Skip to main content

Fujitsu

Japan

アーカイブ コンテンツ

注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2014-5月号 (Vol.65, No.3)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2014-5

特集:「文教ソリューション」

本特集では,初等教育から高等教育における学校教育分野の最新状況,また富士通が考える公共図書館への新たなビジネス展開,博物館・学生支援といったソリューションのグローバル活動,新技術への取組みについて紹介いたします。


特命顧問
合田 博文
特命顧問 合田 博文 写真

文教ソリューション特集に寄せて(PDF)

富士通は文教分野への取組みを更に広げるため,今後も我が国の教育改革の動きを先取りしながら,お客様のニーズを積極的に取り入れ,お客様とともに新たな価値創造に挑戦し続けていく所存ですので,ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

特集:文教ソリューション 目次〕

初等教育分野

  • 初等中等教育におけるICT利活用の現状と課題
  • 小中学校向け校務支援サービスへの取組み
    ~FUJITSU 文教ソリューション K-12 校務支援~
  • 特別支援教育への取組み
    ~K-12 特別支援 キッズタッチ~
  • タブレットを活用した次世代型デジタル教材ソリューション

高等教育分野

  • 大学向け授業支援システムCoursePowerにおける学習行動可視化の取組み
  • 富士通の教育研究システムへの取組み
  • 学内データの活用~大学におけるIR(Institutional Research)への取組み~
  • UnifIDoneキャンパスクラウドによる次世代ICT基盤の実現

公共分野

  • 公共図書館向けソリューションコンセプトOne Library

グローバル分野

  • グローバル展開を推進する博物館ソリューション
  • チュラロンコン大学との学生支援ソリューション実証実験の取組み

新技術分野

  • オープンコンテンツを活用した教育イノベーションへの取組み

特集:文教ソリューション


初等教育分野

社会はICTの進歩によって大きくその在り方が変化した。教育も社会の変化に合わせて変革していく必要がある。政府は1980年代より教育の情報化に取り組んでおり,特に2012年の民主党から自由民主党への政権交代以降,教育環境のICT化に関わる政策は加速されている。富士通グループは,政府の実証事業に参画し,ICTの活用を通じた教育・学びの革新に向け,技術・ノウハウを提供し,また蓄積している。教育の情報化には,個人情報や著作権の取扱い,費用負担の問題など,まだ多くの課題が山積している。しかし,富士通グループは上記の技術・ノウハウを基に教育現場とともに新しい学びの在り方を検討・創造し,一つひとつ課題を解決し,教育の変革に協力している。
本稿では,教育の情報化に向けた政府の対応,および富士通グループの取組みについて述べる。

大島 喜芳, 村松 祐子

全国地方自治体の教育委員会および小中学校は,文部科学省および総務省の施策のもと,教育へのICT活用を本格化してきている。2013年に文部科学省が公表した「学校における教育の情報化に関する調査結果」によれば,教職員一人1台の情報端末環境は全国的にほぼ整備されてきている。また,校務文書に関する業務をシステム化している小中学校は60%を超えることが分かっている。今後は児童生徒一人1台の情報端末を整備する計画も進められており,教育へのICT活用は更に推進されるものと考えられる。このような流れの中で,富士通は,2013年春に,長年培ってきた校務業務のノウハウを集約したSaaS型の「FUJITSU 文教ソリューション K-12 校務支援」サービスをリリースした。これは,現在主にパッケージ・ASP・プライベートクラウド型などで導入されている校務支援システムの運用形態へ一石を投じる先進的な試みである。
本稿では,小中学校業務のシステム化について考察し,「FUJITSU 文教ソリューション K-12 校務支援」サービスへの取組みと期待される効果について紹介する。

戸口 亨

ICTを活用した21世紀にふさわしい学校教育が求められている中,特別支援教育においても,各教科や自立活動などの指導においてその効果を高めることができる点でICTの活用は極めて有効である。富士通は,特別な支援が必要な子どもたちの状態や特性に配慮した教育用ソフトウェアとして,2012年6月から「FUJITSU 文教ソリューション K-12 特別支援 キッズタッチ」の開発に着手し,国立大学法人香川大学教育学部坂井研究室と有効性検証の共同研究を行い,機能や操作性を改善した。「K-12 特別支援 キッズタッチ」は,「いろんなせんかけるかな?」「ひらがなかけるかな?」「カタカナかけるかな?」「パズルできるかな?」の四つのソフトウェアから構成される。知的障がい,肢体不自由,発達障がいの子どもたちを対象に,タッチを前提としたインターフェース,対象児童生徒の発達段階に合わせた難易度の設定や教材作成,学習履歴による学習状況の把握などを特徴としている。
本稿では,「K-12 特別支援 キッズタッチ」の機能と特徴,特別支援学校での試用・評価について紹介する。

