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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2011-1月号 (VOL.62, NO.1)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2011-1

年頭ご挨拶

特集:「クラウドコンピューティングを支えるミドルウェア」

本特集では,Java実行基盤"Interstage",ミッションクリティカルなデータベース"Symfoware",統合運用管理"Systemwalker"の三つの基盤ミドルウェアと,お客様のビジネス基盤効率化を実現するプライベートクラウドについて,その統合運用技術への富士通の取組みを紹介いたします。


執行役員常務
ソフトウェアビジネスグループ長
山中 明
執行役員常務 ソフトウェアビジネスグループ長 山中 明 写真

クラウドコンピューティングを支えるミドルウェア特集に寄せて(PDF)

お客様経営課題の解決に大きく貢献する富士通のクラウドを支える強いミドルウェアの企画・開発とグローバル提供に向け,これからもお客様とともに取り組んでまいります。

特集:クラウドコンピューティングを支えるミドルウェア 目次〕

総括

  • プライベートクラウドへの取組みとミドルウェア

プライベートクラウドとミドルウェア

  • プライベートクラウドを実現するミドルウェア
  • クラウド環境におけるダイナミックリソース管理技術
  • 高信頼性と拡張性を兼ね備えたデータ管理
  • ハイブリッドクラウドの実現
  • 標準化した業務システムのプロビジョニング
  • 自動化技術によるITインフラの運用効率化
  • サービスカタログを利用したプライベートクラウドの利用
  • プライベートクラウドの運用見える化
  • 高速レスポンス,高スループットを実現する
    超高速データ管理ミドルウェア

ソフトウェア開発クラウドセンターにおける実践

  • ソフトウェア開発環境のクラウド化
    —沼津ソフトウェア開発クラウドセンターの実践—

クラウドにおけるミドルウェアの提供方式

  • ミドルウェアのクラウド向けオンデマンドデリバリサービス

クラウドの基礎技術「サーバ仮想化」の最新動向

  • Windows Server 2008 R2 Hyper-Vのサーバ仮想化技術
  • VMware vSphere 4のサーバ仮想化技術
  • KVMのサーバ仮想化技術

特集:クラウドコンピューティングを支えるミドルウェア


総括

企業のビジネス基盤を効率良く強化し,新ビジネスに迅速に対応するため,富士通はお客様とともに課題を解決すべく,新ビジネス分野に向けた新クラウドサービスを提供していく。
本稿では,本特集掲載の記事を紹介しながら,まず企業の本業を継続強化するソリューションとSIの中核となる三つの基盤ミドルウェア群(Interstage, Symfoware, Systemwalker)に関する話題と技術を取り上げる。つぎに,お客様のビジネス基盤効率化を実現するプライベートクラウドについて,その統合運用技術への富士通の取組みを,「パブリッククラウド提供から得る技術と運用ノウハウ」,「社内開発センターでのプライベートクラウドの実践」,「プライベートクラウドを実現するミドルウェア」,「クラウドでのミドルウェア利用」の四つの観点から説明する。最後に,新たなビジネス分野に向けた新クラウドサービスへの富士通の今後の取組みについて紹介する。

佐川 千世己

プライベートクラウドとミドルウェア

肥大化するICTコストの削減,ビジネスの変化に追随するためのスピーディなシステム導入などの要求に対してクラウドが注目を浴びている。クラウドには大きく二つの形態が存在する。インターネットを介してサービスプロバイダが提供するICTリソースを利用するパブリッククラウドと,自社専用にクラウドを所有するプライベートクラウドである。両者は共存関係にあり,セキュリティ,信頼性,コストなどの要件に応じて,業務システムごとに使分けが行われる。富士通は,パブリッククラウドサービスの提供に加え,プライベートクラウドを構築するためのミドルウェア製品を提供し,お客様の多様なニーズに応えている。
本稿では,プライベートクラウドによるICTコストの削減,スピーディなシステム導入の実現を支えるミドルウェア製品の概要を紹介する。

