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Fujitsu

Japan

富士通コンサートシリーズ
ワレリー・ゲルギエフ指揮 マリインスキー歌劇場管弦楽団
出演アーティスト

マリインスキー歌劇場管弦楽団/
The Mariinsky Orchestra

マリインスキー歌劇場管弦楽団の写真

マリインスキー歌劇場管弦楽団は、18世紀のピョートル大帝在位中に創設され、以来ずっと、サンクトペテルブルグの地で、世界に名だたるマリインスキー劇場を拠点として活動している。これまでに数多くの世界的音楽家がこのオーケストラを指揮しており、ハンス・フォン・ビューロー、アルトゥール・ニキシュ、ウィレム・メンゲルベルク、オットー・クレンペラー、ブルーノ・ワルター、エーリヒ・クライバーや、ベルリオーズ、ワーグナー、マーラー、シェーンベルクなど、錚々たる顔ぶれが並んでいる。同楽団は、チャイコフスキーのオペラとバレエ、グリンカ、ムソルグスキー、リムスキー=コルサコフのオペラ、ショスタコーヴィチ、ハチャトゥリアン、アサフィエフのバレエの世界初演を手掛けている。ソ連時代はキーロフ歌劇場と呼ばれていたが、オーケストラの輝かしい伝統は、ウラディーミル・ドラニーシュニコフ、アリ・パゾフスキー、エフゲニー・ムラヴィンスキー、コンスタンチン・シメオノフ、ユーリ・テミルカーノフなどの指揮者によって受け継がれていった。そして、1988年からはワレリー・ゲルギエフが同楽団を率いている。ゲルギエフのリーダーシップにより、マリインスキーは、メトロポリタン・オペラ、ケネディ・センター、英国ロイヤル・オペラ、サンフランシスコ・オペラ、パリのシャトレ座とシャンゼリゼ劇場、ザルツブルク音楽祭、エジンバラ国際フェスティバル、ミラノ・スカラ座など、世界最高峰のオペラハウスや劇場で公演を行うようになった。またゲルギエフの指揮のもとマリインスキー歌劇場管弦楽団は、現在、世界中の一流の舞台で管弦楽作品を演奏している。

ワレリー・ゲルギエフ(芸術総監督、首席指揮者)/
Valery Gergiev(Artistic and General Director)

ワレリー・ゲルギエフの写真

マリインスキー劇場芸術総監督、首席指揮者。ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者。チャイコフスキー国際コンクール組織委員会委員長。PMF芸術監督。「白夜の星」音楽祭、ロッテルダム・ゲルギエフ音楽祭(オランダ)、モスクワ復活祭音楽祭などの音楽祭を創設し、芸術監督、音楽監督として活躍。マリインスキー劇場において数多くの世界的な名歌手を育成し、音楽界に送り出してきた。その采配のもとで同劇場はオペラおよびバレエのレパートリーを大きく広げ、現在では18世紀から20世紀までのクラシックの傑作をはじめ、現代作曲家の作品にいたるまで、幅広いレパートリーを誇っている。
06年には、火災に遭ったマリインスキー劇場アトリエ兼倉庫の跡地に新しいコンサートホールが完成。2013年にはマリインスキー劇場新館(マリインスキー2)がオープンした。これによりマリインスキー劇場は、ロシア国内では初となる、劇場とコンサートホールを併せ持つ複合施設へと生まれ変わったのである。ゲルギエフは07年~15年までロンドン交響楽団の首席指揮者を務めたほか、近年は、メトロポリタン・オペラ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、ミラノ・スカラ座管弦楽団などと共演している。

庄司紗矢香(ヴァイオリン)/Sayaka Shoji(Violin)

