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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

1998-5月号 (VOL.49, NO.3)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 1998-5

特集: 「ディスプレイ」

ディスプレイ特集に寄せて(PDF)

特集: ディスプレイ 目次〕

液晶ディスプレイ

  • 特別寄稿 富士通のTFT-LCD
  • 超高画質MVA-TFT液晶ディスプレイ
  • ノートPC用省電力/薄型/軽量 TFT-LCD
  • 高輝度SVGA液晶プロジェクタ
  • TFT-LCD用の高性能ポリシリコン成長技術
  • 強誘電性液晶ディスプレイの開発動向

プラズマディスプレイ

  • 特別寄稿 富士通のPDP
  • 壁電圧伝達曲線を用いたAC型PDPの特性評価
  • PDPの高画質化技術
  • 25型SXGA高精細カラーPDPのセル構造および駆動方式
  • 25型SXGA高精細カラーPDP
  • 42型ハイコントラストカラーPDP

その他

  • フィールドエミッションディスプレイ

一般

  • インターネット版原子力百科事典(ATOMICA)
  • 富士通衛星情報サービス
  • セキュアPCカード

特集:ディスプレイ


液晶ディスプレイ

松田 嘉博

省スペース化のため,CRTからの置き換えを目的とした液晶モニタの市場が拡大局面を迎えている。富士通ではCRTから置き換えが可能なハイエンド用超高画質TFT液晶ディスプレイの開発を進め,垂直に配向する液晶を用いた全く新しい概念のMVA(Multi-domain Vertical Alignment)方式TFT液晶ディスプレイを開発した。MVA方式は業界で初めての新ラビングレス方式を採用し,超広視野角,高コントラスト,高速応答を実現しつつ,さらに量産性も大幅に向上させたものである。
本稿では,超高画質MVA-TFT液晶ディスプレイの概要について報告する。

岡元 謙治、小池 善郎、武田 有広

ノートPCはどこでも使える携帯機器という用途だけでなく,近年ではデスク上のスペースを有効に使用できる省スペース機器としての用途も広がってきている。このためその表示デバイスであるTFT-LCDに対して,薄型,軽量,省電力といった本来の要求性能に加えて,大画面,高精細,フルカラー化などの高性能化の要求が強くなっている。
これらの要求に応えて,12.1型(画面対角31 cm)の大容量,800 × 600ドットの高精細,表示色26万色で,電力2.1 W,厚さ6.2 mm,重さ420 gと省電力,薄型,軽量のLCDを開発した。
このLCDの開発により,容易にマルチウインドウで高画質な表示が得られ,しかも携帯性に優れたノートPCの実現に寄与できた。
本稿では,このLCDのために開発した要素技術について述べる。

伊藤 高英

OA化の進展につれて,液晶プロジェクタを使った電子プレゼンテーションが急速に普及してきた。富士通は,早くからそのツールとしてのVGA液晶プロジェクタを製品化し,その最も重要な特性である「明るさ」で常に他社をリードしてきた。今回,さらなる高輝度化のために,高出力光源や広開口/高透過率液晶パネルなどの新たな技術を開発し,可搬型では初めて1,000 lmを超えるSVGA液晶プロジェクタを実用化した。
本稿では,まずこれまでの富士通の製品化の方針や製品の変遷に触れた後,1,200 lmの高輝度を誇る新製品PJ-S1200の高輝度化技術と仕様について述べる。

山口 久、藤田 昌也

ポリシリコン(p-Si)TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)を利用した全回路一体型の低コスト,高開口率,高精細の液晶ディスプレイを実現するためには,高い移動度を示すp-Siをガラス基板上に低温で形成する必要がある。今回,2段階のアモルファスシリコン(a-Si)成膜とレーザ結晶化からなる新しい低温のp-Si成長法を開発した。この技術は第1段階で形成されたp-Si膜を種結晶として利用することを特徴としており,広いレーザエネルギー領域で大粒径p-Siを形成することができる。450℃プロセスによりnチャネルTFTを作成し電界効果移動度を測定した結果,最高値として300 cm2/Vsを実現した。