伊藤 智之, 野沢 亜矢, 宮入 麻紀子, 高石 かおり

富士通ネットワークソリューションズは,初等中等教育における学校教育の課題を踏まえ,実際の教育現場である学校との共同研究を通してタブレットを活用した次世代型デジタル教材ソリューションを開発した。その一つであるモジュール学習用システム「Shu-Chu-Train」は,脳の司令塔である前頭前野を効果的にトレーニングし,学力の根底にある集中力と記憶力を短時間で向上するデジタル教材である。また,もう一つの協働学習支援用システム「マーナビケーション」は,思考力・判断力・表現力の育成を支援すると同時に,生徒と教員間および生徒間のコミュニケーションを飛躍的にスピードアップするデジタル教材である。これらのタブレットを活用したデジタル教材の導入メリットは,「基礎的・基本的な知識および技能」の継続的な維持・向上,「協働型問題解決能力」の育成支援などである。
本稿では,21世紀にふさわしい新しい「学び」を支援する次世代型デジタル教材ソリューションのシステム概要および導入効果などについて述べる。

真弓 英彦

高等教育分野

近年,少子化・グローバル化の進行により国内外における大学間の競争は激化しており,大学による教育の質の向上が求められている。また,大学入試制度・高等学校教育の多様化から,学生の学力と志向が多様化しており,学生個々人の学力に応じた指導が急務となっている。このような状況の中,富士通は大学の授業内容や方法の改善,成績評価の透明性確保など教育の質の向上へのニーズに応えるため,大学向け授業支援システム「CoursePower(コースパワー)」を提供してきた。また,CoursePowerで蓄積される学習履歴データを活用して,学生個々人の予習・復習・講義への参加状況を分析し,学習行動の特徴をチャートで示す機能により,適切な個別指導・教育の質の向上を支援している。
本稿では,CoursePowerおよび学習行動の可視化機能の開発の背景・概要について述べる。

永井 敦士, 山崎 景之, 宮島 郁子

ここ数年でスマートフォンの普及やタブレットPCの出現,災害対策などによるシステム環境の見直しにより人々を取り巻く身近なICT環境に変化が生じてきている。その流れは教育現場にも影響を及ぼしている。とりわけ大学のICT環境は学生,教職員などの利用者が,より簡単に,より柔軟に利用できるシステムが望まれており,利用するデバイスに極力影響されない仮想デスクトップシステムが注目されている。ところが,大学のような企業などにはない利用環境を考えると,システムの規模やライセンス問題など解決しなければならない壁がいくつか存在し,「新しい価値の提供」と「コスト削減」の両立が重要な課題となっている。
本稿では,富士通が提案した教育研究システムの課題,および改善に向けたアプローチ方法を紹介する。また今後考えられる最新動向についても述べる。

川口 孝司, 佐々木 貴康, 湯澤 紀夫, 木村 忍

大学におけるIR(Institutional Research)とは,大学の経営改善や学生支援,教育の質向上のため,学内データを収集・分析し,改善施策を立案,施策の実行・検証を行うといった広範な活動を指す。国内の大学では,学内データ活用による大学改善への期待・気運が高まっており,その具体的実践に向けた取組みが模索されている。このような国内動向を受け,富士通の文教ソリューション部門では,大学の事業や経営そのものに貢献できる新たなサービスの提供に向けて,IRの調査・研究に取り組んでいる。具体的には,IRに対するニーズ・期待に関する調査や,仮説の立案,データ分析の試行実験を行った。また大学でのデータ活用で特にニーズの高い「教育の質向上」や「退学者防止」について様々な統計解析手法を用いて傾向分析を試行したほか,現在の学生の状態から将来退学しそうな学生を予測する「退学者予測」に関する研究を行った。このような取組みから,富士通の考えるIRのコンセプトを定義し,大学におけるIR実践を支援するサービスの提供について検討している。
本稿では,これまで取り組んできたIRの動向調査・研究および富士通の考えるIRについて述べる。