庄司紗矢香の写真

庄司紗矢香は、アシュケナージ、デュトワ、ヤンソンス、メータ、ビシュコフ、パーヴォ・ヤルヴィ、チョン・ミョンフン、パッパーノ、ネゼ=セガンといった世界を代表する指揮者たちと共演を重ねている。近年は、BBCフィル、ウィーン響、ドイツ・カンマーフィル、デンマーク放響、N響などのコンサートに登場している。15/16年シーズンのハイライトとしては、スウェーデン室内管へのデビュー、日本フィル(ピエタリ・インキネン)との再共演、チェコ・フィル(ビエロフラーヴェク)との日本ツアーなどがある。さらに、マリインスキー歌劇場管(ゲルギエフ)、フランス放送フィル(ヴァンスカ)、都響(大野和士)、NDR響(ウルバンスキ)と共演する。庄司の長年に亘る指導者・理解者であるユーリ・テミルカーノフは、たびたび彼女を招き、サンクト・フィルとともに日本、メキシコ、ロシア、スペイン、イギリス、アイルランド、ベルギー、フランス、イタリア、アメリカへのツアーを行い、12年にプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲をドイツ・グラモフォンへ録音した。室内楽活動にも力を入れており、これまでにジョシュア・ベル、レーピン、ゴラン、イッサーリス、ラン・ラン、マルティン・フレストと共演。近年の音楽祭では、ヴェルビエ、アヌシー、ラヴェンナ、プラハの春、キジアーナ、ボン・ベートーヴェン、エヴィアン音楽祭に出演している 。15/16年シーズンには、細川俊夫の新作委嘱作品を含むソロ・リサイタルの日本ツアーとウィグモア・ホールへのデビューも行う。庄司は定期的にピアニストのジャンルカ・カシオーリとデュオを組み、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集の4枚目のCD、最後の一枚を2015年春に発売した。また、彼女はメナヘム・プレスラーとも共演し、その記録はライヴ収録され2015年秋に発売された。庄司紗矢香は1998年からヨーロッパを拠点に活動している。1999年パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで史上最年少および日本人として初めて優勝した。最近では、第57回(2015年度)毎日芸術賞を受賞した。使用楽器は、上野製薬株式会社より貸与された1729年製ストラディヴァリウス“レカミエ(Recamier)”である。

解説/ひのまどか(音楽作家)

巨大な音の万華鏡!ゲルギエフ&マリインスキーの勝負曲「幻想」

ベルリオーズの作品は彼の存命中、フランスより外国で、とりわけロシアの聴衆に愛された。パリでその才能を認められず失意のベルリオーズの訪問をロシア人は熱狂的に迎えた。代表著作「管弦楽法」はロシアの作曲家たちに強い影響を与えていた。彼は1847年と1867年にサンクトペテルブルク帝室劇場管弦楽団(現マリインスキー歌劇場管弦楽団)を指揮し、自作の「ファウストの劫罰」「ロメオとジュリエット」「幻想交響曲」「イタリアのハロルド」を演奏し、大成功を収めた。その興奮は当時の日記からも伝わってくる。「何というオーケストラ!何という正確さ!何というアンサンブル!」。現代ロシアを代表するカリスマ、ゲルギエフもベルリオーズへの深い愛情を隠さない。「学生時代から彼の作品を指揮することを夢見ていました。ベルリオーズを演奏することはいつでもエキサイティングです。」彼は多くのベルリオーズ作品を日本でも演奏してきたが、とりわけ2011年、マリインスキーを率いての超大作・歌劇「トロイア人」日本初演の圧倒的な名演奏は今でも音楽ファンの語り草となっている。「幻想交響曲」もゲルギエフが“ここぞ”の時に演奏する勝負曲の一つだ。独創的で変化に富み、鮮やかで激情溢れるこの作品を、色彩豊かに、強烈に、大きなスケールで描き出すことにおいてゲルギエフの右に出るものはいないだろう。それはあたかも巨大な音の万華鏡を見るような体験となるはずだ。ベルリオーズ演奏の長い伝統を有するマリインスキー管との演奏は「幻想」のベストコンビの一つであり、作曲家が存命であれば絶賛したに違いない。自身が共演を熱望し、ますます充実の活動を続ける日本が誇るヴァイオリニスト・庄司紗矢香とのショスタコーヴィチも絶対に聴きのがせない。