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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2014-11月号 (Vol.65, No.6)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2014-11

特集:変革する社会を支える自治体ソリューション

本特集では,自治体の経営や業務プロセスの改革を支援するソリューションとコンサルティング事例,および自治体システムの最適化技術を紹介します。


行政システム事業本部
本部長
砂田 敬之
行政システム事業本部 本部長 砂田 敬之 写真

変革する社会を支える自治体ソリューション特集に寄せて(PDF)

少子高齢化と三大都市圏への人口集中による過疎化,それに伴う厳しい地方財政,一般行政職員数の削減に悩む地方公共団体において,ICTの活用が地域活性化を実現するための重要な鍵となっています。富士通グループは,地方公共団体が目指す地域経営の改善と住民サービスの向上に対して,ICTを活用して事業継続と業務改善に貢献する行政パートナーとなるとともに,多様な課題の解決をサポートし,地域活性化に向けて取り組んでまいります。

特集:変革する社会を支える自治体ソリューション 目次〕

社会保障と税の番号制度

  • 番号制度の導入に向けた富士通グループの取組み
  • 自治体基幹システムにおけるマイナンバー(個人番号)制度対応への取組み
  • 子ども・子育て分野における富士通の取組み

自治体経営・業務プロセスの最適化

  • 最新の自治体経営改革コンサルティング
  • BPM/BPMNによる業務最適化・システム調達適正化の実現
  • 実効力のある公共施設マネジメントに向けた取組み
  • ICTを活用した効率的かつ戦略的な社会資本の維持管理

自治体システムの最適化技術

  • 自治体ICTリソースの全体最適に向けたアプローチ
  • 自治体大規模基幹業務におけるモダナイゼーション型再構築の取組み

富士通の最新ソリューションと導入事例

  • 特別区向け住民情報システムへの自治体クラウド導入の取組み
  • 中小都市の基幹システム標準化とノンカスタマイズ適用の取組み
    ~MICJET MISALIOの適用事例から~
  • 新しい行政内部事務を実現する内部情報ソリューション:IPKNOWLEDGE V3

地域課題の解決に向けた新しい取組み

  • 超高齢社会に向けた自治体の取組み
    ~大都市郊外における互助の実践事例~
  • MICE国際競争力の強化に向けた地域情報のオープンデータ化と活用

特集:変革する社会を支える自治体ソリューション


社会保障と税の番号制度

2013年5月に成立した社会保障・税番号関連法に基づいて導入される番号制度は,行政機関などが保有する個人・団体の情報が,同一人物・団体の情報であることを特定する基盤を整備するものである。番号制度の導入に向け,国は法成立前から地方公共団体での影響を調査し,成立後も各種指針などの提供や主務省令案の提示,各種説明会の実施など,準備作業を推進している。それを受けた多くの地方公共団体では,影響する事務などを把握しながら,制度導入に向けた検討体制を整備し,各種の課題に対する解決策を検討している。富士通グループでは,法成立以前から,番号制度に関わる各種情報収集や調査研究を行ってきた。
本稿では,番号制度導入に向けた富士通グループの取組み,および地方公共団体における情報システムの構築・改修の安全かつ確実な実現に向けた各種支援について述べる。

中村 均, 水野 成典

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」が2013年5月に成立した。この番号制度導入に向けて,地方公共団体においては,影響するシステム改修対応のほか,個人情報保護評価対応,条例制定や住民向け広報など,多岐にわたる準備が必要である。それに対して富士通は,情報提供活動,システム改修支援,研修支援サービスや住民向けコールセンターサービスなどの提供と,住民基本台帳ネットワークシステムなど,過去の一斉稼働システム対応の経験を生かした全社支援体制により,地方公共団体の番号制度導入を支援していく。
地方公共団体が番号制度対応を行う上で,重要課題である情報提供ネットワークシステムとの接続,および団体内統合宛名システムの実現は,「MICJET 番号連携サーバ」の提供により解決する。MICJET 番号連携サーバは,マルチベンダー環境の接続や,情報提供用個人識別符号の取得における課題についても解決を図る。
本稿では,番号制度導入に対する富士通の取組みを述べる。

