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事例紹介 東京ガス株式会社 様

東京ガス株式会社 様 エネルギー・通信 保守・メンテナンス

現場広域化への対応を見据え保守業務を改革「攻めのメンテナンス」へのシフトを目指す

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クリーンで安定供給性の高いエネルギーである天然ガスは、日本国内においてもさらなる需要拡大が見込まれています。こうした中、東京ガス株式会社様では、経営戦略「チャレンジ2020ビジョン」によって増大していく設備保守業務の安全且つ効率的な業務体制の確立を目指しフィールド・イノベーションを導入。フィールド・イノベータ(以下、FIer:エフアイヤー)と共に、移動時間の短縮や業務の平準化、若手人材の育成に取り組み、今後のインフラ拡大に伴う現場広域化への準備を整えています。

INDEX
  • 1 保守業務の改革に着手
  • 2 予想を超えていた事実
  • 3 移動時間の削減に挑む
  • 4 点検周期を適正化
  • 5 新たな人材育成施策を展開
  • 6 現場広域化への手応えを掴む
  • 7 ICT活用も推進
  • 8 今後も継続的な改革を推進
  • 9 お客様概要
  • 10 Fler 今回のプロジェクトを通しての感想

保守業務の改革に着手

インフラ拡大により保守現場が広域化

天然ガスを中心としたエネルギーフロンティア企業グループとして、快適な暮らしづくりと環境に優しい都市づくりに貢献する東京ガス。現在では総延長6万km以上にも及ぶガス導管を関東一円に展開し、約1,100万件のお客様に対して都市ガスの安定供給を行っています。

ガスが工場からお客さまに届くまで 天然ガスは工場から高圧ステーション、整圧所を経て家庭や企業に届けられる。この間に存在する電気・計装・機械設備などの保守を行うのが、供給設備管理センターの役割だ。

社会のライフラインを担う企業だけに、同社ではガス供給設備の維持管理についても力を注いでいます。同社 防災・供給部 供給設備管理センター 所長 町田 浩一氏は「LNG(Liquefied Natural Gas)タンカーで輸送された天然ガスは、工場から高圧ステーション、球形ガスホルダーを有する整圧所を経て企業や皆様のご家庭に供給されます。この高圧ステーションの電気・計装設備、並びに整圧所の電気・計装・機械設備の保守業務を行うのが我々の役割です。日常点検や定期整備はもちろんのこと、落雷などの自然災害が生じた際には緊急対応も行い、お客さまに安心してガスをご利用頂けるよう務めています」と語ります。

防災・供給部 供給設備管理センター 所長 町田 浩一氏 の写真

その同センターにおいて、今後に向けた大きな課題となっていたのが保守業務体制の見直しでした。東京ガスでは、LNGバリューチェーンの高度化に向けた取り組み「チャレンジ2020ビジョン」を全社的に推進しています。ここでは「エネルギーを安全かつ安定的に供給します」という項目が掲げられており、その一環として天然ガスの普及・拡大にあわせたインフラの整備・拡充が進められています。

2020年に向けた供給ネットワーク「チャレンジ2020ビジョン」で掲げられたインフラ整備・拡大施策に伴って、供給設備管理センターの保守現場は首都圏から北関東方面へと大幅に広域化することになった。

「これに伴って、茨城県の鹿島・日立方面や栃木県の真岡方面へも高圧導管網が拡大。我々が担当する保守現場も、一気に広域化することになりました。従来の人員でこれだけのエリアをカバーするのは困難です。したがって安全性を維持しつつ今後の現場広域化に対応するためには、仕事のやり方そのものをこれまでとは変える必要があると感じました」と町田氏は振り返ります。
こうした課題を解消すべく導入されたのが、富士通のフィールド・イノベーションです。町田氏はその理由を「従来の業務プロセスには約20年以上もの歴史がありますから、これを社内の力だけで変えるのは容易なことではありません。抜本的な改革を成し遂げるためには、豊富な実績と知見を有する第三者の力が必要と考えたのです」と語ります。

予想を超えていた事実

業務実態の見える化で隠れた課題を洗い出す

設備保守業務の改革に取り組むにあたり、フィールド・イノベーションを支援する役割を担うFIerはまず事実の見える化と業務プロセスの洗い出しを行いました。同センターの職員に同行して現場作業観察を行うと共に、1か月分の全業務量と2か月分の全職員のPC操作履歴を調査。また、過去1年分の業務記録分析や、課題感を把握するためのインタビューも実施しました。その結果、意外な事実が次々と浮かび上がってきました。
たとえば同センターでは、これまでも現場までの移動時間が長く掛かっているとの漠然とした認識は持っていました。しかし、実際にデータとして算出してみたところ、日常点検業務については実に年間の総業務時間の半分が移動時間で占められていたのです。

