女性向けの化粧品・医薬部外品などの製造・販売を中心に手がける株式会社伊勢半様の研究本部では、口紅やマスカラ、日焼け止めなどの製品開発を行っています。これまで、原料や処方情報に関する管理は、各研究員がVBベースの簡易ソフトを使用して独自に行っていました。しかし、システムの改修負荷が高く、データも統合管理されていなかったことから、富士通株式会社の研究開発部門向け配合・処方設計支援システム「FUJITSU Manufacturing IndustrySolution PLEMIA(プレミア)M3 CPG エディション」を導入しました。これにより、各種情報の一元管理が実現。検索性が格段に向上した結果、含有成分の影響範囲調査なども容易になり、業務が大幅に効率化されました。セキュリティ環境も強化され、システムによるI T 統制が実現しています。
[ 2014年10月インタビュー ]
株式会社伊勢半 研究本部 研究第3 部 部長 主幹研究員 益子 樹晴 様 |
株式会社伊勢半 研究本部 研究第1 部 部長代理 主幹研究員 横島 裕司 様 |
株式会社伊勢半 研究本部 研究第3 部 課長 主任研究員 矢野 正博 様 |
株式会社伊勢半本店 財務・情報管理本部 情報システム部 副参事 足立 純一 様 |
伊勢半様は、江戸時代後期の文政8年(1825年)に創業した紅製造問屋をルーツとする化粧品メーカーです。創業以来、伝統の紅づくりの技を守るとともに、時代の先端をいくメイクアップ化粧品やスキンケア製品の提供を通して、成長・変革を遂げてきました。
「キスミー」に代表される同社の化粧品ブランドは、量販店やドラッグストアなど全国で製品販売を展開。中でもメイクアップ化粧品の「ヒロインメイク」は、化粧品専門クチコミサイトのマスカラ部門で何度も1位に選ばれるなど、ユーザーからも高く評価されています。
同社の研究本部は、基礎研究から製品開発研究や生産技術研究を通してメイクアップ化粧品などの開発を行っています。しかし、処方登録や配合管理などの業務は、15年以上前に作ったVBベースの独自システム(データベースはMicrosoft Access)を利用してきました。
研究本部 研究第3部 部長の益子 樹晴 様は「試作、処方、原料などに関するデータがシステムや個人で管理されるなど多岐にわたっており、ノウハウの共有が進みませんでした。しかも、業務に応じて複数のシステムがあり、帳票作成や含有成分の影響調査に多くの時間がかかっていました」と振り返られます。
システムの運用においても15年前のプログラムをメンテナンスできる社員がいなくなり、機能の追加や改修が不可能になっていたことから、新たな配合管理システムの導入を検討しました。そして、複数の製品を比較した中から富士通株式会社の研究開発部門向け配合・処方設計支援システム「PLEMIA M3 CPG エディション」を選定します。採用の決め手を研究本部 研究第1部部長代理の横島 裕司 様は次のようにお話しくださいました。
「同業の研究部門で採用実績があり、富士通株式会社からも十分な支援がいただけることを心強く感じたことが第1の理由です。当社が要望した海外規制チェックの自動化にも、カスタマイズで対応できると提案をいただきました」
伊勢半本店 財務・情報管理本部 情報システム部 副参事の足立 純一 様は、システム的な観点から「将来的な生産管理システムや販売管理システムとの連携を考慮すると、各種ソリューション構築や連携実績が豊富な富士通株式会社に可能性を感じました」とおっしゃっています。
2013年7月にスタートしたプロジェクトは、2014年2月に終了しました。開発時は、海外規制チェックと帳票の自動作成をカスタマイズで追加し、同社の業務に合わせたシステムを構築しています。
プロジェクトの中で特にポイントになったのが、旧システムからのデータ移行でした。研究本部 研究第3部課長の矢野 正博 様は「15年以上にわたって使用してきたデータベースのデータ量は膨大で、複数のシステムに様々な形でデータが分散しています。その中で、富士通株式会社の支援を受けながら、研究本部全体でデータの整理と移行に取り組みました」とお話しくださいました。
本格運用の前には、約5か月の準備期間を設けて、処方登録やデータ検索、帳票出力などのトレーニングを行い、2014年8月から研究本部の研究員が、それぞれの用途で活用を開始しています。「富士通株式会社に実際のデータを使用できるテスト環境を別途用意していただいたことで、検証をスムーズに進めることができました」と横島様はおっしゃっています。
システムの導入で得られたメリットの1つは、原料情報や処方情報などの一元管理が実現したことです。その結果、様々な検索が可能になり、含有成分の影響範囲調査が容易になりました。矢野様は「使用している原料が中止になったときや、成分の規制が変更になったときに『特定の原料や成分が使われている製品を検索する』といった操作を短時間で行えるようになりました」とおっしゃっています。
各種データの参照・編集の権限がアカウントごとに設定できるようになり、セキュリティも強化されました。また、海外規制をはじめとする各種規制チェックが自動化されたことで業務効率が格段に向上しています。益子様は「紙や各種情報を集めて手作業で照合していた海外規制チェックが自動化された効果は非常に大きい」と強調されています。
さらに、将来性を考慮したシステムの運用体制も確立されました。足立様は「システムのメンテナンスや拡張への不安もありません。データのバックアップ体制も確保しているので、データ保護対策も万全です」とお話しくださいました。
伊勢半様では今後、調査対象の成分に類似する成分の自動集計や帳票の自動出力などの機能追加、管理データの多方面での利用など、さらなるシステム活用を検討していく方針です。また、現在ホスト上で稼働している生産管理システムとのシームレスな連携も展望されています。
益子様からは「今回のシステム化で満足のいく体制が確立できました。富士通株式会社には引き続き当社の業務全体を理解していただき、新たなシステム化の提案を期待しています」とお言葉をいただきました。
富士通株式会社は、今後も「PLEMIA M3 CPG エディション」の機能強化を通して「あしたは、もっと美しく」を経営理念とする伊勢半様のビジネスに貢献してまいります。
設立: | 1825年(文政8年) |
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所在地: | 東京都千代田区四番町6-11 |
代表者: | 代表取締役会長 澤田 一郎 様
代表取締役社長 澤田 晴子 様 |
URL: | http://www.isehan.co.jp/ |
事業内容: | メイクアップ化粧品、基礎化粧品、医薬部外品など化粧品全般の製造・販売 |