長倉 浩士, 櫻井 明彦

富士通は,企業内のプライベートクラウドの構築と運用するためのソフトウェアとして,2010年6月にServerView Resource Orchestrator(ROR)の提供を開始した。RORを利用することでクラウドのインフラ基盤と管理環境は構築できるようになるが,実際に運用するためには,その上にサービス環境を整える必要がある。一方,スモールスタートするユーザからは,手軽な環境で素早く試行したいという要望が多く寄せられたため,RORと組み合わせるソリューション「クラウドインフラマネージメントソフトウェア」を開発した。これは,セルフサービスポータルの構築,および運用環境を見える化できる環境を簡単に作れるツールである。さらに,高信頼性の業務をクラウド環境でも利用したいという需要に応えるために,RORでクラスタ環境を使用できるようにした。
本稿では,これらのソリューションについて紹介する。

松本 一志, 江崎 裕

近年,企業の情報システムの規模は拡大し続けており,取り扱うデータ量,トランザクション量は飛躍的に増加している。このようなシステムにおいても,処理性能,信頼性,拡張性は高いレベルが要求される。これに対して,富士通の高信頼・高性能データベースであるSymfowareは,万が一の故障の対応だけでなく,ビジネスの成長に合わせたDBサーバの縮退機能,アプリケーション接続の移動機能を開発し,並列処理技術,クラスタ技術を発展させて対応している。
本稿では,超大規模システムでの高性能,高信頼,高い拡張性を実現するロードシェア縮退を中心に安定稼働に対する取組みについて説明する。

高田 和典, 西垣 雅樹, 松本 克己

本稿では,企業内システム(オンプレミス)とパブリッククラウドを組み合わせた「ハイブリッドクラウド」の実現に関する富士通の取組みを紹介する。
ハイブリッドクラウド環境では,オンプレミスやパブリッククラウドに散在する業務システムやサービスのシームレスな連携が不可欠であり,この実現には,「フロント統合」「データ統合」「プロセス統合」の技術が必要となる。富士通は従来より,これら統合技術を持つミドルウェア(Interstageシリーズ)を提供してきたが,今回,新たにハイブリッドクラウドの構築・運用を支援する機能を実装したミドルウェアを開発した。
このミドルウェアは,これまで培った統合技術にハイブリッドクラウド実現に向けて新たに取り組んだ技術を融合し,現在,企業において高まっている業務システムの最適化に向けたパブリッククラウドの有効活用のニーズに応えるものである。

船橋 幹雄, 吉川 茂夫

昨今,企業を取り巻く厳しい環境の中,経営方針に応じた柔軟な業務プロセスやICTシステムの変革,コスト削減が求められており,企業内に保有するICTシステムをクラウド化するプライベートクラウドへの期待が高まっている。
一方,お客様システムの仮想化では,従来の部門最適で構築されてきた個々のICTシステムを企業内データセンターのサーバに集約する際,使用ソフトウェア(OS/ミドルウェア/アプリケーション)が雑多なため,システム管理者にとっては,ICTシステムごとの運用保守の作業負担が高まっている。
本稿では,ICTシステムの標準パターンをシステムテンプレート化し,ICTシステムが必要とするリソースを仮想環境に自動割当てする技術に加え,自動割当ての俊敏性を高めるプロビジョニング(OS/ミドルウェアの設定や定義を自動化)技術について述べる。そして,仮想サーバへのソフトウェア配備とパラメータ設定を自動化した富士通の管理ソフトウェアSystemwalker Software Configuration Manager V14gを紹介する。

村田 謙, 清水 英雄, 坂本 憲彦

ITインフラの全体最適を行うために,企業内データセンターへのサーバ集約が進んでおり,今後は仮想化技術を利用したクラウド化が進んでいく。企業内データセンターの運用は,日常運用時および緊急時における操作手順をステップごとに記述した運用手順書(Runbook)に従って行われている。サーバ集約およびクラウド化が進むと,データセンターの運用作業の内容,負荷ともに増加する。このため,これまで運用手順書に従って人手で行ってきた運用を自動化することで,作業負荷を軽減し,作業品質を向上させることが求められている。
手作業によるITインフラ運用を標準化・ワークフロー化して自動化を進め,運用の効率性を飛躍的に高める技術として,RBA(Runbook Automation)技術が注目されている。
本稿では,RBA技術を利用して,企業内データセンターにおけるITインフラの運用を効率化する取組みについて紹介する。