業務プロセスの見える化 現状の業務プロセスを見える化したところ、現場への移動時間が多くの割合を占めていることが判明。特に日常点検業務では、総業務時間の48%が移動に費やされていた。

防災・供給部 供給設備管理センター 副所長 嶋口 耕司氏 の写真防災・供給部 供給設備管理センター 副所長 嶋口 耕司氏は「以前から薄々感じてはいたものの、これほど移動時間が多いとは正直驚きでした。また業務量調査によって数値化を行ったことで、改めて業務の実態が定量的に把握できるようになりました。今までこうした形で業務を見直したことはなかったので、FIerの手法は非常に新鮮に感じましたね」と語ります。

さらに同センターでは、こうして明らかになった事実を基に課題抽出手法のひとつであるカードセッションを実施。今後の広域化に対応するための方策を全員参加で探っていきました。そして、こうした活動が、改革を前に進めていく大きな原動力ともなりました。
「業務改革を成功させるには、メンバー全員の意識が同じ方向を向いていないとうまくいきません。その点、カードセッションを通してお互いの意見を出し合うことで、全員の意識をひとつにまとめていくことができました。従来は同じ思いを抱いていても、なかなかそれを出し合う場がありませんでしたので、改革を進めていく気運を全員で醸成できたことは非常に良かったですね。」と町田氏は語ります。また、皆で活動しているという一体感を高めるために、インタビューやカードセッション結果がどのように使われ、どう活動に生かされているのかといったことを、積極的にメンバーから他の所員にも伝えてもらうようにしたとのことです。
カードセッションでは、「遠方の現場では宿泊を可能とする」「点検作業を数日連続して行う」「点検・整備周期の適正化を行う」「若手人材のスキル向上を図る」など、さまざまな意見が出されました。同センターではこれらを踏まえて、具体的な施策の検討を進めていきました。

見える化結果から施策を検討 見える化によって明らかになった事実を基にカードセッションを行い、広域化に対応するにはどのような施策が必要かメンバー全員で議論を重ねていった。

移動時間の削減に挑む

移動方法と点検業務を見直し、安全性と時間短縮の両立を図る

現場広域化に対応するための施策は、「1. 移動時間の短縮」「2. 業務の平準化」「3. 人材育成の加速」の3点です。
まず、移動時間の短縮については、効率的な移動方法を検討するためのシミュレーションを実施。特に移動時間の比率が高い日常点検業務の平均作業時間と移動時間のデータを抽出し、事務処理の時間や作業者スキルなどの項目も加えて、シミュレーションの前提条件に設定しました。
次に設定したのが新しい移動モデルです。「従来型の業務プロセスでは、供給設備管理センターを中心として放射状に移動するスタイル、つまり個々の施設に行っては帰ってくる方法を採用していました。しかし今後は遠方にも施設が広がっていきますので、この方法だと移動時間が積み上がる一方です。そこで、センターを出発した後に複数施設を渡り歩く巡回型の移動モデルを検討しました」と嶋口氏は語ります。
具体的には、センターからそのまま複数の施設を巡回していく「ループ型」、7つの保守エリアに中継拠点となる保守センター(仮称)を設置してそこから放射状に巡回する「キャラバン型」、保守センターからループ型の巡回を行う「キャンディー型」の3種類の移動モデルが設定されました。そして、これらの移動モデルと前提条件を組み合わせてシミュレーションを行ったところ、「キャラバン型」の移動モデルが最適であることが明らかになりました。

施策案をモデル化 「ループ型」「キャラバン型」「キャンディー型」の3つの新たな移動モデルを設定。これを業務量調査で明らかになったデータと組み合わせてシミュレーションを実施した。

「3つの移動モデルのいずれを採用しても、移動時間は約50%削減できるとの結果が得られました。ただし、実際の業務では部品・工具等の準備などの要素も考慮する必要がありますので、これらを加味するとキャラバン型が一番良いという結論に達しました」と町田氏は説明します。
また、これと並行して検討されたのが、点検業務プロセスの変更です。従来型の業務プロセスでは、今月は電気設備、来月は計装設備といった具合に、設備単位での保守を行っていました。電気設備の点検を行う場合は、複数の整圧所や高圧ステーションへ出向いてそれぞれの電気設備だけを点検していたのです。「これでは拠点数の増加に伴って点検回数も増えてしまいます。そこで設備単位ではなく施設単位、つまり出向いた先の拠点にあるすべての設備を一度に点検する方法に変えようと考えました」と町田氏は語ります。