橋本 曉輝, 杉江 嘉昭

社会保障制度改革が進められる中,少子化や待機児童問題などの子ども・子育て環境を取り巻く課題を解決するために,2015年4月から子ども・子育て支援新制度が施行される。2005年の次世代育成支援対策推進法の施行以降,急速な少子化や家庭環境の変化に対する施策の推進に伴い,自治体の子育て支援事業は多様化してきた。富士通は,多様な子育て支援事業への対応として,「汎用性の追求」「操作性の追求」「成長・継続するシステム」というコンセプトのもと,MICJET MISALIO 子育てソリューションを市場に提供してきた。2015年4月に本施行となる子ども・子育て支援新制度においても,子育てソリューションのコンセプトを継承・発展させながら,全国一斉稼働に向けて対応を行っている。
本稿では,子ども・子育て分野における富士通のこれまでの取組みと,今後の展開について述べる。

太田 勝久, 東谷 竜矢

自治体経営・業務プロセスの最適化

我が国は,本格的な人口減少社会に突入し,地域社会の持続可能性に対する危機感が本格化してきた。そうした中,第二期地方分権改革の成果が各種法律の成立によって結実し,制度面での環境整備は一区切りが付いた。今後は,各地方自治体が,地方分権改革の具体的な成果を生み出していくことが求められる段階となった。将来に向けて厳しい経営環境が予想される地方自治体が,持続可能な地域社会を維持・形成するためには,PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルに基づく経営基盤を確立し,高い実効性を伴って運用することが不可欠である。しかし,多くの地方自治体ではPDCAサイクルが形骸化し,経営が危機に立っている。
本稿では,地方自治体のPDCAサイクルを機能させ,自治体経営を確立するための重要なポイントとして,富士通総研が考えるPDCAサイクルの起点,およびPDCAサイクルの担い手の改革としての「経営の起点に資する総合計画の改革」と,「自治体経営を担う組織・人材マネジメント改革」の在り方を論じる。

佐々木 央, 関谷 美由紀

近年,政府機関や自治体においては,国民のニーズの多様化や社会環境変化に迅速に対応できる制度・政策の実現に向けた業務プロセス改革が求められている。米国政府などでは,経営のマネジメントツールであるビジネスプロセス管理(BPM:Business Process Management)の導入により,行政の俊敏性や行政サービスの向上を図るとともに,政府内の属人性の排除などにも効果を上げている。
本稿では,2013年度に富士通総研が某研究機関と共同で実施したBPM/BPMN(Business Process Modeling Notation)に関する実証研究の成果や,業務・システム最適化コンサルティングで培った知見などに基づき,BPM/BPMNの導入による政府機関や自治体における業務プロセス改革の実現性について述べる。また,政府情報システム調達プロセスの適正化に向けた標準記述様式の見直しなどの課題について考察する。

中川 弘文, 齋藤 大

近年,公共施設などの老朽化問題に対する国や地方自治体の関心が非常に高まっている。高度経済成長期の人口急増に合わせて急速に整備を進めてきた公共施設が,建設から約40~50年以上経過し,その維持更新費用が短期間に集中するものと見込まれている。一方,特に地方自治体においては,人口減少と少子高齢化の進行により,税収の縮減と社会保障関係費の増加による投資余力の低下が懸念され,全ての公共施設を現状のまま一律に維持更新し続けることは困難な状況にある。そのため,公共施設を総合的に把握し,財政運営と連動させて維持更新・活用するための公共施設マネジメントの取組みが急務な状況にある。このような状況下で,2014年4月に総務省から「公共施設等総合管理計画策定の要請」が全国の地方自治体に示されたことで,地方自治体における公共施設マネジメントへの取組みが加速している。
本稿では,そうした公共施設マネジメントに取り組む地方自治体に対し,富士通総研の考えるより高い実効性のある戦略的なマネジメント方策を実践するためのポイントを紹介する。

