GTM-MML4VXJ
Skip to main content

事例紹介 大阪赤十字病院 様

大阪赤十字病院 様

より良い医療サービスの提供と患者満足度の
向上を目指して
多職種連携で外来通院治療センター(外来化学
療法室)の業務を改革

近年、がん患者の通院による治療が増加しています。大阪赤十字病院外来通院治療センターでは、患者の待ち時間を減らし、看護師による指導時間確保のためフィールド・イノベーションを活用。多職種がかかわり外来通院治療センターの業務を改善しました。

課題と効果

  • 業務を見直し認定看護師/薬剤師による患者指導時間をより多く捻出すること
    看護師の指導時間を約20%、薬剤師の指導時間を約30%増加
  • 患者が増加し続ける中、外来患者の待ち時間を抑制すること
    ベッドコントロールによる平準化などにより待ち時間30分以上の患者数が半減

背景

抗がん剤治療患者の負担をいかに軽減するか

「人道・博愛」の赤十字精神の下、地域の基幹病院として質の高い専門医療や高度急性期医療を提供する大阪赤十字病院。今回同病院では、通院によるがん化学療法や生物学的製剤による治療を行う外来化学療法室である「外来通院治療センター」(以下、センター)の業務改革を実施した。

センター長の津村 剛彦氏は、その背景を「地域がん診療拠点病院である当院には、外来による抗がん剤治療の需要増加に応えていくことが求められます。そこで2014年に当センターのベッド数を増床したものの、その後も毎年約10%のペースで患者数が増加。認定資格を有する看護師/薬剤師による直接指導が思うように行えない、患者様の待ち時間が長くなるなど、様々な課題が生じていました」と明かす。

  • 大阪赤十字病院 腫瘍内科部長 兼 消化器内科部副部長 通院治療センター長 津村 剛彦 氏

    大阪赤十字病院
    腫瘍内科部長 兼 消化器内科部副部長
    通院治療センター長
    津村 剛彦 氏

  • 大阪赤十字病院 看護部長 黒岡 多佳子 氏

    大阪赤十字病院
    看護部長
    黒岡 多佳子 氏

経緯

患者と接する時間が取れない要因を可視化で探り出す

こうした課題を解消すべく、同病院では富士通のフィールド・イノベーションを導入。看護部長の黒岡 多佳子氏は「東京の日本赤十字社医療センターでの事例を知ったのがきっかけです。自分たちだけで客観的に業務を見直すのは難しいと感じていたので、可視化やデータ分析を行ってもらえるのは非常に魅力的でした」と語る。

プロジェクトを担当したフィールド・イノベータ(以下、FIer)は、早速現場スタッフにインタビュー。問題点を「来院から会計までの患者の流れ」「患者と接する時間」「医師、看護師、薬剤師など多職種間の連携」の3領域に集約した上で、電子カルテデータ分析やセンターの看護師/薬剤師の業務量調査などの可視化を進めた。その結果、「11~13時の時間帯に患者が集中し患者が多い日はベッド数を超えた患者がセンターに滞在している」「患者が多い日は記録業務が時間外に後回しされている」「治療前の採血や各診療科との連携に改善の余地がある」などの事実が判明した。

  • ピーク時間帯の患者数がベッド数を超過 - 外来通院治療センターでは27床のベッドを用意しているが、11時~13時のピーク時間帯にはこれを超える患者が集中。待ち時間が増大する大きな要因となっていた。

「看護師は安全な投与管理と療養支援の2つの役割を担っていますが、忙しい時間帯はどうしても前者が優先されがちです。療養支援にもっと力を入れていくには、ピークの平準化が必要と感じました」と話すのは、看護師長の安藤 嘉子氏だ。看護係長でがん化学療法看護認定看護師の小袋 和子氏は「記録が後回しになっているとの認識はありましたが、どの業務に、どのくらい時間を費やしているかまでは把握できていませんでした。これが分かったことで、記録の方法も含めて考え直すヒントになりました」と語る。また、薬剤係長で外来がん治療認定薬剤師の平井 三保子氏も「薬剤部でも個々のメンバーの動きに違いがあるなどの事実が分かり、患者様と接する時間をもっと増やすために自分たちの時間をどう使えば良いかを考え直す材料になりました」と話す。

ポイント

多職種連携で改善に向けた施策を立案

こうして明らかになった事実をもとに、同病院ではワークショップを実施。これにより、先に挙げた3領域に対する具体的な改善施策を導き出した。

たとえば患者の流れについては、各医師が行っていたセンターのベッド予約の権限をセンターに委譲。レジメン(薬剤の投与量や順番、時間などを記した治療計画)の内容に応じて予約時間の前倒し、後倒しを行うことで、特定時間帯に患者が集中しないようにした。また、残業が増える要因となっていた記録も、テンプレートによる効率化・標準化を推進。隙間時間に簡単に記入できるようにすると同時に、誰が見ても分かりやすい客観的な様式に改めた。