モデルの分析結果 3つの移動モデルのいずれにおいても、約50%の時間短縮が図れることが判明。最終的にはセキュリティリスクや作業準備などの要素も考慮して「キャラバン型」のモデルを採用した。

点検周期を適正化

品質工学に基づく最適な整備・点検方式を検討

続いて2番目の業務平準化に向けた施策として実施されたのが、品質工学会が定める「品質工学」の手法を用いた点検・整備周期の見直しです。各拠点には数多くの設備が導入されているため、個々の設備の点検周期があまり細かく設定されていると業務がどんどん煩雑になってしまいます。しかし、もし過剰な点検周期が設定されている部分があれば、それを見直すことでコスト削減や点検業務の負荷軽減が図れます。
「これまでは、設備メーカーの推奨値や長年の経験を元に点検周期を設定してきましたが、それが果たして妥当なのかを検証する術がありませんでした。幸い、FIerから品質工学を活用して予防保全に役立てる手法を提案してもらいましたので、コストに関するパラメータ値をすべて調べて、当社としての最適値を求めることにしました」と嶋口氏は語ります。
しかもこの取り組みの狙いは、単なるコスト削減や業務負荷軽減にとどまりません。嶋口氏は「見直しを行う中では、逆に従来よりも点検周期を短くすべき点も出てきます。これを業務に反映させていけば、安全性のさらなる向上に役立てることもできます」と続けます。

新たな人材育成施策を展開

次世代を担う若手人材のスキル向上を加速

3番目の人材育成の加速については、若手人材のスキル向上を図るための施策を実施。「日々のノート」を利用した若手仕事研究会の開催や、設備基礎編/故障対応編教材ビデオの作成などが行われました。ちなみに、この「日々のノート」とは、若手職員に対して仕事の中での気付きや疑問点などを毎日ノートに記載してもらうというもの。その内容を月一回の若手仕事研究会で発表し合うことで、知識やノウハウの共有を図ります。これらの施策を通して、若手の指導を担当する職員の時間不足や、教育訓練用コンテンツ不足などの課題を解消することを狙ったのです。
「元々当社では、高い技能を有する社内インストラクターを中心に、OJTなどで技術の指導や継承を行ってきました。しかし、ベテラン職員の定年退職が増えていく中で、若手人材がより効率的に、かつ迅速に技術を習得できる方策が求められていました。今回の施策は、まさにそうした取り組みに資するものと言えます。従来は基礎技術の習得に平均5年間を要していましたが、人材教育制度の拡充によって3年間での習得を目指しています」と町田氏は語ります。

現場広域化への手応えを掴む

すべての施策において成果を上げることに成功

北関東方面における高圧導管網の延伸・開通は、2015年から2017年にかけて実施される予定です。それまでに新たな保守業務体制を確立しておく必要があるため、同センターでは先に挙げた3つの施策を意欲的に推進。そのことによる成果も次々と現れ始めています。
「まず移動時間の短縮については、鹿島方面を対象にシミュレーション結果を基にした検証作業を行いました。ここでは実際にキャラバン型の移動モデルを採用して、複数拠点の点検を実施したところ、総移動時間を従来の50%以下に減らすことに成功。現場広域化への対応に十分な手応えが掴めました」と町田氏は力強く語ります。
従来型の業務プロセスでは、要員を大幅に増員しないと現場広域化への対応は難しいと考えられていました。しかし、保守センターを中継拠点としたキャラバン型の移動、施設単位での点検などの改革を行ったことで、既存人数のまま、しかも業務負担を増やすことなく対応が可能になったのです。同センターではこの効果をさらに確かなものにすべく、現在は神奈川県の平沼方面を対象とした検証作業も実施中です。
また、業務平準化については、電気設備、計装設備、機械設備のそれぞれに対して品質工学に基づく点検周期の適正化に着手。嶋口氏は「現在は計装設備関連の作業が一段落し、電気設備に関する見直しを行っているところです。今後の改善に役立つデータが次々と上がってきていますので、これをうまく利用することで安全性強化を図っていきたい」と語ります。