原 明人、岡部 正博

液晶ディスプレイ(LCD)は,約25年を経て陰極線管(CRT)と肩を並べるまでの市場を形成した。これまでのLCD技術は,小型,軽量,低消費電力を最大の特長とし,CRTでは実現不可能な,可搬型情報処理機器市場を創り出す原動力となった。LCDは,さらなる技術的発展を背景に,CRTの市場であるモニタディスプレイへの進出を試みている。このためには,従来のLCDの特長に加え,高画質化,低コスト化が必須となる。とくに,対角15インチ以上の大型ディスプレイでは,フルカラー動画に対応する,高速応答,および広視野角の両立が不可欠である。富士通研究所では,LCDのモニタ対応のため,高速,広視野角表示が可能な強誘電性液晶ディスプレイの研究開発を進めている。
本稿では,高画質LCD実現を目指した強誘電性液晶の技術開発の現状を述べる。

吉原 敏明

プラズマディスプレイ

松山 駿介

カラーPDP(プラズマディスプレイ)は,来たるマルチメディア時代に対応し,より一層の高画質化と低消費電力化が望まれている。そのためには放電現象を理解し,その上でデバイス構造と駆動方式の両面から開発を進めていく必要がある。ところがデバイス構造や駆動波形が定量的に放電特性にどう結びつくかはいまだ明確にされていない。
本稿ではAC型PDPのデバイス構造と駆動方法について概説する。つぎにPDPの放電現象とデバイス動作について述べ,PDPの放電特性を定量化した特性曲線である壁電圧伝達曲線を説明する。この曲線は放電特性曲線であるだけでなく,PDPの駆動波形を設計する上でも重要である。最後に画素セル構造の異なるパネルの壁電圧伝達曲線の測定結果,および構造と放電現象との関係について述べる。

﨑田 康一、橋本 康宣

PDP(プラズマディスプレイ)はCRTに比べ軽量・薄型であることから,壁掛けテレビとして普及していくことが見込まれている。近年,その性能も,問題とされていた明るさ,コントラストなどについては,一般家庭に普及しているCRTに匹敵するところまで向上してきた。しかし,PDPは,CRTとは異なる独自の階調駆動方式のために,動画像を表示した際に様々な画質劣化が生じる。
本稿では,PDP動画像をCRTと同等の品質で画像表示するために開発した高画質化技術,LSIについて述べる。

小川 清隆、吉田 昌弘、上田 壽男

富士通では1997年9月に世界初の25型(対角64 cm)のSXGA高精細カラーPDP(プラズマディスプレイ)の開発に成功し,商品化発表を行った。このPDPでは表示容量1,280 × 1,024画素,256階調,輝度150 cd/m2の表示性能を実現した。これには低電圧で安定動作を確保するための高精細セル構造,および従来比約2倍の高速動作が可能な壁電荷消去駆動方式の開発がポイントであった。
本稿では,セル構造および駆動方式について述べる。

グエン・タン・ニャン、中原 浩之、片山 貴志

この度富士通では,ワークステーションおよびパーソナルコンピュータ向けモニタとして対角64 cm(以下,25型)の大画面でSXGA表示を実現する高精細カラーPDP(プラズマディスプレイ)を世界に先駆けて開発した。本モニタは,表示容量1,280 × 1,024画素,表示色数1,670万色,輝度150 cd/m2の表示性能と,重量20 kg・奥行き110 mmの薄型軽量を実現したモニタで,1998年度の商品化に向けて準備を進めている。
すでに21型,42型で実績があり,富士通の特許で業界標準の3電極面放電構造パネルをベースにセルピッチ130μmの微細化を実現するとともに,従来の2倍以上の表示電極数である1,024ラインを高速に走査するための新駆動技術を開発した。
本論文では,25型SXGAカラーPDPの製品紹介とともに,今回開発した新駆動方式について述べる。