長谷川 一樹, 櫻田 和子

昨今,高度成長期以降に集中的に整備された公共施設いわゆる「社会資本」の老朽化対策が全国的な課題となっている。国土交通省が示した「インフラ長寿命化基本計画」の方針のもと,総務省から「公共施設等総合管理計画策定の要請」が通知され,地方公共団体は,道路・橋梁・上下水道などインフラ各分野に加え,庁舎や学校などの施設に関しても長寿命化対策に取り組んでいる。しかし,厳しい財政状況下では,老朽化対策費用が確保できなくなることは確実と言われている。そこで,社会資本の全体最適化の視点に立って,地方公共団体が保有する全ての公共施設の将来にわたる適切な維持管理の手法が必要となっている。
本稿では,ICTを活用して社会資本の維持管理を効率的かつ戦略的に取り組んでいる兵庫県様の事例を紹介する。また,社会資本情報をオープンデータとして活用する取組み,および今後のICTを活用した効率的な社会資本維持管理の展開について述べる。

岡田 英人, 金川 康宏, 松本 大輔

自治体システムの最適化技術

多くの自治体では,基幹系・情報系の二系統のネットワークが整備されており,その存在が自治体ICTインフラの最適化を困難にしていると富士通は考えている。二系統のネットワークが存在する場合,その維持・管理が煩雑になったり,柔軟性が低下したりする。また,端末統合やサーバの仮想集約が複雑化したり,高コスト化したりするなどの問題も生じる。番号制度の導入は,行政サービスの効率化のみならず行政サービスを支えるICTナショナルインフラの整備が促されることにもつながる。その番号制度は,自治体が所有する既存システムを中間サーバーとオンライン接続する場合,LGWAN(総合行政ネットワーク)と基幹系を接続する必要がある。そのため,自治体ICTインフラの最適化の契機として捉えることも可能である。
本稿では,自治体ICTインフラの将来像である富士通の「TRIOLE自治体グランドデザイン」をモデルに,最適化を実現するための三つのアプローチを述べる。第一にネットワークの再編と,第二にVDI(仮想デスクトップ基盤)による端末統合を実施することで複雑なネットワークを整理統合し,第三にシステム運用や非機能要件を加味した実用的なサーバの仮想集約を実現する。富士通では,これらの取組みの実践知をTRIOLEグランドデザインソリューションとして提供し,自治体ICTインフラの最適化,更には自治体クラウドの利活用を実現できると考えている。

森永 景介

近年,脱汎用機・オープン化を契機に全国各地で大規模基幹システムが再構築されている。税システム,人事給与システムなどの再構築稼働事例も出てきているが,当初の事業目標に対して成功裏に終えることができた事例は少ない。
本稿では,都道府県や政令市など組織規模の大きな自治体における基幹システム再構築ならではの課題を考察するとともに,実際の開発運用現場における取組み結果を紹介する。そして,大規模基幹システム再構築手法の選択肢として,モダナイゼーションの取組みの考え方をQCD(Quality,Cost,Delivery)確保・事業継続の観点から提言する。

畠山 洋, 八木 俊弘, 植松 大輔

富士通の最新ソリューションと導入事例

東京都特別区(以下,特別区)では,2000年代初頭から住民情報システムの最適化によるオープン化,およびパッケージ適用を実施してきた。その中で富士通は,2003年から特別区向けに住民情報ソリューション「MICJET23」パッケージをいち早く立ち上げ,現在23区中7区に提供している。また,総務省が推奨している自治体クラウド化は,仮想化技術の進歩により加速している。しかし,住民情報システムにおいては,取り扱うデータが重要な個人情報であることや,地方公共団体独自の業務運用のためのカスタマイズが必要になることから,なかなかクラウド化が推進できない状況であった。このような状況の中,富士通は,2014年1月から住民情報ソリューション「MICJET23」パッケージを中心としたクラウドサービスの提供を開始した。
本稿では,自治体クラウド導入の推進状況を踏まえ,特別区向け住民情報システムの最適化を通じた富士通のクラウド化への取組み事例について紹介する。