防災・供給部 供給設備管理センター 及川 広人氏 の写真人材育成施策については、現場の若手職員からも歓迎の声が上がっています。同センターに配属2年目の防災・供給部 供給設備管理センター 及川 広人氏は「若手仕事研究会ではフィールド・イノベーションの手法を取り入れ、課題に対する意見を全員で出し合ったりインストラクターの指導を仰いだりしながら、活発な議論を行っています。個人的に勉強になることも多く、現場での点検作業や問題解決がよりスムーズに進められるようになりました」と語ります。

防災・供給部 供給設備管理センター 菅原 天志氏 の写真また、同じく配属2年目の防災・供給部 供給設備管理センター 菅原 天志氏も「若手職員同士の議論を通して、自分では気付かなかった課題を共有したり、新たな発見を得られるようになりました。我々若手職員としても、社内にこうした場があることは非常に心強いですね。ノートについても重要と感じた部分はマーカーを引き、後で現場の光景を思い起こしながら読み返すようにしています」と語ります。

ICT活用も推進

報告業務の効率化と作業スケジューリングの自動化を目指す

今回のプロジェクトでは、ICTの活用も重要な役割を果たしています。その一つが、点検報告業務におけるタブレット&クラウドサービス活用です。
従来型の設備単位での点検では、個々の設備ごとに専用の書類を利用して点検報告を行っていました。一回の保守業務で一種類の設備を点検していたため、現場に持参する報告書も一種類だけでした。しかし、今後は設備単位ではなく施設単位での点検になるため、一回の保守業務で複数の報告書に記入しなくてはなりません。しかも、その情報をセンターに持ち帰ってシステムに投入するのでは、業務が煩雑になってしまう懸念がありました。
「そこでFIerから提案されたのが、タブレットを利用した現場入力システムです。これならその場でリアルタイムに、かつ効率的に点検情報を入力できますので、タブレットと設備点検クラウドサービスによる新点検報告システムの構築を進めているところです」と町田氏は語ります。
また、もう一つが、保守作業のスケジューリングシステムです。施設内の複数設備を一度に点検するのは一見効率が良さそうに見えますが、実はそう簡単なことではありません。なぜなら、設備によって点検作業に掛かる時間が異なっており、よく考えて組み合わせないと一日の業務時間をオーバーしてしまうからです。
「幸い、見える化を行ったことで、各業務に掛かる時間が明確になりましたので、これと作業担当者のスキルなどをマッチングさせて、最適な組み合わせを導き出すシステムを実現したいと考えています」と町田氏は語ります。

今後も継続的な改革を推進

「守り」から「攻め」のメンテナンスへ

これまでの取り組みを支援したFIerに対しても、高い評価が寄せられています。町田氏は「豊富な実務経験を持つFIerが、我々のブレーンとして活動を支えてくれるわけですから、こんなに贅沢なことはありません。20年以上続いてきた業務プロセスを変えられたのも、FIerの存在があればこそです」と満足げに語ります。
実際の成果が発揮されるのは、新たな高圧導管網が稼動してからになりますが、同センターでは今回の取り組みを通して改革に対する自信を一段と深めています。「改革を進めるには、我々自身が主役となり、自らの意識と行動を変えていかなくてはなりません。フィールド・イノベーションに取り組んだことで、その土壌を作り上げることができました。維持管理や保守業務にはとかく『守り』のイメージがありますが、今後は職員全員一丸となって改革に取り組み、『攻めのメンテナンス』を目指していきたいと思います」と町田氏は抱負を語りました。

動画による事例紹介

東京ガス株式会社様 経営戦略に対応する設備管理業務の改革【動画】


お客様概要

東京ガス株式会社 様

創立:1885年10月1日
資本金:1418億円
従業員数:8002名(2014年3月末現在)
URL:http://www.tokyo-gas.co.jp/Open a new window

FIer

今回のプロジェクトを担当しての感想

左から、鵜飼 丈太、川端 康雄 の写真供給設備管理センターの皆様は今後供給エリアが拡大するため、このままでは安定供給に不可欠な保守が出来なくなるという危機認識を持っておられることがインタビューからわかりました。
私たちFIerはFI技法を用いてお客様業務と課題を理解するため定量的な見える化を実施し、結果をお客様と共有しました。共有する過程でそれぞれの方が広域化に対する改善案を持っていることが分かり、その案を整理することで施策に繋がりました。課題を解決し現場を変えるのは現場の方々の力であると改めて実感しました。
キャラバン方式による点検の導入に向け準備が進んでいますが今後もプロセス改善、ICT活用で営業/SEと一体でご支援していきたいと考えております。

【導入事例(PDF版)】

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[2014年9月 公開]

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