岡安 順一、松井 直紀、粟本 健司

PDP(プラズマディスプレイ)の映像品質において,輝度とともにコントラストが重要である。富士通では,コントラスト改善のため二つの基本技術を開発した。第一は,環境に依存する明室コントラスト向上を目的として,放電特性に影響を与えない非放電ギャップを黒色化して,パネルの表面反射率を低減する新しい黒帯構造パネルの開発である。第二は,暗室コントラスト向上のため,PDPの駆動において従来8回必要であった微少放電(種火放電)による輝度(背景輝度)を約1/8に弱め,黒表示時の背景輝度を抑えることできる新しい駆動方式の開発である。
これらの技術を適用して,業界最高水準となる暗室コントラスト比400:1,明室コントラスト比30:1の対角106cm(以下,42型)カラーPDPを開発した。併せて色純度と色再現性も大幅に改善され,CRTと比較しても実用上遜色のない映像表示を可能とした。

若山 博之、岸 智勝、南部 利之

その他

電界放出陰極アレイを応用したフィールドエミッションディスプレイ(FED)は薄型ディスプレイとして数多くの特長があると考えられており,次世代のディスプレイとして期待されている。富士通でも電界放出陰極アレイの応用分野の一つとしてFEDの開発を行っている。
本稿では,FEDの動作原理,特徴を紹介するとともに,著者らが開発した反射型構造のFEDに関して,従来技術と対比しながら紹介する。

別井 圭一、中谷 忠司

一般

「原子力百科事典ATOMICA」は,国民の広い層に対して,エネルギー資源,地球環境問題,原子力発電の仕組み,核燃料のリサイクル,放射性廃棄物の処理・処分,原子炉廃止措置,放射線の有効利用,放射線による影響,海外情報,核物質防護など,原子力にかかわる知識・情報について,豊富な図表と解説文で提供しているデータベースである。1995年3月から一般公開したが,公開当初はパソコン通信による提供であった。インターネットの普及に伴い,1996年10月からインターネット版(Ver.1)による提供に移行した。その後検索方法などの改良を重ね,1998年2月からはインターネット版Ver.3による提供を実施している。インターネット版Ver.3ではキーワード検索の合理化,用語辞書にウィンドウ表示と索引の追加など,検索性能上の改良がなされている。
本稿では,この「ATOMICA」インターネット版Ver.3の主な特徴と利用法について述べる。

伊勢 武治、桂 知己

パソコンの低価格化,高性能化に伴い,その取扱い情報量が飛躍的に大容量化している。また,従来のホストコンピュータ中心のシステムからクライアントサーバシステムを広域分散配置したシステムへの急速な再構築が始まっている。
しかし,その取扱い情報を早く,安く,オンライン配布できないことが大きな課題となっている。また,従来の衛星サービスは,単純な映像中継や地上ネットワークのバックアップとして用いられてきたが,設備費,通信費,コンピュータシステムとの連携が課題となっており,情報システムへの採用数は伸びていない。
本稿では,これらの課題を一挙に解決した富士通衛星情報サービスの仕組みと,衛星利用の情報システムを具体的適用例に沿って述べる。

岡田 昭広

携帯ノートPCに装着してファイルの暗号化・復号を自動的に行うことにより,重要データの機密を管理するセキュアPCカードを開発した。
このカードは,データ使用権限のない人に対して作成・編集・閲覧の一切を許さない。一方,権限を有する人においては,カード使用開始時の簡単な登録のみで,その後は,完全に通常と同一の作業環境を保証する。例えば,ワープロソフトについても市販・流通している各種アプリケーションについて,ソフト自体および使用方法に,なんら変更することなく適用できることを確認済みである。
専用ハードを収容するカードの開発により,鍵がカード外部に読み出せないことによる高いセキュリティ性能を保証するとともに,ソフト処理の約10倍の高速処理を実現した。

小谷 誠剛、長谷部 高行、加納 良平


---> English (Abstracts of Papers)