大友 愛子, 岩山 豊, 毛利 隆夫

学生のスマートデバイス普及など近年の大学におけるICT環境は著しく変化している。利用者や利用シーンの多様化は従来の学習環境の変化だけでなく,大学が提供するICTサービスの無秩序な増加と乱立化を招いており,ICT運用の効率化が喫緊の課題となっている。
富士通が提供する「FUJITSU 文教ソリューション UnifIDone キャンパスクラウド」は,大学の運用特性に合わせたプライベートクラウドソリューションである。本ソリューションは,サーバ環境の柔軟な払出しを行うIaaS機能と,デスクトップ環境を必要なときに利用できるDaaS機能を統一的に管理し,大学に必要な機能を付加した統合クラウド基盤として提供される。本製品の特長は,普段授業で利用しているPC環境を様々なデバイスを用いて自宅などから利用可能であり,使いたいときに使いたい環境を利用して学修できる。また,授業で使用する仮想デスクトップを優先的に確保するなど学内クラウドのメリットを生かした運用が可能である。更に,クライアント資源とサーバ資源を統合管理することにより,全学ICTリソースの有効活用と平準化が可能となり,課題であった全学ICT運用の効率化を実現する。

畑瀬 圭太, 戸谷 崇浩

公共分野

富士通は,公共図書館市場で30年を超える活動実績を持つ。市場全体を複数の製品・サービスでカバーする全方位サポートにより,現在国内シェアではトップを維持している。しかし,地方自治体を運営母体とする公共図書館は無償サービスを原則としており,ICT化による費用対効果を直接的に把握することが困難な面もある。加えて昨今の経済状況が公共図書館の運営を圧迫し,サービスの維持,拡大に対する投資を困難にしている。一方,スマートデバイスの普及に代表されるICTによる生活スタイルの変化で公共図書館サービスへのニーズも日々拡大している。これらの状況を踏まえ,富士通は既存の複数製品の成長を維持しつつ新たな提案活動,製品開発を推進するための指針としてコンセプト「One Library」を掲げた。
本稿では,コンセプト策定の経緯とこれに基づく製品開発について述べる。

中塚 啓介, 赤木 義夫, 清水 侑子

グローバル分野

博物館資料の重要性は時間を経るごとに高まっており,ITによるデータベースでの管理も必要度を増している。また,博物館が持つ独自性は強いものがあり,管理システムには柔軟性が強く求められる。このような状況の中,富士通は博物館の価値創造に寄与するため,収蔵品管理システムMusetheque(ミューズテーク)を中心とした博物館ソリューションを提供している。Musethequeは,博物館が扱う収蔵品の管理項目を柔軟に追加でき,また異なるカテゴリーの情報を容易にデータベースに格納して管理できるといった特徴を持ち,更に大規模データに対しても検索レスポンスが劣化しないという長所を持つ。
本稿では,富士通が提供する博物館ソリューションの強みと,グローバル展開について述べる。

千野 亮, 石田 亮介

富士通は,2013年6月より学生支援システム(Campusmate-J/Studentシリーズ)を基盤とした学生ポートフォリオシステムを構築し,タイ王国のチュラロンコン大学と共同で有効性評価,およびタイ国内の大学で必要とされる機能の拡充を目的とした実証実験を開始した。実証実験で利用対象者となるスポーツ,芸術,音楽などに秀でた学生一人ひとりの状況に合わせたきめ細かな情報提供やアドバイスをするために,学内の複数部門に蓄積されている学生の基本情報,成績・履修情報などを本システム上に集約,可視化を行った。本システムの活用により学生サービスの質の向上とキャリア形成支援の強化,および大学教務と事務の効率化を目指す。

島田 昌紘, 中尾 礼文

新技術分野

現在,北米を中心にオープンエデュケーションと呼ばれる教育のイノベーションが広がりを見せている。Webの特徴を生かして,教育者中心から学習者中心へ学びのスタイルが大きく変わる状況の中,米国富士通研究所(FLA:Fujitsu Laboratories of America, Inc.)は,Web上のコンテンツやサービスを組み合わせて,他者と協力しながら組織的に学ぶ新しい学習手法「キュレーションラーニング」とそれを実現するプラットフォームの研究開発を2011年より進めてきた。本手法は,単に知識の獲得だけを目指すのではなく,能動的に「さがす」「まとめる」「ひろげる」といったサイクルを回しながら学習し,批判的思考力,コミュニケーション&コラボレーション能力,情報リテラシーといった「21世紀型スキル」も同時に養うことを目的としている。
本稿では,キュレーションラーニングによる学習手法とそのプラットフォームを活用した北米の大学における実践事例について紹介し,今後の展望について述べる。

内野 寛治, 大久保 祐子, 渡辺 拓郎


---> English (Abstracts of Papers)