内田 真一, 秋山 徳之, 東郷 浩之

市町村の基幹システム(ここでは住民記録と税務情報を指す)の再構築は,従来のパッケージ適用では多くのカスタマイズを要するため,システムの標準化が困難とされてきた。富士通の「MICJET MISALIO 住民情報ソリューション」は,サービス利用型のノンカスタマイズ型パッケージであり,中小都市向けの標準システムとして,2010年3月の提供開始からこの4年間に多くのエンハンスを行ってきた。この間は,汎用機システム保守の限界や,市町村合併から5年経過後の見直し,外国人住民制度などを契機とした再構築が中心であったが,全国への適用によって,ノンカスタマイズ型のパッケージ適用が定着してきた。今後は,番号制度の導入を通じて中小都市のオープン化は概ね一巡し,自治体クラウドが主流となるが,自治体クラウドでは単独導入から共同化・集約化による複数団体の同時適用など,適用期間の短縮とコストの低減が加速することになる。
本稿では,MISALIOの適用事例から,中小都市の基幹システム標準化とパッケージのノンカスタマイズ適用の取組みについて考察する。

坂本 裕司

共通番号制度や社会保障制度の改革など社会の仕組みが大きく変わろうとする中で,地方行政機関はこうした変化に対応した住民サービスの提供に向け,更なる内部事務の効率化,コスト削減を求められている。富士通の内部情報ソリューションIPKNOWLEDGE(アイピーナレッジ)は,財務会計,人事給与,文書管理,庶務事務,電子決裁など内部事務システムの全体最適化を図るとともに,これまで紙で行っていた申請・決裁のペーパーレス化,二重入力といった無駄を削減するなど業務の効率化を支援するソリューションである。IPKNOWLEDGEは,出荷を開始した2000年から2013年の13年間で500団体以上のお客様に導入いただいている。
本稿では,新たなコンセプト「つかうほど快適に」を掲げ,2014年に出荷を開始したIPKNOWLEDGE V3の狙いと取組みについて紹介する。

國分 出, 村山 大助

地域課題の解決に向けた新しい取組み

今後進行する高齢化は「都市の高齢化」であり,大都市郊外での高齢化は地方での高齢化とは様相が異なる。郊外で増加する高齢者の多くは地方から移住し,都心部に通勤する生活を送っていたため,比較的地域社会とのつながりが薄い。彼らが定年を迎え生活時間の大部分を居住地で過ごしていく中で,地域として彼らをどう支えていくかは自治体にとって大きな課題である。更に,超高齢社会における課題は医療・介護以外にも多岐にわたっており,それらが相互に関連している。こうした課題を解決するには,政府・自治体が制度として弱者を支援するという従来型の公助・共助だけでは成り立たない。また,個人の努力や市販品・サービスの購入を通じた自助だけでも不十分である。産官学民が有機的に連携して高齢者の社会参加を促し,コミュニティの中で支え合う「互助」も取り入れた仕組みを作り上げていくことが望まれる。首都圏のいくつかの自治体では,大学や企業と連携し,高齢者の健康増進や社会参加などの取組みを試みる中で,超高齢社会における地域の在り方を模索している。本稿では,そうした事例をいくつか紹介し,超高齢社会における自治体の在り方を考える。

倉重 佳代子, 河野 敏鑑

観光立国の実現に向けた取組みが始まって10年となった2013年,訪日外国人旅行者が初めて1000万人を突破した。現在,国は,東京オリンピック・パラリンピック開催年である2020年に向け,訪日外国人旅行者2000万人達成を目指し,更なる取組みの強化を進めている。中でもMICE(Meeting,Incentive travel,Convention,Exhibition/Event)の推進は,日本再興戦略や観光立国実現に向けたアクション・プログラムの一つの柱とされるなど,今後の観光施策において重要な位置付けにあると言える。しかし,MICE国際競争力の強化に向けては,コンベンションビューローやホテルなどMICE誘致関係者間での誘致活動における連携不足や,MICE開催地としてプロモーションを行う際の地域情報の不足といった問題点も多い。
本稿では,これらの問題点をICTで解決する仕組みとして,富士通総研が考えるMICE強化モデルを提示するとともに,モデルの活用によるMICE国際競争力強化の方向性を示す。

橋本 尚志, 今川 世詩子


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