーズが飛躍的に高まっており,その中でも特にAI(Artificial Intelligence:人工知能)の導入に注目が集まっている。富士通では,富士通研究所が中心となって,1980年代から継続的にAIの実用化に向けた研究開発に取り組んできた。今般,これまでに培ったAIの知見や技術をHuman Centric AI Zinrai(以下,Zinrai)として体系化した。Zinraiは,先端研究から得た知見やノウハウをベースに,知覚・認識,知識化,判断・支援の技術と,それらを高度化し成長させる学習技術で構成される。富士通のAIの特徴は,これらの技術を有機的に統合することにより,人の生活や社会をより豊かなものにするICT環境の実現を目指すところにある。
本稿では,これまでの富士通のAIに対する取り組みや,Zinraiを構成する四つの技術分野(学習,感性メディア,知識,数理)における最先端技術を紹介する。また,お客様との共創によってAIビジネスを推進する富士通の活動について紹介する。
スマートデバイスによる現場業務の変革を支えるクラウドサービス (769 KB)
寺坂 丞, 矢崎 昌朋, 橘 紀衣, 河西 弘悦, p.44-50
スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスの普及に伴い,企業や組織においてもその活用が本格化している。業務の現場にスマートデバイスを導入し活用することで,現場のワークスタイル変革やビジネスの革新を見込むことができる。しかし,企業においてスマートデバイスを活用するには,特有の課題が存在する。例えば初歩的な導入段階でも,端末の紛失・不正利用への対策が必要になる。ほかにも,自社の業務への機能や条件の適合性,運用の容易性やコスト,更にはビジネス判断に活かすための現場の見える化など,対応が必要な事柄は多岐にわたる。このような課題を解決するため,富士通はFUJITSU Cloud Service MobileSUITE(以下,MobileSUITE)というクラウド型サービスを提供している。端末の紛失・不正利用対策から,アプリケーション開発・運用の効率化,既存システムとの連携を支援する機能など,スマートデバイスの業務活用の様々な段階に応じたメリットを提供している。
本稿では,MobileSUITEがどのようにしてこれらの課題を解決しているかについて,事例を挙げて解説する。
オープン技術を採用したプライベートクラウド基盤 (721 KB)
鈴木 久智, 蔭山 博靖, Yustinus Juli, p.51-57
近年,ビッグデータの活用,クラウドやモバイル通信・デバイス,およびソーシャルメディアの普及といった急速な環境変化に伴い,お客様のICTシステムにも変革が求められている。しかし,多くの企業はこれまで実施してきたサーバの仮想化・集約にコストをかけてきたため,新たな変革への対応に躊躇(ちゅうちょ)している。そこで富士通は,FUJITSU Cloud Service K5(以下,K5サービス)と,共通技術を採用した垂直統合型商品FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX for Cloud K5モデル(以下,PFC-K5)を提案している。PFC-K5は,富士通の新しいビジネスプラットフォームであるFUJITSU Digital Business Platform MetaArcのプライベートクラウド基盤である。ハードウェアとソフトウェアの設計・構築を済ませてお客様に提供し,ICTシステムのライフサイクル全般を支える最適な運用環境を提供することによって,お客様は最先端技術を低リスクで導入できる。また,導入後すぐに使用でき,インフラ構築の自動化・標準化によってお客様の運用コストも削減できるため,お客様のICTシステム変革を促進する。更に,K5サービスと共通技術を採用し,K5サービスとのハイブリッドクラウド環境も構築可能になる。
本稿では,PFC-K5の概要と特長を紹介する。

MetaArcの活用事例と活用効果の紹介

パブリッククラウドサービスK5による社内システムの集約・統合 (912 KB)
相澤 誠, 角間 知博, 金丸 章憲, p.58-65
富士通では,社内システムの運用コストの削減および新規アプリケーションの開発期間やコストの最小化を目指し,パブリッククラウドサービスへの集約・統合を開始した。社内システムを効率的にパブリッククラウドに移行し安心・安全に運用するため,セキュリティの強化,クラウドサービスと接続するネットワーク環境(VPN接続),共通インフラサービス,全社システム横串のインフラ統合監視や自動運用などクラウド化の技術的課題を解決できる「社内クラウドサービス」を整備した。この社内クラウドサービスの社内パイロットシステムによるクラウド移行検証・評価の結果,インフラ運用コストを30%削減,インフラ導入期間を4か月から2週間に短縮できた。
本稿では,富士通が提供するデジタルビジネス・プラットフォームFUJITSU Digital Business Platform MetaArcの中核となるクラウドサービスFUJITSU Cloud Service K5上に社内システムを集約・統合することを目的とした,社内クラウドサービスの整備や社内パイロットシステムによるクラウドへの移行の検証・評価と効果について述べる。更に,富士通社内システムの完全クラウド化に向けた移行計画と期待効果についても紹介する。
デジタルビジネス・プラットフォームの適用技術整備と普及推進 (663 KB)
吉田 公則, p.66-70
富士通は,お客様ビジネスのデジタル革新を実現するため,クラウドをベースに最先端技術を実装したデジタルビジネス・プラットフォームFUJITSU Digital Business Platform MetaArc(以下,MetaArc)の提供を2015年10月に開始した。富士通のMetaArcは,デジタルビジネスを実現するグローバルなプラットフォームとして,企業や業界の枠を越えて人・情報・インフラをつなぐことを支援し,お客様の新たな価値創造と企業競争力の強化に貢献するものである。筆者の所属する部門では,国内外のボーダレスな活動を通じてSI(System Integration)ナレッジ(富士通が保有するSI技術のノウハウ)を蓄積し,富士通のサービスビジネス全体の構造変革につなげることでグローバルビジネスを強化・加速するミッションを担っている。MetaArcおよびFUJITSU Cloud Service K5(以下,K5)においても,国内・グローバルでの普及に向けた様々な施策を推進している。
本稿では,上記の施策のうち筆者らが実施しているK5関連商談の技術支援や適用技術の整備によるSIノウハウ蓄積と社内外向けドキュメント作成について述べる。更に,K5へのモダナイゼーション適用技術整備によるお客様システムの変化対応力向上,MetaArc適用技術のグローバル展開活動,および米国スタートアップ企業との連携強化活動などの取り組みについて解説する。