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スーパーコンピュータは、とてつもなく計算処理能力の高いコンピュータです。その時代の一般的なコンピュータでは解くことが困難な大規模で高度な計算を処理することができます。スパコンと略して呼ばれることもあります。
スーパーコンピュータが得意とする計算の一つに「コンピュータシミュレーション」があります。
科学技術の分野で利用されるコンピュータシミュレーションは、コンピュータ上に、仮想的なモデルを組み立て、様々な条件のもとで、その振る舞いを観察することができます。コンピュータシミュレーションを用いれば、規模が大きすぎる、危険が伴う、地球上ではできないなど、実際に実験を行うことが難しい状況でも、コンピュータ上に再現し、検証することが可能です。
私たちの生活に関わっているコンピュータシミュレーションの分かりやすい例が、自動車の開発・設計です。自動車の開発では、もし衝突事故を起こした場合でも、乗車する人のダメージを最小限に抑えるために、どのような設計が最も良いかを見つけ出すことが求められます。実際に自動車を衝突させて試験し、解析することはもちろん有効です。しかし、必要な情報を得ようとすると、様々な条件のもとで衝突試験を繰り返し行う必要があります。これでは、何台もの自動車を準備する必要があるため、大きなコストがかかってしまいます。また、実際に人を乗車させて試験を行うわけにはいかないため、衝突事故の際に、ダミー人形を使って試験していたとしても、本当のところ乗車する人がどの程度のダメージを受けるかを正確に知るのは非常に難しいのです。しかし、高精度なコンピュータシミュレーションが可能になれば、今まで知ることが難しかった情報についても手に入れることができるようになり、その結果、より安全な自動車の設計・開発が可能になってくるのです。
コンピュータシミュレーションでは、様々な状況をコンピュータ上に再現します。自動車を構成する大小様々な部品・装置の形状・性質をコンピュータに入力し、衝突の条件を与え、コンピュータシミュレーションを行います。一瞬、一瞬ごとに自動車の各部分がどのように変形し壊れていくか、人間の目では捉えることができない現象を、様々な角度から観察することができます。さらに、その結果を解析することで、未知の現象を予測することができるのです。こうして、自動車の開発・設計のスピードは飛躍的に高まり、安全性も向上が期待されます。さらに、実際に自動車での衝突実験の回数を減らすことができるため、開発にかかるコストも下げることが可能になります。
ものづくり、基礎科学とその応用分野など、様々な分野で世界トップレベルを走り続ける日本。じつは、これらの分野を切り拓く技術者・科学者の研究開発を加速する役割を果たしているのがスーパーコンピュータなのです。すでに、スーパーコンピュータは日本の科学技術の発展に欠かせないものとなっています。
21世紀に入り、科学技術の発展に立ち塞がる課題は、ますます複雑化しています。例えば、航空機や鉄道などで、人やモノを輸送する場合、「より速く、より遠く」が求められると同時に、「より静か、より省エネ」が求められます。また、気象では、10年後、100年後の地球温暖化の予測が求められる一方で、30分後、1時間後の都心に集中豪雨をもたらす積乱雲を正確に予想することが求められます。
私たちの生活、日本の産業や基礎科学の分野など、スーパーコンピュータの発達がどのような変化をもたらすか、具体的に見てみましょう。