これらの活動には様々な職種のスタッフが協働で取り組んだ。「当センターでの治療は、採血検査や各診療科での診察を経て行われるため、患者様の待ち時間を減らすには各部門との連携が不可欠です。そこで、臨床検査技師や受付の事務方スタッフなどにもワークショップでの議論に参加してもらいました」と安藤氏。また、各診療科の医師に対しても、センターの状況を伝えて協力してもらうようにした。

「これだけ多職種のスタッフが一緒に業務改善について話し合うことはあまりなかったので、良い機会になりました。抗がん剤診療は、患者様の状況を多面的に捉えて支援する必要があるため、チーム医療の重要性が最も高い分野の一つです。それだけに、職種の壁を越えて改善活動に取り組めたことは非常に大きい。仕事が違っても『患者様にベストな医療を提供する』という思いは同じなので、前向きに活動を進められましたね」と津村氏は話す。

今回の取り組みを通して、スタッフの意識改革も大きく進んだ。平井氏は「タイムマネジメントの意識を強く持つようになりましたし、看護師と薬剤師のコミュニケーションもこれまで以上に深まりました。チームとしての一体感も高まりました」と語る。

  • 大阪赤十字病院 看護師長 安藤 嘉子 氏

    大阪赤十字病院
    看護師長
    安藤 嘉子 氏

  • 大阪赤十字病院 看護係長(がん化学療法看護認定看護師) 小袋 和子 氏

    大阪赤十字病院
    看護係長(がん化学療法看護認定看護師)
    小袋 和子 氏

  • 大阪赤十字病院 薬剤係長(外来がん治療認定薬剤師) 平井 三保子 氏

    大阪赤十字病院
    薬剤係長(外来がん治療認定薬剤師)
    平井 三保子 氏

効果と展望

看護師と薬剤師双方の患者指導時間の増加に成功

改善による具体的な成果も着々と現れている。懸案であった患者指導に関しては業務効率化で時間を捻出し、看護師一人あたりの1日の指導時間を37分から44分と約20%、同じく薬剤師も103分から130分と約30%増加させることに成功。また、センターでの受付から投与を開始するまでに、30分以上掛かっていた患者の割合を、以前の約30%から約15%へと半減できた。

  • 患者指導時間を捻出することに成功 - 記録業務の効率化や役割分担の見直しなどの施策を実施し、看護師、薬剤師とも患者指導に割り当てる時間をより多く確保できるようになった。

「指導の強化を図ることで、当院が目指す患者様満足度や医療サービスの質向上にも大きな効果が期待できます。今回の活動終了後も患者数は増え続けていますが、それによって指導時間が減るといったことは起きていません」と津村氏は語る。

取り組みを支援したFIerへの評価も高い。小袋氏は「意見を出しやすい雰囲気を作ってもらったおかげで、ワークショップを楽しく進めることができました。また個人的にも、データに基づいた改善にもっと取り組まないといけないという気付きを得られました」と語る。

同病院では、こうした成果をさらに拡げるための活動を継続的に推進中だ。「病院に対してセンター専用採血レーンの設置を具申したほか、近畿エリアの他の赤十字病院や学会での活動報告なども行っています。今回の取り組みで得た経験を、今後も様々な課題解決に活かしていきたいですね」と黒岡氏は抱負を述べた。

大阪赤十字病院 様
所在地 大阪市天王寺区筆ヶ崎町5-30
設立 1909年5月8日
病床数 964床
ホームページ http://www.osaka-med.jrc.or.jp/ Open a new window
病院概要 「人道・博愛の赤十字精神に基づき、すべての人の尊厳を守り心のかよう高度の医療を目指す」との病院理念の下、大阪エリアにおける基幹病院として高品質な医療サービスを提供。また、次世代を担う医療人材の育成にも積極的に取り組んでいる。

[2018年8月掲載]

FIer

今回のプロジェクトを通して

針生 武徳

外来通院センターはたくさんの職種が関係する部署でありその運営改善は多くの関係者の合意形成が必要になります。今回の活動は職種をまたがっていろんな方々にインタビューを行い、課題を語って頂きました。我々はその課題を裏付ける事実の可視化にこだわり、活動メンバーの施策討議に必要な可視化結果を提供することで職場の壁を越えた施策の抽出に繋がりました。今後もさらなる患者数の増加が予想されますが今回の改善活動を継続して進めて頂くことで対応されることを期待しています。

富士通コンタクトライン(総合窓口)
0120-933-200 (通話料無料)
受付時間 9時~17時30分
(土曜・日曜・祝日・当社指定の休業日を除く)