2009-12-25
富士通(中国)信息系統有限公司
自動車や携帯電話の精密プレス部品の製造を手掛ける天津笠谷精密機電有限公司。設立から7年目にして基幹システムの導入を決意した。そこには、力を付けてきているローカル企業との競争に曝されつつある日系中堅企業の苦悩が読み取れる。競争に勝つためには付加価値の創出だけでは間に合わない状況が見え隠れする。富士通(中国)信息系統有限公司天津分公司のフルサポートにより基幹システムを導入する同社は、いかなる将来像を描いているのだろうか。
天津笠谷精密機電有限公司
董事・総経理 真砂文男氏
株式会社カサタニは、『設計製造一貫体制』で躍進してきた研究開発型の中堅企業。同社の得意とする超精密プレス加工技術は日本国内のみならず世界で広く評価され、その事業領域は、ソーラー部品をはじめとする太陽光発電システムや、実用金属の中でも難加工材とされるマグネシウムの加工製品など、21世紀の先端分野にも広がりを見せている。
天津笠谷精密機電有限公司は、株式会社カサタニの中国市場向け生産拠点として02年に設立。携帯電話のシールドフレームやシールドカバーなどのほか、自動車のモーター関係の精密プレス部品など、付加価値の高い部品を製造している。
高付加価値を追求する同社であるが、中国市場で勝負するには当然ながら厳しいコスト競争力がついて回る。したがってあらゆる分野においてスリム化をしていかなければならない。そこで同社は富士通(中国)信息系統有限公司天津分公司に人事管理から原価管理までの広範なシステム導入を依頼。まずは人事管理システムをプラットフォームに指紋認証による勤怠システムをアドオン開発し、1年半をかけ、今年の8月から稼動させた。
同社総経理の真砂文男氏は、勤怠システムを導入することによって会社としての規律向上に大変役立つと言う。「勤怠システム導入前は、タイムカードを使用していました。工場は土日も稼動しますが、責任者が出社していない場合もあり、タイムカードであれば代替による打刻が可能。しかし、指紋による認証システムにより、それを不可能とし、出退勤が明確になりました」。また、現在同社の従業員数は240名であるが、ピーク時は300名に達したという。タイムカードでは給与計算をする際に全て手で入力しなくてはならない。「二人がかりで入力していましたが、どうしても入力ミスは避けられず、残業時間の食い違いが出ることもありました。また、正社員と臨時工がいますので、その区分けも大変でしたし、代替による打刻で支払う賃金に大差が生じてしまうことが懸念されました」(同氏)。勤怠システムの導入により、出勤なり残業なりが明確となり、同社のスローガンである『規律を守って、仕事は厳しく会社は明るく』という方針が徹底され、従業員のモチベーション向上にも効果を発揮している。
天津笠谷の真砂総経理(中右)、朱剣敏総務部長(中左)
富士通(中国)天津分公司の劉俊豪氏(右端)、呉非氏(左端)
勤怠システム導入により人事管理が好転した同社は現在、富士通の生産管理パッケージ『GLOVIA smart 製造 PRONES』(以下プロネス)を導入中だ。プロネスは、富士通が豊富な導入実績やサポート経験をもとに、製造業のノウハウを凝縮した中堅製造業向け生産管理パッケージ。海外取引機能、製番管理方式、MRP方式、かんばん方式などの多様な生産形態や組立・加工業など、多彩な業種業態に対応。生産情報システムを中心に、販売、原価システムなど多彩なオプションで業務をトータルサポート。豊富な業種ノウハウを終結した『業種テンプレート』により業種固有の機能に対応している。さらに日系製造業の海外進出に対応したマルチ言語対応によりグローバル展開が可能だ。また、「経営とITの一体化」を実現し、日本版SOX法の施行に伴う内部統制の整備と、新たな法制度にも応える磐石な経営基盤作りを強力に支援する機能をそろえている。
「1ヶ月前からギャップフィット(生産工程とシステムのギャップを分析してどのように埋めていくか検討する)が始まりました。プロネスに対して弊社の生産工程がどうなっているか、ソフトに合うか合わないか、別にソフトをアドオンしていかなければならないかなどのすり合わせを富士通さんとしています。4月に稼動予定ですが、順調に進捗しています」(真砂氏)。富士通(中国)は同社と週に2、3回ものミーティングを重ねながら稼動に向け全面的なサポートをしている。
天津笠谷精密機電有限公司第二工場
真砂氏が最終的に目指すのは生産工程の『見える化』とともに原価管理。少しでもロスを少なくし、管理コストを下げるためにシステムを導入するという。生産管理や原価管理システムの導入により原材料の損失が明確となり、異常のある工程が特定でき、管理が容易になる。「人の手や頭に頼って原価管理する時代ではない」と真砂氏は言う。
さらに同氏は次のように話す。「日本の本社は3年前にプロネスを導入した経緯があり、天津もプロネスの導入を決定しました。今後人事管理システムから原価管理システムまで連携させ、日本の本社とランで連結させたいと思います。経営状況や品質状況を本社が常に把握できるようにすることで、海外子会社の問題点や方針を一緒になって考えていける体制にします。こうすることで、将来的に日本人駐在員を減らすことが可能になります。また、たとえば若い方が着任されても本社とオンタイムでの話し合いが容易になり、一人で悩まなくても済むわけです。同じベンダのパッケージを導入するメリットは大きい」。
来年の4月以降には真砂氏の推進する本社との連結が実現する予定だ。一方、導入後はシステムの維持管理が問題となってくる。同社はシステム専門の社員を2名入れることにより、リスクを分散している。中国では人の定着率によりシステムが左右される場合が多々ある。富士通(中国)はこの点に関して、システム以外での教育やトレーニングも行っている。また万が一、システム人員が急に抜け、新しい人員を補充する場合にも責任を持って教育していくシステムがあり、万全のバックアップ体制を約束する。
基幹システムの導入は中小企業にとって決して安い買い物ではない。また、経営の根幹に関わる一大事でもある。ローカル企業との競争に打ち勝つための合理的な管理手法として基幹システムの導入を決意した同社は、付加価値の追求とともにコスト管理におけるアドバンテージも有することになった。
(※本ニュースは、漫歩創媒が発行した「Whenever Biz CHINA」の転載です)
富士通(中国)信息系統有限公司
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