自己相関係数計算機、第十回情報処理技術遺産に認定

2018年3月13日

情報処理学会第80回全国大会が早稲田大学西早稲田キャンパスにて開催されました。大会初日の3月13日、「情報処理技術遺産認定式」が行われ、わが国の貴重な技術遺産の所有者、同遺産を保存・展示しているコレクションの関係者へ認定証が授与されました。
情報処理技術遺産とは、情報処理学会が、日本の情報処理技術史上の現存する貴重な資料に対して、その保存への関係者の努力を称えるとともに末永く後世に伝えることを目的に2008年に認定を開始しました。今年で10回目を迎え、認定品は今回の4点を含めて100点となりました。
今回、富士通通信機製造(現 富士通)製自己相関係数計算機が認定されました。

認定証盾授与
左:情報処理学会 西尾会長、右:富士通沼津工場 大西工場長

自己相関係数計算機について

自己相関係数計算機は東京大学理学部地球物理学教室の委託を受けて、富士通信機製造が1954年に製造・納入したリレー式の単機能計算機です。自己相関係数は変動現象の解析手法の一つである周期分析を行う上で重要で、地震波の解析などに使われます。しかし、これを求めるには多大な計算が必要で、当時の計算機や素子の能力で実現することは困難でした。そこで、東京大学理学部の友田好文氏が簡単な計算と換算表を用いて演算量を1/10~1/100に縮小する方式を考案しました。
本装置はこの方式を実現した物で、実際に地震波波動解析に使用されました。その後富士通は同じくリレー式の相関係数計算機FACOM426を開発し、現在の電波天文学用の高速相関係数計算機へと発展させています。
なお、この自己相関係数計算機は1982年に東京大学様よりご寄贈を受けたものです。その後、沼津工場内の倉庫で保管されていましたが、歴史資産の保全活動が本格化する中、2015年10月に再発見されました。現在は、富士通沼津工場内の富士通DNA館に常設展示されています。

自己相関係数計算機と説明書

2017年度情報処理技術遺産認定式について

今回の認定式は早稲田大学西早稲田キャンパス内の大教室で行われました。

情報処理学会第80回全国大会は、「みんなの情報処理教育」をテーマに、3月13日~15日の3日間開催されました。認定式は会期の初日、情報処理学会の西尾会長による開会挨拶、各種表彰と続くセッション内で行われました。また、認定証の授与に先立ち、情報処理学会歴史特別委員会の発田委員長から、今年は技術遺産は制度開始から10年、100件目の節目を迎えたこと、今年の認定のトピックスについて報告がありました。

3月13日(火)は天候にも恵まれ、多くの研究報告のほか、国内外からの招待特別講演、パネル討論会他のイベントがあり、多くの研究者が興味あるセッションを探し、それぞれに急ぎ足で移動してゆく姿が多く見受けられました。

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