伊藤 裕章

企業内システムは,サーバ数の削減や消費電力の削減などによるコスト低減を目的に,センター集約が進んでいる。しかし,センター集約には,センター管理者の運用負荷低減,ICTリソース利用の統制,ICTリソース利用状況の見える化といった課題を解決する必要がある。富士通はこれらの課題を解決するため,利用者がセンターのICTリソースを利用する際,Web画面にアクセスするだけでサービスカタログ(サービスの一覧)から利用したいサービスの選択や利用申請をできるようにすることで,センター管理者の運用負荷軽減を図るSystemwalker Service Catalog Manager(CT-MG)を開発した。本製品は,パブリッククラウドの開発・運用を通じて培ったノウハウを基に,プライベートクラウド特有の要件を含めて開発した。
本稿では,本製品で実現した取組み内容を紹介する。

中井 隆裕

プライベートクラウドの運用の効率化のためには,集約されて膨大な量となり得るICTリソース(サーバ,ストレージ,ネットワークなど)をいかに効率良く管理するかが重要となる。そのためにはインフラ管理部門がICTリソースの状態を一元的に俯瞰(ふかん)し,問題を素早く察知して行動を起こす必要がある。この「一元的に俯瞰」を実現するのがプライベートクラウドの運用見える化である。Systemwalker Service Catalog Manager V14.1およびクラウドインフラマネージメントソフトウェアV1.1ではリソースおよびリソースプールの見える化を実現した。これにより,ICTリソースの性能問題の有無やリソースの貸出し余力を一元的に確認できるようになり,プライベートクラウドの運用効率化に貢献している。
本稿では,プライベートクラウドの運用効率化における運用見える化の役割と,これら製品における運用見える化の内容を紹介する。

白取 知樹, 原 英樹

ネットワークの進化により,従来の常識やレベルをはるかに超える「膨大なデータの超高速処理」が求められるようになってきている。高速にデータ処理ができるようになったために,これまでにはなかった新しいサービス形態が生まれ,そのサービス形態が更に新しいICTの使い方を生み出すという連鎖が広がっている。
このような膨大なデータを高速に処理するためには,高速なレスポンスと高スループット化が重要であるが,信頼性との両立もシステムにとって必要不可欠である。富士通は,ミッションクリティカルシステムへの豊富な経験と先進のテクノロジを強みとしており,実際に東京証券取引所様arrowheadシステムの安定稼働を超高速データ管理ミドルウェア“Primesoft Server”で支えている。Primesoft Serverは,完全ディスクレスを考え方の原点とし,大規模データ管理,信頼性,接続性,拡張性を同時に実現した。
本稿では,高速レスポンス,高スループットの実現に向けたアプローチ,およびPrimesoft Serverの考え方と適用した新技術について紹介する。

橋詰 保彦, 高崎 喜久夫, 山崎 毅, 山本 昌司

ソフトウェア開発クラウドセンターにおける実践

富士通のミドルウェア開発ではサーバの運用コストの増加,サーバの過不足の発生,開発環境構築の工数増加という三つの問題を抱えていた。この解決策として沼津ソフトウェア開発クラウドセンターではソフトウェア開発環境のクラウド化に2008年度から取り組んでいる。また,沼津ソフトウェア開発クラウドセンターで自ら実践するクラウド化は,お客様に提供するクラウド商品とサービスを磨く側面も持つ。このクラウド化で三つの問題を解決するとともに,2011年度から年間7億円のコスト削減を見込んでいる。
本稿では,クラウド化の背景,取組み,効果,クラウド化に伴うサービス展開を紹介するとともに,お客様との生の会話を通してノウハウをお伝えする場として富士通沼津工場内に設けた「センター見学コース」についても紹介する。

有村 雄二, 伊藤 雅子

サービスを軸に統合されるプロダクト

富士通では,クラウドコンピューティングを活用した新たな付加価値の提供に向けて,様々な活動に取り組んでいる。その活動の一つとして,富士通のミドルウェア製品と技術を活用したIT管理SaaSの開発に取り組んでいる。IT管理SaaSとは,従来お客様が所有し,運用していたIT管理システムをお客様は所有せず,IT管理SaaSプロバイダが提供するIT管理システムをインターネット経由で利用する形態のことである。これによって,お客様は,初期導入コストの削減,導入期間の短縮などの効果が得られる。
本稿では,富士通のミドルウェアを活用したIT管理SaaS提供に向けた取組みについて,まずIT管理SaaSの概要や市場動向を説明する。つぎに,そのメリット,適用形態,およびIT管理SaaSへの機能要件を説明する。さらに,そうした要件に対して富士通がどのように取り組んでいるか,また,今後どのような課題を解決しようとしているかを紹介する。

