世界の生き物の種の半数以上が生息・生育し、生物多様性の面からも価値が高い熱帯雨林は、この数十年、その減少が進み2000年以降では、毎年、北海道と同等の面積が地球上から消えているといわれています。
富士通グループでは、2002年からボルネオ島のマレーシア サバ州にある「富士通グループ・マレーシア・エコ・フォレストパーク(以下、エコ・フォレストパーク)」で、サバ州森林開発公社(SAFODA)の支援を受けながら、熱帯雨林再生プロジェクトに取り組んでいます。
エコ・フォレストパークは、かつて多種の樹木が茂り多様な生物が生息・成育する熱帯雨林でした。1970年代の木材需要に応えるため一斉に伐採され、その跡地にはサバ州政府の方針で、成長が早く製紙用のパルプとして利用価値のあるオーストラリア産のアカシアマンギウムが植林されました。そのため、エコ・フォレストパークは、樹高20m程度に成長したアカシアマンギウムがうっそうと茂る森となっています。SAFODAと富士通グループは、ボルネオ島にとっては外来種であるアカシアマンギウムの森から、在来種であるフタバガキ種などが生育する本来の熱帯雨林を再生させようとしています。
これまでに、約150haの土地に、在来種であるフタバガキ種37,500本を植えてきました。社員とその家族、現地大学、専門学校、日本人学校の方々など、これまでにプロジェクトに関わってきた人数は延べ2000人以上に上ります。2007年以降は、育成フェーズに入り、苗木を育てるためのメンテナンス活動を行っています。
2016年12月には、長年にわたる森林保全活動が実を結び、サバ州議会より同州の「保存林」として認定されました。
グローバルな富士通グループ社員がエコ・フォレストパークに集い、熱帯雨林を再生するためのメンテナンス活動を行うとともに、原生林やマングローブ林の見学、現地の方々との交流を通じて、熱帯雨林の現状や問題を体感するエコツアーを実施しています。
「エコ・フォレストパーク」は、富士通グループが熱帯雨林再生に長期プロジェクトとして挑んでいるフィールドです。熱帯雨林再生の意義を知るためには、その問題の本質を知ることが重要であり、エコツアーは非常に有効な方法です。遠い国の問題を自分の問題として捉え、日々の生活に生かすこと。世界中にこのような社員を増やしていくことが本当の意味で、環境そして社会に貢献する企業になるということだと考えています。
補植
天候等の諸条件で植えた苗が枯れてしまったエリアに、在来種のフタバガキ種の苗木をもう一度植樹(補植)を行い、パーク全体の苗木の生存率を高めます。
「樹高測定」と「野生生物」の2つの調査
植林した苗木がどれだけ成長したのかを確認するために、2005年に植樹したエリアの樹高、直径を測る生育状況調査を行います。植樹から10年以上が経過し、10m以上の高さに達している木もあります。また、エコ・フォレストパークの中を4ルートに分かれて歩きながら確認された鳥獣・昆虫や植物などを記録するラインセンサスを実施します。エコ・フォレストパークの生物多様性の度合いがどう変化していくかを計る指標としています。
豊かな自然を取り戻すためにICTで何ができるか、地元のサバ大学の学生30名および富士通グループ社員60名でアイディアワークショップを開催。より多くの人に現在の環境問題を知ってもらうために「バーチャルエコツアー」を開催してはどうか、などユニークなアイディアが多数出ました。
生物多様性の宝庫であるボルネオ島で起こっている環境破壊の現実を自分たちの目で見ることで、自然環境の素晴らしさとそこで起きている問題を実感することができました。
活動名 | 熱帯雨林再生活動&エコツアー |
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場所 | マレーシア国 サバ州 キナルート地区 |
開催日 | 2016年10月30日~11月1日 |
行程 | 1日目: ボルネオの生態系について考える (原生林の見学)
2日目: 熱帯雨林の今の姿を観察する (生育調査など) 3日目: 熱帯雨林再生に向けて、汗を流し、知恵を絞る (補植とアイディアワークショップ) |
参加者 | 富士通グループ社員と家族 71名、サバ大学 大学生 29名 |