岩佐 和典

クラウドにおけるミドルウェアの提供方式

富士通では,仮想化されたサーバ,ストレージ,ネットワークをインターネット経由で必要なときに必要なだけ利用できる「オンデマンド仮想システムサービス」を2010年10月から提供している。このサービスでは,典型的なミドルウェア構成の仮想サーバと仮想システムテンプレートを用意しており,これらを利用すれば,ミドルウェアの調達,インストール,設定の作業をけた違いに短縮できる。
さらにテンプレートに含まれないミドルウェアを追加導入する場合,同様のサービスでは,購入したミドルウェア製品をインターネット経由で仮想サーバにアップロードするのに,数時間でも完了しないことがあった。本サービスではミドルウェアを「ソフトウェアメディアパックライブラリ」から数分で仮想サーバにコピー可能である。
本稿では,これらミドルウェアのクラウド向けオンデマンド提供への取組みを紹介する。

畠山 卓久, 篠田 尚宏, 恩田 智之

クラウドの基礎技術「サーバ仮想化」の最新動向

サーバ仮想化技術は,システム導入・運用管理コスト削減を目的としたサーバ集約やパブリッククラウドの仮想化基盤として注目を集めている。マイクロソフト社のWindows Server 2008 R2 OSでは,サーバ仮想化機能であるHyper-Vを標準機能として提供している。Hyper-Vは仮想化アーキテクチャとしてマイクロカーネル型ハイパーバイザ型を採用し,柔軟で安定した仮想化基盤を提供する。
富士通は,このWindows Server 2008 R2とPCサーバPRIMERGYを組み合わせ,Hyper-V2.0ベータ段階からの実践導入による早期検証や技術ノウハウの蓄積に取り組んできた。また,その経験で得たノウハウや情報を富士通公開サイトから発信している。
本稿では,Windows Server 2008 R2 Hyper-Vのアーキテクチャ,仮想ディスク,仮想ネットワーク,共有ファイルシステム,高信頼機能について触れる。さらに,Hyper-V環境の管理性を向上するSCVMMのアーキテクチャ,管理機能について紹介する。

芳賀 豊, 今枝 一英, 治部 将之

サーバ仮想化市場は,ハードウェアリソースの有効活用による省スペース・省電力,迅速なサーバ増減によるビジネススピードの向上,ハードウェアと業務システムのライフサイクル分離によるTCO削減などのメリットから急拡大している。
富士通ではヴイエムウェア社のサーバ仮想化製品VMware vSphere 4と信頼性の高いサーバ,さらにデータセンター運用の最適化が可能な富士通ミドルウェア製品などを組み合わせることで仮想化ソリューションを提供し,多数のお客様にご利用いただいている。
本稿では,ヴイエムウェア社のサーバ仮想化の変遷,vSphere 4仮想化インフラの機能と特徴,クラウド環境との関係,ミドルウェアの活用例などについて紹介する。

錦織 正明

KVM(Kernel-based Virtual Machine)はオープンソースのサーバ仮想化機能として,近年急速に注目されるようになってきた。KVMは2006年10月にその実装アイデアが紹介されると,そのシンプルなアイデアからLinux Kernelの開発者の間で支持を集めた。その結果,多くの開発者が集まり,急速に機能を拡張しており,ついにはRed Hat Enterprise Linuxが正式にサポートする機能となり,富士通もRed Hat Enterprise Linux 6からサポートを開始している。
本稿ではKVMについて,まずその基本的な内部の仕組みについて解説する。また関連するコンポーネントについて紹介する。そしてハードウェア・ソフトウェアによる,KVMの仮想化を支援する機能について紹介する。さらに,KVMが基幹業務での使用に耐えられるようにするための,富士通としての取組みについて,いくつかの予定を簡単に紹介する。

五島 康文

---> English (Abstracts of Papers)